マンションのこと2020.10.06
マンション住み替えで損をしない、売却・購入の進め方やお金の知識を徹底解説
※コラム内容は掲載当時の最新情報となり、現在改正されている場合があります
結婚や出産といったライフステージの変化によって、今のマンションが手狭になり、住み替えの必要が出てくる場合があります。しかしながら、ただでさえ手間のかかる売却と購入を、同時進行で行うのは大変です。
そこで今回は、住み替えに伴うマンションの売却・購入の手順や、住宅ローンなどお金に関する知識を徹底解説。注意点やポイントを参考に、初めてでも損をしないよう賢く住み替えを行いましょう。
マンションの売却と購入の進め方
マンションの住み替えでは、「売却」と「購入」の両方を行います。どのような手順で行えば良いのでしょうか。
通常のマンションの売却と購入、それぞれの進め方を見ていきましょう。
1.マンション売却の流れ
マンション売却は、主に以下の流れで行います。
①マンションの査定~媒介契約締結
②販売活動
③売買契約締結~引渡し
①マンションの査定~媒介契約締結
まずは、マンションがいくらで売れるのか、不動産会社に査定を依頼します。
この時、できるだけ複数の不動産会社に依頼するのがポイント。マンションの売却は、個人でもできなくはありませんが、買主を探す難しさや複雑な手続きなどがあり、不動産会社に仲介を依頼することがほとんどです。
複数社に査定を依頼するのは、査定結果を比較して売出価格を決めるだけでなく、信頼できる不動産会社を見極めるためにも重要です。
仲介を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。
媒介契約を結んだら、マンションの販売活動が始まります。
②販売活動
インターネットやチラシでの広告は不動産会社が行いますので、売主は購入を検討している人が現れたら内覧に対応します。
内覧は、売れるかどうかを左右する重要なポイントです。好印象を持ってもらえるよう、部屋の掃除や不要品の処分は事前に済ませておきましょう。
立ち会いの有無はケースバイケースですが、立ち会う場合は、できるだけ相手の希望日程に合わせられるようにしてください。
③売買契約締結~引渡し
購入者が見つかり、マンションをいくらで売却するか折り合いが付いたら、いよいよ売買契約です。
売買契約を締結した後は、買主による住宅ローンの本審査が行われます。審査の承認を得たら、決済~物件の引渡しへと進めます。
2.マンション購入の流れ
通常のマンション購入の流れは、以下のようになります。
①物件探し~内覧
②売買契約締結~ローン審査
③決済~引渡し
①物件探し~内覧
資金計画を立て、自分が購入できるマンションの予算を決めたら、希望の間取りや広さ、周辺環境など、希望の条件もピックアップ。インターネットやチラシで物件を探します。
気になる物件があれば内覧を申し込みましょう。購入したい物件が決まったら、買付申込書を提出します。
住宅ローンの事前審査は、買付申込の前後で済ませておくとスムーズです。
②売買契約締結~ローン審査
買付申込書を提出した後、売買価格や引渡し時期等の条件の折り合いがついたら売買契約を締結します。
契約を結んだら、住宅ローンの本審査に入ります。
売買契約時には手付金を支払いますが、住宅ローンの本審査に落ちた場合は解約になることもあります。
そのため、住宅ローン否決時には売買契約を白紙解約できる「住宅ローン特約」を契約に盛り込んでもらうことが大切。これがあれば、万が一本審査に通らず、売買が成立しなかった場合でも手付金はそのまま返却されます。
③決済~引渡し
住宅ローンの本審査が承認されれば、決済と引渡しを行います。
損をしないマンション住み替えのタイミングとは?
