2019.11.12不動産売買についての考察

【不動産売却には情報統合が大事です】『~不動産情報を扱う不動産会社としての要点~』

北章宅建株式会社の坂本です。

【人口減少下でも売れる不動産は売れます】

【同じ不動産でも売り出し方で売れ行きは大きく変わります】

【安心安全な不動産売却、取引とは】

【住宅売却時に建物診断(インスペクション)は必要か】

【最近は分かり易さが不動産売却のトレンド】

【不動産売却理由の変化について】

【不動産需要の変化について】

という不動産売却に関するコラムを書いてきました。

今回は、不動産売却における情報統合の大切さについて書いてみたいと思います。

 

目次

1、不動産は個別性が強い商品。

2、不動産取引には同じ情報を何度も使いまわす

3、不動産は息の長い商品で数も多い。

4、情報統合にはITの力が重要。

5、当社は継続して不動産売却に重要な情報統合に取り組んでいます。

1、不動産は個別性が強い商品。

皆さんは不動産売買営業の仕事と言うと、どの様なイメージを持ちますでしょうか。ノルマがある、高額な商品なので大変そう、夜が遅い、難しそう等のネガティブなイメージから、お店でのんびりしてそう、稼ぎやすそう、一度知識が定着したら年齢を重ねても長く続けられそう等のポジティブなイメージを持たれる方もいらっしゃると思います。

このネガティブなイメージとポジティブなイメージについては、勿論それぞれによって違いますが、共通して言えるのは「不動産は個別性の強い商品」という特徴がポジティブもネガティブも含めて大きく関係しているという事になります。

この個別性とは何かといいますと、その名の通り同じ商品が一つとして無いという事になります。同じ立地の同じ住宅は間違いなくありません。隣の土地になれば、同じ間取りの住宅を建築していても日当たりが違いますし、用途地域の境目(自治体が建築して良い物とそうでないものを大まかに色分けした制度)だと建築できる内容も違います。

同じメーカーの同じ注文住宅でも、売主様によってメンテナンス状況も違えば、売却理由もそれぞれです。勿論考え方により価格設定の仕方もそれぞれですし、売り出し方も違います。

不動産と言う商品はこういった各種情報の総称であり、不動産取引はそういった情報のやり取りです。情報自体が商品で情報そのものに価値が付いています。個別性の強い情報の塊と読み替えても良いかもしれません。

 

個別性の強い情報の塊、各種情報のやり取りということは

ノルマがある 

→ 個別性が強く情報を金銭に置き換える事が容易(販売価格等)なので、数値で目標設定されやすい。

高額な商品なので大変そう 

→ 金額が高いのもそうですが、金額に比例して纏わる情報が増えるのが大変です。

夜が遅い

→ 個別性が強いので、一案件ごとの情報処理に時間がかかります。

難しそう

→ 個別性が強いので、ケースバイケースとしか言いようのない事が多い。

その経験を身に付けるまでが大変と言われる要因です。調整能力が必要です。

お店でのんびりしてそう

→ 個別性が強いので、商品その物で販売が出来ます。新車の自動車、家電製品等の様な同じものを営業力で売る努力が取引形態としてあまり必要ありません。良い物件があれば購入希望者様から能動的に問い合わせがあります。

稼ぎやすそう

→ 個別性が強いので、情報をきちんと扱えれば収益につながりやすい。

度定着したら長く続けられそう

→ 個別性が強いので、経験を身に付けるまでは大変だが、一度身に付けると不動産業界内では転職しやすい。(入りにくく出にくい)

 

それぞれのイメージが個別性と言う内容に行き着きます。こういった特性を掴み、適切な対応を会社として考え実行していく事が不動産売却には必要です。

 

2、不動産取引には同じ情報を何度も使いまわす。

不動産は個別性が強い情報の塊と言う事を書いてきましたが、決して情報の種類が多いという事でもありません。基本情報はある程度決まっていますが、それが統合されていないことが不動産にまつわる情報を複雑にしています。

 

1、住所:地図、住民票、郵送物など

2、地番、家屋番号:法務局、謄本、登記識別情報(権利証)、固定資産税納付証

3、土地建物面積:法務局、謄本、建築図面、固定資産税納付証、地積図、建物図面

4、築年数:法務局、謄本、建築図面、市役所、建築確認済証、検査済証、建築計画概要書

5、用途地域、制限:建築指導課、都市計画課

6、道路関係:道路課、都市計画課

7、上下水道関係:上下水道課

8、固定資産評価額:税務課

9、埋蔵文化財関係:教育委員会

10、ハザードマップ関係:都市計画課

12、私道の通行関係:私道所有者

13、売却後の税金、借地権割合など:税務署、税理士、会計士

14、登記関連:司法書士

15、測量関係:測量士

16、法律関係:弁護士

17、物件のリフォーム履歴:売主様

18、物件状況報告書による告知事項:売主様

19、近隣関係:売主様、近隣の方

20、査定価格:不動産会社

21、売出価格:売主様

22、担保評価:各金融機関

ざっと書いてみるだけでも、上記22種類程度の情報があります。自動車では部品点数が約3万点と考えると、そう多いわけではないと思いますが、大きな違いは情報の置き場が全てバラバラという事です。そしてこの全てを全ての不動産取引で使用するわけでなく、不動産取引状況に応じてそれこそケースバイケースで使用します。

そしてこの情報はそれぞれ1回だけ使用するのではなく、取引段階で同じ情報を何度も使い回します。

 

