2019.08.26不動産売買についての考察
【住宅売却時に建物診断(インスペクション)は必要か】『~古い住宅、空き家でも建物診断無しで安心して売却可能です~』
北章宅建株式会社の坂本です。
という不動産売却に関するコラムを書いてきました。
今回は、建物診断と不動産売却、不動産取引の関連性を書いてみたいと思います。
建物診断(インスペクション)とは何か
建物診断(インスペクション)はその名の通り、不動産、住宅内外の検査を行う事を総称したものです。別名で、建物状況調査、ホームインスペクション等とも言われます。
ここ最近は、不動産売買に関わる法改正の動きもあり、不動産売買に関連する内容として説明されたり、制度の紹介がされる事が多いです。
以下、このブログでは、【建物診断】と統一して記載します。
2018年4月1日に宅地建物取引業法の一部が改正され、不動産契約に先立つ重要事項説明時に建物診断を行っているかどうかを重要事項説明書に記載をする事が定められました。
(決して建物診断を行う事が義務化になったわけではありません)
不動産売却時において、
【買主に診断を提案する会社】、【売主に診断を提案する会社】、【そもそも診断自体提案自体しない会社】、【お客様の判断に委ねる会社】等
各社によって、その制度の捉え方が大きく違います。
リフォーム受注を目的として、売主に建物診断を提案するという会社も現実に存在します。
先に記載しますが、私個人としては売主が建物診断を行う事はメリットが少なく、大きな意味を持たないと思います。
不動産売買に14年携わった経験と、会社として年間500件以上の不動産取引を行っている現場から考えた、既存の取引の要点と建物診断の制度の意味を考えてみたいと思います。
誰が建物診断を行うべきか
不動産売買時において、この建物診断を行うのは売主でも買主でも良く、誰が依頼者になるかは決められていません。そもそも診断自体行わないという選択肢もあります。
私が考える建物診断を誰が行うかですが、
『買主が希望する場合において買主自己負担で行うべき』
『不動産会社として、その選択肢をきちんと理解して提案する』
と言うことが重要だと考えています。
売主が行う場合
1、建物診断が無くても取引の安全を担保出来る事。
2、売却する物件である為、受益者でないこと。
3、建物診断を行ったとしても、高く売却できる保証が無い事。
4、そもそも買主が必要としない場合も多い事。
等から、必要性が薄いと思います。
買主が行う場合
1、購入する物件で、受益者であること。
2、受益者として建物診断をするかどうか能動的に決められる立場にあること。
3、建物診断の結果をもってして、購入するかどうかを検討出来る立場にあること。
4、不必要な場合は、行わなくても良い事。
等から、必要性があれば行うという選択肢が重要だと考えています。
特に、建物診断が無くても不動産取引の安全を担保出来るという事を考慮せずに、売主側からの建物診断を不動産会社から取引時に提案するというのは、不動産取引の慣行を考えると中々お客様起点のメリットを見出せません。
(リフォーム受注を目的とした不動産会社としてはメリットがあるのかもしれません。決してその様な会社ばかりでは無いかと思いますが)
売主のリスクは現状渡し+物件状況報告書で回避できる
前回、【安心安全な不動産売却、取引とは】で物件状況報告書の大切さを書きました。
取引の安全を図るには、一定の範囲において、書面での情報公開が重要です。
この一定の範囲を示す書面は物件状況報告書であり、物件状況報告書で何をもっての現状渡しかを示し、その上で現状渡し、瑕疵担保免責(かしたんぽ:物件の保証、めんせき:行いません)を特約として、きちんと反映出来れば、不動産売却後の物件保証、修繕に関するリスクは回避できます。
個別性の強い情報である、売主として保有している情報をきちんと一定のルールで公開する姿勢を示せれば、古い家や、空き家、価格の安価な不動産でも、建物診断無しに安心して売却が可能です。
建物診断を買主が希望する場合、売主としては出来る限り協力しましょう
こういった中で、自身で診断費用も負担し、購入するかしないかを最終決断するために、建物診断を行いたいという希望をされる買主様がいらっしゃいます。
この様な場合、売主様は出来る限り協力いただく事が重要だと思います。
この場合の協力とは、
必要な図面は公開する、居住中の場合の立ち合い、住宅内部を見せて頂く、建物診断時の聞き取り事項に回答いただく
等であり、金銭面の負担はありません。
(その代わりに、購入の可否に関わらず、診断結果は売主様に交付して頂くというお願いを、当社では必ず買主様にお願いしています)
ご協力を頂くことにより
1、診断希望が通る安心感。
2、診断出来ていれば別の選択肢があったと言ったトラブルの回避。
3、売主様の金銭負担なしに物件状況報告書を補強できる。
(買主様からの情報の交付による)
等の取引の安全確保におけるメリットが生まれます。
情報を公開する、深堀するという姿勢が取引の安全を格段に高めます。但し、その運用にはきちんとメリット、必要性を考慮して、論理をもってご提案する事が不動産会社として重要だと思います。
(決められた事を表面だけでそのまま鵜呑みにせず、しっかり考える様にしています。又、そういった価値観を大事にしたいとも考えています)
当社はきちんと一定の方針で対応します
今回の内容をまとめます
1、建物診断は行うこと自体が義務化されたわけではない。
2、売主から行う必要性は薄い。
3、必要があれば買主が行うメリットもある。
4、買主が自己の負担で建物診断を希望する場合は、売主としては協力した方が良い。
5、売主からの協力には金銭的支出は伴わない。
6、売主からの協力により、取引の安全は補強される。
という事になります。当社では、不動産売却の依頼を受ける際に、「売主様からは建物診断をする必要性は無いですが、買主様が希望する場合はご協力をお願いします」と必ずお伝えします。その上で、買主様には、購入申込時に建物診断をするかどうかを必ず書面で伺います。
建物診断と不動産取引というと一見、難しいイメージもあるかと思います。
不動産会社として、売却される方、購入される方それぞれの立場による、メリットと必要性を考慮の上で、一定の方針で対応するのであれば、不動産売却、取引をよりスムーズにする事も可能です。
不動産売却の際は、ぜひ当社 【イエステーション北章宅建株式会社】へお気軽にご相談ください。個別の手段としてのメリットと必要性を考慮の上、専属地域担当者による地域情報を加味した、より良い不動産売却のご提案を行える様努力いたします。
今後ともよろしくお願いします。
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