2020.07.08郷土誌から読み解く地域歴史情報

トーメン石狩ニュータウン『緑ケ原』と『虹が原』とは何か ~現代編~

さて、石狩市というのはその成り立ちからして札幌市のベッドタウンとしての役割と、物流・海運・エネルギーの産業拠点としての役割を担っているというのは以前ご紹介した通りです。
そのような背景の中で石狩市にも様々なニュータウン計画が生まれてゆきました。

石狩ニュータウン

その中の一つが今回紹介する『トーメン石狩ニュータウン』です。
別名『トーメン団地』とも言いますが、正確な地名は『石狩市緑ケ原『石狩市厚田区虹が原となっています。
これは昭和末期の団地開発当初、この地域が石狩町厚田村の2つの自治体に分かれていた経緯によって、同じ町名とすることは出来ず、緑ケ原虹が原という2つの町名が出来たという経緯があります。
まー、『ケ』と『が』の使い分けがどうして生じたのかは分かりませんが・・・
しかしながら、両者は一体的に開発された土地であって、これを包括して呼称するのであれば当時の分譲業者が設定した名称『トーメン石狩ニュータウン』或いは、バス停の名前にもなっている、よりくだけた言い方である『トーメン団地』とするのが適当でしょう。

トーメン団地のバス停

『トーメン団地』の『トーメン』とはこの団地を造成した株式会社トーメンに由来するもので、これは元々の社名は東洋綿花株式会社という、繊維会社を発端とする総合商社でした。
検索をしてみると、Wikipediaの情報ですが高知県高知市一宮東町にも『トーメン団地』と呼ばれる団地があるそうです。

トーメン団地バス停前の道路

同地は札幌市北区から石狩市を経由して留萌市に到達する日本海側沿いの道、国道231号線沿いにある住宅地であり、この道は一部が日本海沿いの観光用道路『オロロンライン』とも呼ばれています。
国道231号線に沿ってゆくと、石狩市役所周辺の市内中心部を過ぎ、親船町を避けて石狩河口橋を渡り、石狩川右岸の八幡町を越えた辺りの国道南東側に所在するのが『トーメン団地』です。

緑ヶ原の地図

国道の他、区画の南西側には聚富川が隣接しており、この周辺もトーメン団地以外は現在も『石狩市厚田区聚富』と呼ばれており、トーメン団地が開発される以前はこの周辺も漠然と聚富と呼ばれていたようです。
ちなみに聚富の読み方は『しっぷ』ですね、地元の方が住所を書く際にも、ひらがな表記をしている場合もあるようです。

 

当初、石狩と厚田に自治体が分かれていたこともあってか、緑ケ原と虹が原にはそれぞれに会館が所在しています。

緑ヶ原会館

紫色の外壁が石狩市緑ケ原1丁目174番地に所在する『緑ケ原会館』

虹ヶ原会館

オレンジと濃緑の三角屋根と白い外壁が石狩市厚田区虹が原165番地345に所在する『虹が原会館』です。

 

緑ケ原会館から虹が原会館まではなんと徒歩6分、ごく近距離にこういった施設が密集してしまうのは不自然なことでありますが、石狩市と厚田村が合併したのは平成17年のことですから、これは致し方がない事と言わざるを得ないでしょう。

高台からのニュータウンの写真

ブラウンの外壁の住宅

ニュータウンの小さな道路

ニュータウンの車庫のある家

ニュータウンの交差点

ニュータウンの家と空き地

ニュータウンの十字路

様々な事情があって、住宅の密度は若干低めではありますが、幅に余裕のある道路がしっかりと通っており、ゆとりのある住宅街が形成されています。

 

国道231号線からの入口付近に戻ってみましょう。

大きな道路と看板の影

道路に影を落としているのは、少し変わった形の案内板。

ニュータウンの案内板

国道沿いに厚田、古潭、望来と厚田区・・・当時の厚田村の地名と距離が併記されており、右には虹が原-表記は虹””原となっていますが-がある事が分かります。
ここに緑ケ原が書かれていないのも、恐らくは当時この場所が厚田村であったことによるものでしょう。

木の案内板
そこから少し南西側へと視点を引きますと、国道231号線北側のフロンテア乗馬クラブが見えます。
札幌近郊では札幌市南区にも乗馬クラブが何件かありますが、札幌北部、石狩、当別などからはアクセスの良い立地なのではないかと思います。

 

国道231号線を挟んで南側には、商店、セラーズ トーメン団地店:有限会社バラエティーショップあべが所在しています。
セラーズは北海道のローカルコンビニですが、厚田・石狩の地場の名産品なども多く取り扱っているようです。
また、看板に『コストコワールド』なる記載がありこれがオフィシャルかどうかは置いておいてコストコの商品が販売されており、インターネット上でも話題になっているようです。

コストコワールド・セラーズ

石狩の中心的住宅街である花川へは車で15分とはいえ、やはり徒歩圏に商業施設があるのはよいことです。

トーメン地区航空写真

 

さて、緑に囲まれ整然とした街並みとなっている『トーメン団地』『緑ケ原』『虹が原』ですが、このエリアはどのような経緯を以て開発されて来たのでしょうか。

次回は可能な限り資料を遡った明治から昭和、平成に至るまでの歴史をご紹介してゆきます。

 

当記事は石狩エリアで地域ならではの不動産の売却・購⼊・賃貸・管理に関するノウハウを有し、リフォームや賃貸物件の管理も得意とするイエステーション:北章宅建株式会社のスポンサードコンテンツです。

石狩エリアの不動産に関するご相談はイエステーション⽯狩・手稲・⼩樽・江別・滝川・余市の各店舗への依頼をお薦めします。

細井 全

【参考文献】
◇石狩市郷土研究会『いしかり暦 第14号』平成13年
◇石狩町『石狩町史 上巻』昭和47年
◇石狩町『石狩町史 中巻一』昭和60年
◇石狩町『石狩町史 中巻二』平成3年
◇石狩市『石狩町史 下巻』平成9年
◇石狩市『石狩市年表:石狩市史/資料編1』平成15年
◇石狩市『石狩ファイル』各号
◇高岡開基百年事業協賛会『高岡開基百年史』昭和59年
◇大野忠夫『石狩市 石狩八幡町物語』昭和50年

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