売主様から売却相談→売主様へ価格提案→媒介契約書取り交わし→不動産調査→資料作成→広告作成、インターネット登録→購入諸経費作成→住宅ローン事前審査→申込書作成→重要事項説明作成→契約書作成→重要事項説明、売買契約→司法書士へ登記見積、依頼→測量士へ測量依頼→住宅ローン本申し込み→住宅ローン契約→残代金決済、所有権移転→引き渡し→引っ越し→住宅ローン減税申請、確定申告

 

不動産売却相談から住宅ローンを利用して不動産を購入する一連の流れを書いてみました。この多くの段階において使用する情報もあれば、ある特定の段階でしか使用しない情報もあります。そして取引形態が変われば、この段階も可変的に変動します。

個別性の強い情報×取引段階×売主様の事情×買主様の事情 = 使用情報数

と考えるとその数はそれこそ3万種類ではカバーできません。そして情報統合がされていない事により、この情報の取捨選択を経験に頼る部分も多く、通常の物品売買と比較して難易度を高くしています。

 

業界経験、経験値と言った言葉を好んで使用する不動産業界経験者の方が多いのはこういった事が影響しているのかと思います。

(当社は、経験値で全てをカバーするのは未経験者の方を排除する部分も多いので、あえて使用せずカリキュラムでカバーする仕組みを作っています)

(新しい情報に対しては、やはり色のついていない未経験者の方の方が受け入れ易く挑戦しやすいのだろうと考えています)

同じ情報でも、個別の事情により何回も使用する事もあれば、一回も使用しないこともあります。

 

3、不動産は息の長い商品で数も多い。

皆さんは不動産を売買するのは一生のうちで何回だと思いますか。私自身は「一生に一度」というアピールを以前は信じていましたが、不動産業界に10年以上いると、その一生に一度と言う言葉はあまり正確に実態を表していないと感じます。

当社には年間2000組近くの不動産売却検討の方からお問い合わせがございますが、不動産取引は2度目、3度目という方が結構いらっしゃいます。昔住んでいた家を売却して今の家を購入したが、マンションに引っ越す、高齢者施設に行くという事は勿論、自宅は保有しているが、親の家を売却するという事も含めれば1回では済まないのは普通に考えて理解いただけると思います。

私の個人的な感覚ですが、約10年~30年に一度の割合で不動産取引をされる方が多いように感じます。高齢化と少子化が進む中においては、親族の不動産処分も考えると、「一生に一度」という言葉は実態にそぐわなくなっていると感じます。

但し、そういった中でも不動産という商品は一生に一度程ではないにしろ、10年~30年の間に一度ある程度の取引件数で、同じ物件が回転するという事もその位の頻度なので、過去のいきさつが忘れられやすいです。そして、同じ不動産でも時の経過により事情が大きく変化しています。

(建物保守状況、所有者状況(相続されたとか)、街の移り変わりによる立地状況等)

又、同じ物件が同じ会社で再度売り出される保証も無く、違う会社から売りに出される場合、その不動産情報はリセットされ再取得する必要が出てきます。

(関連する法律も大きく変化しています)

不動産会社は全国に約12万社あり、これは全コンビニ店舗数の約6万店の倍の数値となります。

 

日本国内の自動車総数は約8000万台です。それに対して住宅ストックのみで約6000万戸、土地やその他不動産も含めるとさらに多くの数があります。

商品回転10年~30年×不動産会社数12万社×時の経過による変化 = 個別情報数

個別性の強い情報×取引段階×売主様の事情×買主様の事情 = 使用情報数

上記の要因による複雑さが不動産取引におけるトラブルを生じさせる要因になります。この不動産情報の個別性と複雑さを必要なステップや情報を残しながらも、組織として出来る限り単純化していく方法が今後、不動産売却で有用な提案をしていくには必要なことだと思います。

 

4、情報統合にはITの力が重要。

インターネットが普及してから、こういった情報を管理する手段が格段に増えました。IT系スタートアップと呼ばれる企業が色々なサービスを提供しています。

しかし、こういった商品は個別それぞれの段階で効率化を図るには役に立つものも多いですが、取引の一連の流れを一貫性をもって効率化を図れる商品は残念ながら一切出ていないのが現場としての率直な感想になります。

どの様な物事についても、最初から最後まで論理と整合性一貫性を持った対策が一番の有効性を高めると思いますが、ケースバイケースや個別性の強い情報が、一貫した対策による効率化に資する商品を出しにくくしています。

私が不動産流通企業を創業してから5年目位にはこの現実を感じ、外部のIT系の既製品にはそこまで大きな期待を抱かなくなりました。

その頃からクラウドサービスを利用した自社システム構築を考え、4年前から利用を開始し、今ではほぼ全ての対面営業を除く間接業務がクラウドサービス上で出来る様になっています。営業マンがお客様と接する裏で使用していた時間の圧縮につながり、その分お客様との接点の確保とサービスに力を注ぐことが出来るようなりました。

個別性の強い情報の塊だからこそ、その情報をスムーズに流す仕組みや考えが必要だと感じます。

 

5、当社は継続して不動産売却に重要な情報統合に取り組んでいます。

個別性の強い不動産と言う情報の塊をスムーズに取り扱えるように今後も社内システムの強化と、仕組みの構築を行ってきます。それにより、同一人員でもお客様との接点をより密にする事が出来、地域へのお役立ちも出来ると考えています。

人への教育も重視しながらも、会社の責任として情報体制の構築を進めます。

不動産売却をご検討の際は、こういった考えを持っている【イエステーション北章宅建株式会社】を選択肢の一つとして思い出して頂ければと思います。

きっと皆様のお役に立てると思います。

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