2019.08.19不動産売買についての考察
【安心安全な不動産売却、取引とは】『~不動産取引は情報伝達が何よりも大切です~』
北章宅建株式会社の坂本です。
前回、【同じ不動産でも売り出し方で売れ行きは大きく変わります】
という不動産売却に関するコラムを2度ほど書きました。
今回は、安心、安全な不動産売却、不動産取引の要点を書いてみたいと思います。
伝えた、伝えてないが不動産取引におけるトラブルの大半
不動産は同じ物が存在しない、個別要素の強い物です。工場で量産できるものでもなく、販売価格も相場を元にするとしても、個別要素で不動産価格にばらつきが出ます。
同じメーカー施工の同じ地域にある同じような住宅でも、「売却理由」、「使用方法」、「メンテナンスの履歴」、「近隣関係」、「敷地の向き」、「増改築の有無」、「ペット飼育の有無」等々、その物が持つ商品価値や性質等が大きく異なります。
土地も「売却里由」、「従前の使用状況」、「方位」、「間口」、「道路付け」、「立地」、「近隣関係」、「上下水道の状況」、「自治体による規制」、「用途地域」等により変化があります。
そして何より土地に定着する物なので、持ち運びが出来ず、現地まで足を運ばないと分からない事が多く、店頭や工場に現物を並べられないという特性があります。
同一商品が無く、集中して管理する手段が無いという事は、品質の不確実性が工業製品より大きく、この不確実性がトラブルを生む元になります。
この不確実な事象に対し、事前に「伝えられた」、「伝えられていない」という情報伝達の精度により不動産取引の安全度が大きく変わります。
私の体感では、この情報伝達に起因する不動産トラブルが、トラブル原因の8割を占めると考えています。
不動産取引におけるトラブルを防ぐには情報伝達が大切です
こういった不確実性に対し、売却される方と購入される方の間で情報伝達がしっかりと行われることによってトラブルを未然に防ぐ事が出来ます。
又、その手助けをするのが不動産会社としての役割でもあります。
口頭でも情報伝達が成立しますし、ご近所の事、町内会の事、夏冬の光熱費、設備の使用方法等、取引の機微に差し障らない様な事については口頭で情報伝達をされる事が多いですが、取引の機微に関わる事については基本的に書面で行われます。
この不動産売買における書面での情報伝達の方法として「物件状況報告書」、「重要事項説明書」、「売買契約書」、「販売資料」等があります。
書面のそれぞれの意味合いを説明します。
「物件状況報告書」 不動産物件に係る売主からの告知書
物件の状況(雨漏りがあったか、白アリは見たことがあるか、近隣とのトラブルは無いか、過去のリフォーム履歴、現状不具合のある設備はないか、擁壁の状況、土地境界の状況等々)を売主の告知により買主へ説明する書面になります。売主買主間で署名捺印を行います。
「重要事項説明書」 不動産物件に係る法律上の説明書
土地建物の所有権、所有権以外の状況、都市計画法、建築基準法に関わる事等、法律上、決められた内容について記載を行い説明する書面になります。法務局、各官庁などから情報や書面を取得し、物件ごとに情報を反映させて、重要事項説明書を作成します。売主買主間で署名捺印、取引に関わった不動産会社の押印を行います。
「売買契約書」 不動産取引における、お互いの約束事を示した書面
不動産取引における売主買主間の約束事を記載する書面です。いくらの金額で売るのか、いつ引き渡すのか、買主は融資を使うのか、融資を使う場合、融資不調の場合はどうするのか、手付金はいくらに設定するのか、その他の約束事は無いか等を記載します。売主買主間で署名捺印、取引に関わった不動産会社の押印を行います。
「販売資料」 販売物件のカタログ、説明書
売却中の物件の販売価格、土地建物の面積、築年数、間取り、引き渡し時期、その他条件、アピールポイントなどが記載されています。基本はどの会社も書式は同一ですが、さらに情報をどこまで記載するかが違いますので、基本情報以外には記載内容にばらつきがあります。
こういった書式を通じて情報伝達を行います。
「重要事項説明書」、「売買契約書」、「販売資料」は不動産会社で調査した情報や、売買金額、引き渡し日など比較的はっきりしている情報を基本的に反映させます。