マンションの住み替えに、最適なタイミングはあるのでしょうか。
住み替えの必要性が出てきた時が一番なのはもちろんですが、実はそれ以外にも住み替えに向いているタイミングがあります。
それは、住宅ローンやマンションの修繕費など、お金の面から考えたタイミング。住み替え時期をコスト面から考えると、以下のタイミングが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①大規模修繕前
②築20年程度
③住宅ローン控除の期限が切れる頃
①大規模修繕前に住み替えする
一般的に、マンションは10年~15年ごとに建物を維持管理するための大規模な修繕工事を行います。そのための資金として、毎月居住者から徴収し、積み立てられているのが修繕積立金です。
修繕積立金の額は、修繕にいくらかかるのかを予想して決定されるため、大規模修繕に想定以上の額がかかった場合は、その後の積立額が大きくなります。老朽化が進んだ築年数の古いマンションも、修繕積立金が高くなる傾向があります。
そのため、住み替えするなら、次の大規模修繕が行われる2〜3年前がおすすめ。修繕積立金の増額前の方が売却もしやすいため、このタイミングで検討するのが良いでしょう。
②築20年程度を目安にする
築年数はマンションの売却額に大きく影響します。
新築が好まれる日本では、一般的に新築時点が一番価格が高く、築年数が古くなるにつれ価格が安くなっていきます。
ただ、一定の築年数を経ると、売却価格の下落率は緩やかになっていきます。次のデータが参考になります。
〈三井住友トラスト不動産 マーケット情報より〉
2011年における中古マンション坪単価
築1年…261.4万円
築10年…203.8万円
築20年…149.9万円
築30年…147.6万円
築40年…142.1万円
これを見ると、築20年までは下落幅が大きいですが、それ以降は下落も小幅にとどまっています。
高値で売れるタイミングを考えるのであれば、築10年~20年のうちが、買主を見つけやすいと言えそうです。
築20年以上の物件が売却できないことはありませんが、古くて見栄えが悪くなっているほか、住宅設備も老朽化しています。売却するためには、設備の交換やリフォームを行うなどの工夫が必要になります。
さらに築年数が古くなるほど売却しづらくなるため、早めの判断が重要です。
③住宅ローン控除の期限が切れる頃に住み替えする
住宅ローンを借りて自宅用マンションを購入すると、13年間、年末のローン残高の最大1%が所得税と住民税から控除されます(以前は住宅ローンの控除期間は10年でしたが、消費税10%になってから13年になりました)。
この制度を最大限活用するため、控除が切れる13年以降を住み替えのタイミングとするのも一つの目安です。
通常、住宅ローン控除の上限額は1年間あたり40万円。13年間の合計最大控除額は500万円を超えるため、非常に利用価値が高い制度です。
売却時には住宅ローン控除の期間が何年なのか、いつ控除期間が切れるのかを確認しておくようにしましょう。
マンションの住み替えにかかる諸費用
マンションの住み替えには、ローン以外にもいろいろな費用が必要になります。諸費用だけで結構な額になるため、あらかじめどの程度の費用が必要になるかを把握し、資金不足にならないよう気をつけましょう。
マンションの売却、購入、住み替え、それぞれにかかる費用を説明していきます。
1.マンション売却にかかる費用
一般的に必要なのは下記の費用です。概ねマンション売却価格の1割程度かかると考えるとよいでしょう。
・印紙税…1,000円~60,000円(売却額に応じて)
・ 仲介手数料…売買価格の3%+60,000円+消費税(売却額400万円以上の場合)
・登記費用…10,000円~20,000円程度(抵当権抹消登記)
・ローン一括返済手数料…5,000円~30,000円程度(金融機関により異なる)
また、売却で得た利益に対しては譲渡所得税がかかりますが、投資用ではなく自宅用不動産の売却で生じた利益は、3,000万円まで控除されます。
2.マンション購入にかかる費用
購入時にかかる費用も、一般的にマンション購入価格の1割程度が目安になります。マンション購入時、住宅ローン契約時、マンション購入後、それぞれの段階でかかる費用に分けてみていきます。
〈マンション購入時にかかる費用〉
・印紙税…1,000円~60,000円(契約金額に応じて)
・固定資産税…固定資産税評価額×1.4%(軽減制度有)
・都市計画税…固定資産税評価額×0.3%(市街化区域内にある場合のみ・軽減制度有)
・登記費用…100,000円~200,000円(所有権移転登記+抵当権設定登記)
・仲介手数料…取引価格の3%+60,000円+消費税(取引額400万円以上の場合)
