2020.01.07郷土誌から読み解く地域歴史情報
北海道新幹線『新小樽』駅の歴史 〜令和編〜
地域歴史情報というカテゴリで記事を書かせて頂いているこのシリーズも早いもので半年超、13回目となります。今回は趣向を変えて、未来の事を書いてみましょう。
東京オリンピックのマラソンと競歩が札幌で開催されるというニュースが世間を賑わせていますが、これには札幌の冬季オリンピック招致に絡んだ動きであるという暗黙の了解があります。
冬季オリンピック招致に関しては、札幌市内のホテル不足や道路の整備などが課題とされていますが何よりも話題となるのが北海道新幹線の札幌延伸です。
また、新幹線と絡んで問題となってきたのが、新幹線の札幌駅のホームがどこになるのか、という問題です。
北海道新幹線は新函館北斗駅を出て、新八雲、長万部、倶知安、新小樽を経由したのち、札幌へ至ります。
東京との所要時間は飛行機の方が早いとはいえ、東北や函館との往来が容易になるほか、今や国際的なスキーリゾートとなったニセコ・倶知安エリアの次アクセスが良好になることが期待されています。
今回は、北海道新幹線のルートの中で新八雲の次に影の薄い新小樽駅について紹介してゆきましょう。
北海道新幹線新小樽駅はどんな場所に、どのような形で設置されるのでしょうか、また、その場所にはかつてどのような歴史を重ねてきたのでしょうか。
新小樽駅は在来線の函館本線とは異なる、山を突っ切るようなルートを採っている都合、これまでと比較してかなり山側に駅が設置される事になります。
この2枚の地図で場所が特定できる、という人はなかなかいないでしょう。
具体的には、小樽市天神2丁目に設置される予定です。現地は前回紹介した南小樽駅から直線距離で南側に3kmと、現状では不便な立地にありますがこれはバス便などで結び、利便性を増す計画のようです。
・・・と、言いましょうか小樽市民の方でも殆ど土地勘のない場所であろうかと思います。
近隣にあるものと言えば平成20年に土木学会選奨土木遺産に指定された奥沢水源地の階段式溢流路いわゆる『水すだれ』が南側にあります。
すぐ近くの南側に平成30年12月8日開通の後志自動車道の架橋も所在しています。
かなり背の高い架橋で迫力があります。
この奥沢水源地と後志自動車道の間に新小樽駅が設けられる予定なのです。
後志自動車道は平成11年に都市計画決定されたものですが平成18年に小樽市が発行した資料『北海道新幹線 新小樽(仮称)』に添付された資料で、新小樽駅を北側から見下ろしたイメージ図です。
後志自動車道の計画が既にあるにも関わらず、それを無視して駅構想を立てちゃあかんでしょ・・・
この図に後志自動車道の範囲を書き加えた平成29年版のイメージ図が下記の通りですが、建物のイメージがそのまま塗り潰されてしまっています。
地区計画のエリアというのは実際に再開発が始まるまであまりアテにならない事も多く、また新小樽駅の周辺敷地の利用についても現段階で色々な案がある状態ですが、参考として計画平面図を示しましょう。
ロータリーやタクシー乗り場、自家用車駐車場などが設定されており、主に北側が開発されることや、勝納川を跨いで駐車場が設置されることが分かります。
以下は平成29年の『駅周辺まちづくり計画』に示されたイラストでは、前掲の平成18年以前に作成されたと思わしきCGによるものよりシンプルになっています。
新小樽駅と後志自動車道以外は描かれなくなり、せっかく新幹線が来るのにあんまり発展しないんじゃないの?と少し心配になってしまう想像図ですね。
さて、実際にどうなるかは兎も角として、将来、新小樽駅が設置される予定の場所は、現在どのような姿をしているのでしょうか。
駅周辺の様子を見てみましょう。
前述の通り周辺は後志自動車道以外には特に大きな建物も見当たらないエリアです。
道路の西側にはかつて住宅街であった場所が既に立ち退きが完了しており、現在は擁壁がひな壇状になって残されているのみです。
札幌側と小樽側で言えば、小樽側ですね。
かつては戸建住宅が広がっていた一帯がすべて収用され、現在は草が伸びるばかりになっています。
こちらがひな壇の上、坂を登って上から札幌方面を見下ろした風景です。
さて、次に道路向かって札幌側を見てみましょう。
先の計画図の通り、駅舎は札幌側に設置される予定です。
株式会社猪田材木店という事業所が、令和元年11月の段階で解体されていました。
『株式会社猪田材木店 新幹線』という検索ワードで検索をしてみると、JUDGIT(https://judgit.net/)というサイトで『北海道新幹線に係る補償』という名目で国土交通省から5100万円の拠出がされていると記載されています。
事業を営まれていたのですから土地建物の対価以外にも営業補償金なども含まれているのでしょう。
・・・さて、このような計画で令和12年度末までの開業を目指して新小樽駅の建築が進んでいる訳ですが、現段階ではまだまだイメージが付かないことばかりです。
また、新小樽駅の予定地について掘り下げたコンテンツは、今のところまだまだ充実していません。
次回は、この新小樽駅の予定地は明治以来どのような歴史を経て来たのか、紹介してゆきましょう。
当記事は⼩樽・後志エリアでインターネットに掲載されていない物件情報や、地域ならではの不動産の売却・購⼊・賃貸・管理に関するノウハウを有するイエステーション:北章宅建株式会社のスポンサードコンテンツです。
⼩樽・後志エリアの不動産に関するご相談はイエステーション⼩樽・余市・手稲・⽯狩の各店舗への依頼をお薦めします。
細井 全
【参考文献】
◇北海道新幹線 新小樽(仮称)駅周辺整備構想(概要) 平成18年12月
https://www.city.otaru.lg.jp/sisei_tokei/koso_keikaku/keikaku_itiran/suisinshitu/sinkansen/index.data/koso.pdf
◇北海道新幹線新小樽(仮称)駅周辺まちづくり計画
https://www.city.otaru.lg.jp/sisei_tokei/koso_keikaku/keikaku_itiran/suisinshitu/sinkansen/index.data/keikaku.pdf
◇北海道新幹線札幌延伸に向けて(4) ~ 小樽市の取組み ~
https://www.hokuyobank.co.jp/company/report/shinkansen/No_s04.pdf
◇株式会社猪田材木店 – JUDGIT!(ジャジット)
https://judgit.net/payees/8430001049671
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小樽店 小林 康之不動産業に携わる者として公正で安全な取引を心がけ、お客様の立場に立って最善の方法をご提案いたします。 一緒に住まいの華を咲かせましょう。