「物件状況報告書」の情報は売主が保有している情報であり、個別性が大きいものです。
情報の取得の仕方や、個別性への影響が書類によって大きく違います。
「重要事項説明書」、「売買契約書」、「販売資料」不動産会社で調査した情報、比較的はっきりした情報(売買価格、引き渡し日等)
「物件状況報告書」売主が保有している情報、個別性が大きい情報(過去の生活、利用状況によるもの)
物件状況報告書によるしっかりとした情報伝達が不動産取引の安心安全を確保します。
契約書に現状渡しの特約があっても、物件状況報告書が無いと機能しない
何をもっての現状であるかを示す必要がある
よく取引にあたり、「この物件は現状有姿で引き渡す」、「本物件は修理修繕を行わない現状渡しとします」という特約を記載します。これはその文言の通り、修理も修繕をもせず、売主は修繕負担を負いませんよという内容です。
売買契約に当たっては売主も買主も立場は同じですから、中古物件等の理由で現状引渡しも特約として有効です。勿論法律の中で認められてもいます。但し、この特約を有効とするには、「物件状況報告書」で何をもっての現状かを示す必要があります。
この書面を取り交わしていない状況で、全てのリスクを回避しますというのは取引においては成立しません。
『こういった○○という状況で、築年も○○年経過しているので、設備保証は出来ません』
『こういった事が過去にありました。修理は○○年ころにしていますor行っていません』
こういった状況である事を物件状況報告書で示します。その上で、修理修繕を行わない現状渡しで購入してください。という事が現状引き渡しの特約を機能させるのに必要です。
当社が考える不動産取引における物件状況報告書の正しい使い方
物件状況報告書の正しい使い方、これは情報を早期に取得して、取引前の早い段階で伝えて、納得の上で申し込みを頂く、そして不動産売買契約時には既にお互い情報を共有している状況を作る事だと考えています。
取引の為だけにある単なる一枚の書類でもなければ、適当に記載する書類でもありません。
(契約時にその場で書類を作成する、元から不発行としている、記載内容があまりにも少ない等の不動産取引も見聞きする事があります)
物件状況報告書は不動産取引の安心安全を担保する書類でもあり
売主から見れば、売主の立場を守る書類であり
買主から見れば、個別性の大きな物件状況を事前に知るための書類でもあります。
当社は物件状況報告書の情報を必ず以下の流れで伝達を行っています。
不動産売却の依頼を受けた際に、売主様から細かく聞き取りして情報を取得する。
現地ご案内の際等、事前作成した物件状況報告書を元に、買主様へ要点をお伝えする。
具体的なお申し込みを頂く時に、事前作成した書面を買主様へお見せして納得頂く。
不動産売買契約時に清書した同じ書式を売主様、買主様、当社で読み合わせする。
読み合わせの結果、問題が無ければ当事者同士で署名捺印を行い、書類を保管する。
さらに現状渡しである場合の特約を
『本物件は築後○○年を経過している中古住宅であり、設備一切は修理修繕を行わない現状渡しとし、本契約書第○○条に規定する瑕疵担保も全文適用除外とする』
という書き方にしています。
不動産売却、取引における安心安全を担保するために「物件状況報告書」が果たす役割は非常に大きなものがあります。
特に古い住宅や、空き家、価格面で瑕疵担保や修繕義務を負いにくい物件は上記の安全策を考慮する事がより重要だと感じます。
その上で買主様にもいきなり契約時にお伝えするのではなく、案内時、申し込み時等の早期に情報を提供して、納得して購入されるか判断を頂きます。
不動産売却や査定を検討される際は、ぜひこういった安全策も考慮している当社、【イエステーション北章宅建株式会社】へお気軽にご相談下さい。個別の状況を考慮の上、地域担当者による売却可能性を高めたご提案、販売活動を行いながらも、不動産取引の安心、安全も出来る限り確保させて頂きます。
今後ともよろしくお願いします。
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