なお、固定資産税と都市計画税は、購入日から年末までの残日数に応じた日割り計算となります。
〈ローン契約時にかかる費用〉
・事務手数料や保証料:借入金額の1%~2%程(金融機関により大きく異なる)
・印紙税…1,000円~60,000円(ローン金額に応じて)
〈マンション購入後にかかる費用〉
・不動産取得税…住宅の固定資産税評価額-控除額×税率3%(軽減制度有)
3.マンション住み替えにかかる費用
住み替えには以下のような費用がかかります。
・仮住まいの家賃
・退去時のクリーニング費用
・引越し費用(2回分)
購入したマンションに移るまでの仮住まい期間や引っ越しの時期によって、費用は大きく変わります。忘れずに資金計画に入れておきましょう。
マンション住み替え時のローンに関する手続き
住み替えのためにマンションを売却するには、住宅ローンが完済されている必要があります。
一般的にローンの残債はマンションを売却した代金で一括返済しますが、完済できない場合は自己資金を充当するか、「住み替えローン」を使って住み替えることができます。
1.住宅ローンと住み替えローンの違い
通常の住宅ローンは、マンションの購入額を上限として融資されます。
一方、住み替えローンは、新しいマンションの購入資金に、マンション売却で完済できない今のローンの残債を上乗せして融資してくれます。
例えば、2,000万円のマンションを1,500万円で売却し、3,000万円のマンションに住み替えるためには、通常差額の500万円を自己資金で支払い、3,000万円の住宅ローンを組む必要があります。
これが住み替えローンを利用すれば、ローン残債と新しいマンションの購入費の合計、3,500万円のローンを組むことができるのです。
ただし、住み替えローンには以下のようなデメリットがあります。
・ローン審査が厳しい
・金利が高い
・売却と購入の精算日に条件が付く場合がある
住み替えローンの融資額は「売却後の残債+新居の価格」で、担保となる新居の価格以上の借り入れとなります。そのため年収や勤務先、ローン返済履歴などの審査が厳しく、通らない可能性もあります。
審査に通ってローンが組めても、通常の住宅ローンより金利が高い場合が多いため返済額が高くなりますし、「売却と購入を同日に精算する」という条件が付く場合がある点にも注意が必要です。
住み替えローンを利用する際には、条件をよく確認し、無理のない返済計画を立てることが何より大切です。
2.ローン残債次第では売却できないケースも
マンションの住み替えでは「ローン残債次第ではマンションを売却できなくなる」という点に気をつける必要があります。
すでに説明した通り、住み替えのためにマンションを売却するには、ローンの残債が完済されている必要があります。これは、住宅ローンを組むと、対象の物件に対して抵当権が設定され、完済しなければ抵当権を抹消できないからです。
住み替えの手順は、以下の3パターンがあります。
①「購入」と「売却」を同時に進める
②「売却」してから「購入」する
③「購入」してから「売却」する
このうち②の売り先行では売却できたことを前提に購入するため問題になりませんが、①同時進行や③買い先行では、ローンの残債が原因でマンションが売却できない可能性もあります。
マンション売却ができないと大変なことになります。そんな事態にならないよう、あらかじめ余裕を持って資金計画を立てることが大切です。
まとめ
マンションの住み替えでは、売却と購入を両方行わなければいけないため、手順やタイミング次第では損をしてしまう場合もあります。
また、ローン以外にも様々な費用がかかるので、余裕のある資金計画を立てることが大切です。
特に重要なのは、マンション売却時にローンを完済する必要があること。売却額で完済できない場合は、住み替えローンを利用するか売却自体ができないこともあります。
マンションの住み替えがうまくいくかどうかで、その後の生活は大きく左右されます。事前に手順やお金についての疑問を解消し、スムーズな住み替えを実現させてください。
イエステーションでも、マンション住み替えを検討している方をしっかりサポートします。ご相談があればお気軽にお問い合わせください。
著者
札幌北店 蛸星 香奈実日々、お客様とのふれあいを通じて、新たな発見ができることを楽しみながら仕事をしています。 ご売却、ご購入に限らず、お住まいでお悩みのことがありましたら何でもご相談ください。 過去の経験や知識を活かし、お客様の希望をかなえられるよう、より良い提案をさせていただきます。どうぞ宜しくお願いいたします。
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