2019.08.05不動産売買についての考察

【同じ不動産でも売り出し方で売れ行きは大きく変わります】~空き地、空き家が増える時代における不動産売却方法~

前回、【人口減少下でも売れる不動産は売れます】というコラムを書きました。
今回は、不動産の売り方によっては同じ不動産でも売れ行きに違いがある例を書いてみたいと思います。

 

売れる不動産があるという事は、中々売れない、売りにくい不動産も当然存在します。

 

大切な財産という思い入れ、人生を過ごした思い出等、お金に変えられない価値は別として、不動産は基本的に金融商品、相場商品としての一面もありますから、需要と供給のバランスにより値段が上がったり下がったりします。

 

当社に不動産売却の相談に来られる方より、 「役所に寄付の相談したけど受け付けてくれなくてね~ というお話を伺うことがあります。

「いくらでも良いから引き取ってくれないだろうか」という要望も同時に頂くこともあります。

特に地方に存在する長年保有していたけど活用されていない空き地や、相続で受けられた築年数の経過した空き家の所有者様よりこういったお話を伺うことが多いです。

 

その際にはこういったお話を出来る限り分かりやすくお伝えするようにしています。

 

「どなたかが保有している以上、その不動産は自治体とって重要な財源である固定資産税収を生み出す元になります」

 

「その財源を打ち消す寄付の受付は需要が大きく見込める不動産で且つ確定的な売価より余程安くないと受け付けてくれないと思います」

 

空き家、空き地の対策が全国的に出されていますが、この財源の問題を解決しない限り、いくら寄付を受け付ける制度を将来政府が作ったとしても定着は難しいと思います」

 

「当社は不動産買取を行っていますが、内容により難しい場合もあります」

 

「特に地方の空き地は需要の見込める立地でない限り、買取を行えない場合が多いです」

 

地方自治体において固定資産税収は財源の主要な部分を占めています。

 

 

小樽市の令和元年度 歳入歳出予算書を見てみます。

固定資産税収は市税の4割を占めます。

(都市計画税も含めると約5割と主要な財源となっています)

 

もう一つ、岩見沢市の平成29年決算額を見てみます。

こちらも固定資産税収は市税の4割、都市計画税も含めると4割超を占めます。

 

余程経済的に強い自治体や大きな企業の企業城下町、強い産業のある自治体でない限り、日本の一般的な自治体の予算として同じ様な感じであると思います。

固定資産税収は減り、管理の責任が伴う不動産の自治体による寄付の受付は、やはり中々厳しいだろうなと思います。

 

当社では売却時期が確実に見込める不動産買取も選択肢の一つとして提案させて頂きますが、それは空き家に限ることが多く、地方の空き地については需要の関係から買取が難しい場合が多いため、基本的に売買仲介でお手伝いさせて頂いています。

 

需要が見込みにくい不動産の場合、売却希望時期により価格に弾力性を持たせた上で、それでも時間を十分にかける、広告を出し続ける、欲しい人が仮に見つかれば出来る限り成約になる様に協力頂くという販売方針をご提案しています。

 

残念ながら、新築があまり建築されない地域の空き地、売土地の需要は中々喚起されません。

 

荷物が残ったままで、手直しがされていない空き家も売却までに時間がかかる事が多いです。

 

但し、

『こういった需要が薄いであろう不動産でも売り方を変えると売れる事があります』

 

空き地単体では売れないが、隣の住宅とセットで売却する場合、需要が生まれます。

空き家も荷物の整理や修繕等適切な投資を施せば賃貸、売買共に需要が生まれます。

 

売価が大きく変わらず、固定資産税も大きく変わらなければ、地方であれば特に土地は広い方が良いという需要があります。

合わせて購入し、敷地として一体で利用する場合、住宅と隣の土地の売主が違っても、まとめて住宅ローンの対象になります。

『地方の空き地の固定資産税は相対的に安いです。その税負担+納得できる売価で使える敷地が広くなるなら購入を希望される方が多いです』

『単体で使わない土地のみの固定資産税だと考えると、同じ金額でも高いとも言えます』

 

そのまま住める(賃貸、売買共に)住宅は、分かり易さとリフォーム済の住宅が少ない分需要があります。

 

『地元で人口減少が進んでいるため、積極的に投資をしようとする不動産所有者が少ない』『先日のブログの通り、世帯数はあまり減少していないので、需要はあります』

 

「そんなの普通だろ」と思われる方もいると思います。でも、その「普通」が空き地、空き家を所有している所有者から見て難しいという現実があります。

 

『自分の所有している土地の隣が売りに出たのか毎日確認は出来ない』

 

『隣の住宅所有者と調整して一緒に売却する難しさがある』

(条件調整と、事前予測は我々プロである不動産業者も注意を払わないといけません)

 

 『需要があるとはいえ、荷物整理とリフォームを施したとしても、100%確実に売れる保証はどこにもない。そして、そのリスクを負えない』

(我々プロである不動産業者も事前予測を外す事があります)

 

 『工事業者を見つけて、リフォームプランを立てて、完了後に直接確認するのには、遠方に住まれている方には一層難しい。時間と手間も必要となる』

(今まで時間をかけてこなかった遊休不動産にいきなり大きな手間と時間はかけにくい)

 

 こういった現実に対して不動産業者としてお手伝いする具体的な対策を立てていくのが今後、地方で不動産業を営むにあたって必須の能力になるのではと感じます。

 

『売れる不動産になる様に、売り方を機動的に変えていく』

 

不動産の売却を検討される際は、地元の中でこういった意思と考えを持っている不動産会社へ是非ご相談してみて下さい。

売却という出口を検討される際に、より具体的なアドバイスが可能だと思います。

 

ちなみに当社では片付もグループ内で完結でき、不動産買取も行います。

買取が難しい場合でも、今までの地元での仲介情報から、隣の不動産、近場の不動産の情報を仕入れて一体での売却のご提案が出来る可能性が高いです。

 

今後は隣地、近場の不動産を当社が保有している場合は、地方の空き地も買取対象に含めて行こうと考えています。データベースもその様に作り替えて情報の一元管理にも取り組む予定です。

 

単に不動産を右から左に動かすだけでなく、販売方法も積極的に提案していく、そういった実力を養い、需要の見込みにくい不動産でも売れる切り口を開いていきたいと思います。

 

不動産、空き家、空き地の売却相談はこういった考えを持っている弊社、イエステーション北章宅建株式会社を選択肢の一つとして思い出して頂ければと思います。きっと皆様のお役に立てると思います。

 今後ともよろしくお願い致します。

 

 コラム引用

『小樽市歳入歳出予算書 令和元年度』

『岩見沢市平成29年度決算額』

『北洋銀行住宅ローンチラシ』

 

 

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