2019.07.22不動産売買についての考察

【人口減少下でも不動産は売れます】『 ~不動産と人口と世帯数の関係性について~』

『人口減少』『少子高齢化』というキーワードがニュースで取り沙汰される様になって結構な時間が経過しています。

新聞、雑誌、ニュース等でこのフレーズを見ない日は無いと言っても過言では無いと思います。

 

こういった『人口減少』『少子高齢化』がひと際目立つ地域(地方、旧産炭地、斜陽都市等)で不動産流通を担っている当社としての不動産への考えと未来予測を人口減少が数十年続いている小樽の歴史不動産流通の現状を踏まえて書いてみたいと思います。

 

太平洋戦争の結果として樺太が失陥し、そして樺太への航路を失いました。

南樺太が日本国領土であった時代、それまで炭(岩見沢)鉄(室蘭)港(小樽)による日本海側、樺太への石炭、その他製品の積み出しの需要が小樽を潤し、それこそ北のウォール街と呼ばれる繁栄をもたらしてきましたが、その繁栄の礎を一瞬にして失ったのです。

 

悪い事に、同時期に鰊も取れなくなり「群来(くき)」が来なくなりました。

あれだけの繁栄を誇った小樽の人口減少が昭和35年頃より始まっています。

ベビーブーム日本の高度成長の頃も人口が増えることなく減少を続けています。

当社北章宅建が小樽市にお店を出したのは2012年の頃になります。

 

その当時小樽市は13万人の人口がいましたが、2019年現在は11万6000人程度年間2000人の人口減少があった計算になります。

 

そういった中でも、相場程度の住宅が売れないという事はよほどの事情が無い限り感じることはありませんでした。

賃貸もよほど悪い状況の物でなければ、人口が増えている札幌市よりも決まりが早いイメージがあります。

『人口減少=不動産が売れない』『人口減少=家余りで不動産が貸せない』『人口減少=空き家が激増する』という様な予測とは、現実はどうも違うのでは無いのかと考え始めたのが小樽市への出店後3ヶ月を経過してからの頃でした。

もう一度人口の推移表を見てみたいと思います。

『人口は減少』していますが、『世帯数はほぼ横ばい』を維持しています。

世帯数を維持する代わりに、『一世帯当たり人員が減少』しています。

そして『老年人口(65歳以上の方)は全体の4割近く』を占めます。

 

この数値から読み取れるのは、既存住宅への同居家族が何らかの事情で減ってはいるが、空き家が増える程には世帯数は減っていないという事です。

小樽市住民基本台帳人口事由別異動調べ 異動理由

 

小樽市役所の異動調べを見てみると、『社会動態の減少』以上に、『自然動態の減少』が目立ちます。

 

『人口は減少』『世帯数はほぼ横ばい』『一世帯当たり人員が減少』『老年人口(65歳以上の方)は全体の4割近く』『自然動態の減少』を組み合わせると、『高齢者夫婦の世帯で構成人員が減少』しているが、その家が空き家になるまでには至っていないという事が考えられます。

 

空き家の定義 = 1年以上住んでいない、または使われていない家を「空き家」とする。

(空家等対策の推進に関する特別措置法より)

 

不動産も資産の一つですから、需給により値段が上がったり下がったりします。

誰かが住んでいる以上、その家は空き家ではなく、立派に使われている住宅です。

空き家は法律的にも、コスト的にも、地域とっても放っておいても良いことは無いので、殆どは何らかの形で利用か処分を検討される動機が働きます。

 

この空き家が激増しない限り、産業のある地方都市(小樽の場合観光と札幌のベッドタウン、後志管内唯一の都市という地位)で本当に目立つ家余りが起きにくいはずです。

(現に、小樽市の平坦な土地、住宅は不足しています)

賃貸も都市部ほど供給されないので、きちんと住める状態になっていて相場の賃料であれば借り手も付きます。

 

但し、そうはいっても人口と不動産は密接に関係している以上、この家余りが永遠に起きないのではなく、人口減少が続く以上は、いつかはどこかの段階で起きます

そのラインは『世帯当たり人員が1.5人以下』であると考えています。

1.5人以下になると、1人世帯の割合が全世帯の半数以上になり、老年人口の増加と相まって高齢単独世帯が増えます。

その高齢の方がお亡くなりになられたり、お子さんの近くに引っ越されたりすると、その住宅はすぐに空き家になります。

 

この1.5人のラインになると、恐らくたくさんの家が毎年、毎月売りに出るのではないかと予想しています。

(小樽は約20年後にその時期が来ます。但し、いきなり来るのではなく、今後20年の間に徐々に色濃く空き家の影響が出ます)

勿論、そういった未来においても、人間の営みがある以上、売れる不動産は売れます

 

全てが売れない、全てが売れるではなく、地域の中で色分けが徐々により濃くなるという事です。

 

そこで不動産業の経営者である私自身が考えてみた、逆風下でも不動産をより良い条件で売る方法を書いてみます。

『売れる状況になった時に早めに決断する、相談する(時間を味方につける)』

たったこれだけです。

 

このことに全てが集約されます。右肩上がりの時代は時間の経過と共に状況も良く成りましたが、今の様な時代は早めの対応が良い結果をもたらすと考えています。

 

ここまで小樽市を例に取り上げましたが、グラフ化してみると、どの自治体の人口統計を見ても同じような課題に直面している事が分かります。

北海道で言う札幌の様な街でもそうです。(人口減少が始まった区が増えています)

 

人生を重ねた思い出の住宅、実家、やっとの思いで購入した大切な家、住み慣れた地域から引っ越す大変さ、すぐ決断するとしても人間としての感情が大事なのも本当によくわかります。

家というものは決して値段だけで割り切れる物でも無いと思います。

 

そういった時にぜひお伝えしたい言葉があります。

「より良い生活のために、物の思い出も心に仕舞い、未来に向けて歩みましょう」

家というものは豊かな生活を過ごすためにあるもので、その物が何らかの不満になっていたり、負担に感じられている要因があるのであれば、思い出は心に仕舞いながらも、ライフスタイルの変化に伴いお住み替えをされるのも一つの手段だと思います。

 

不動産の事で何か困った際は、地域で動いている当社も一つの選択肢としてぜひ思い出して頂ければと思います。

地元の会社として、きっと良いご提案が出来ると思います。

不動産の売却、査定、空き家の処分、ご相談はイエステーション北章宅建へお気軽にご相談ください。

よろしくお願いします。

 

コラム引用
『小樽市住民基本台帳人口事由別異動調べ 令和元年6月末』
『平成22年国勢調査速報 小樽市町別人口・世帯数』


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