税金のこと2021.01.26

マイホームの買い替えはどちらが得!?3000万円特別控除と買換え特例。

不動産を売却して譲渡所得(利益)が発生した時には、得られた利益額に応じて所得税と住民税がかかります。額が大きいほど納める税金も上がるため、税金を安く抑える特例制度を使わない手はありません。

一定の要件を満たしていれば、譲渡所得には「3,000万円特別控除」や「特定居住用財産の買換え特例」が適用されますが、併用は認められていません。

「3,000万円特別控除」と「特定居住用財産の買換え特例」は、どちらを利用した方が有利なのかみていきましょう。

家の費用で悩む夫婦

住まいの買い替えに活用できるお得な制度
居住用の不動産を売却した時は、「マイホームを売ったときの5つの特例」といわれる、次の5つの特例制度が適用になる可能性があります。

①3,000万円特別控除
②10年超所有軽減税率の特例
③特定居住用財産の買換え特例
④居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
⑤特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

不動産の売却価格から購入価格を差し引いた額を譲渡所得(利益)といい、この利益に対して税金がかかります。上記のようなお得な制度をうまく使って、しっかり税金を抑えましょう。

今回比較する税控除の制度を簡単に説明します。

●3,000万円特別控除とは…

居住用の不動産を売却した場合に、所有期間に関係なく譲渡所得から特別控除として、最大3,000万円を差し引くことができるという特例です。
そのため譲渡所得が3,000万円以下なら税金がかからず、それを超える部分にのみ課税されます。

●特定居住用財産の買換え特例とは…

居住用の不動産を売却した金額より買い換えたマイホームの購入金額の方が大きければ、売却益に対する課税を将来に繰り延べできる制度です。課税のタイミングを将来に先送りするため、税金の支払いを免除される訳ではないので注意してください。

「3000万円の特別控除」と「買換え特例」を比較
居住用の不動産の譲渡所得が3,000万円以下の場合は、「3,000万円特別控除」を使えば税金は発生しません。

3,000万円を超えた場合は、買換え資産の価格により「3,000万円特別控除」か「特定居住用財産の買換え特例」のどちらを利用すると良いのか比較しましょう。例題を元に計算してみましょう。

〈例題〉
相続により取得した自宅を平成27年12月に8,000万円で売却した。取得費は不明で、10年超所有しており、譲渡費用は300万円だった。この場合、「3,000万円特別控除」か「特定居住用財産の買換え特例」のどちらを使った方が有利だろうか。

●3,000万円特別控除を適用した場合

A:譲渡所得を求める
譲渡収入−(取得費+譲渡費)
8,000万円−(8,000万円×5%+300万円)=7,300万円

B:「3,000万円特別控除」を適用する
7,300万円−3,000万円=4,300万円
10年超所有しているので「10年超所有軽減税率の特例」を適用することができます。
4,300万円×14.21%=6,110,300円(所得税・住民税)

●特定居住用財産の買換え特例を適用した場合

上記と同じ条件で譲渡(=売却)し、取得費を含む5,000万円の物件に買換えたとします。

譲渡(=売却)収入費用は8,000万円−5,000万円=3,000万円
(8,000万円×5%+300万円)×3,000万円÷8,000万円=2,625,000円
譲渡所得は3,000万円-262.5万円=27,375,000円

「譲渡代金>買換え代金」の場合には、その差額について長期譲渡所得の税率(20.315%)で課税されるため
27,375,000円×20.315%=5,561,231円(所得税・住民税)

したがって、このケースでは「特定居住用財産の買換え特例」を選択した方が有利という結果になります。ただし、この取得費は将来売却した時に引き継がれることに注意が必要です。

虫眼鏡でチェックのイメージ

まとめ

このように、「3,000万円特別控除」と「特定居住用財産の買換え特例」のどちらを選択した方が有利かは、ご自身の状況によっても異なります。損をしないよう、実情に合わせて計算してから決めましょう。

北章宅建では、売却など不動産のことなら何でもご相談に応じています。お困りのことがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。

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