2021.04.16お役立ち情報
名産「石狩鍋」と鮭文化の石狩市
「石狩鍋」、「鮭」と耳にすると、北海道の名産品と認識するように、2つの食材と北海道が紐付けされるものです。
以前、「石狩市の成り立ちと歴史」をテーマにした記事を投稿した際に触れていますが、現在の石狩市ができるまでの間、29の周辺の市町村合併が行われてきており、現在の石狩市となっています。
石狩市の成り立ちと歴史~29の町村が1郡1町村に統合されるまで~
さらに、石狩市を流れる「石狩川」。一級河川でも名高く、長さは268kmもあり、信濃川、利根川に続く、日本で3位の長さを誇る川でもあります。
そんな石狩川を泳ぐ鮭を使う石狩鍋。
まさに、北海道を代表する2つの食材ですが、石狩鍋は他のお鍋と何が違うのか??
さらに、石狩鍋がなぜ全国で有名になったのか?も同時に追っていこうと思います。
食の宝庫と言われている北海道。もし、北海道に旅行に来られる際や、北海道の食の背景について知りたい場合は、ぜひご参考ください。
石狩鍋と三平汁の違い
日本全国には、その土地特有の郷土料理、いわゆるご当地料理があり、近年は、旅行ツアーや、日帰りバスツアーでも、ご当地料理をメインとしているパッケージプランが作られるほどです。
石狩鍋と同じく、北海道で有名なご当地料理の1つが三平汁。地元の方は、恐らく、「全くの別物」という認識ですが、地元ではない観光客ですと、「いまいち違いが分からない」といった声もあるものです。
そこで、2つのご当地料理の違いをまずは見比べてみましょう。
食材の違い
石狩鍋は、生鮭を使いますが、三平汁は、塩漬けされた鮭を使います。また、石狩鍋の魚食材は鮭のみとなりますが、三平汁は、鮭の他にも、タラ、ニシン、ホッケなども使っています。
味付けの違い
石狩鍋が、濃厚な味噌仕立てで、鍋を食すことで、温まった体が保てるような味付けになっているのに対し、三平汁は、昆布出しを元に、塩漬けをされた魚を入れることで、食材本来の味を引き立たせるシンプルな味付けとなっています。
野菜の違い
石狩鍋は、大根、人参、玉ねぎ、しいたけ、また、豆腐も入れていますが、三平汁は、主に根菜類と一緒に煮込んでいます。
しかし、2つの料理は、ご家庭によってバラエティに富んでおり、特に決まった野菜のみを使用しているというわけではありません。
石狩鍋の由来
今でこそ、全国区に名を馳せている「石狩鍋」ですが、そのルーツは江戸時代の漁師からと言い伝えられています。
石狩川河口付近は、昔から鮭漁業の盛んな地域で、漁師料理として食されていたことが、石狩鍋の発祥とされています。
家庭料理として身近なご当地料理で愛されていますが、その昔は、常々、食されていた料理ではなく、鮭の大漁を祝うお祝い料理として、食べていたそうです。
その時の褒美飯が、鮭のぶつ切りとアラを、味噌汁で煮込む料理、言わば、石狩鍋の前進とされています。
この漁師飯が全国で有名になったのが、昭和20年代ころ。鮭漁業として石狩市が全国で有名になり、鮭の捕獲方法の地引き網漁を見るために、全国津々浦々から石狩市に観光客が押し寄せたと言われています。
地引き網は、網を張ってから上げるまでに時間を要すため、観光客に、その間、石狩鍋を提供し食べてもらったそうです。
鍋を食べた観光客から、徐々に美味しいと広まっていき、現在のような有名なご当地料理となりました。
北海道産の鮭でないと石狩鍋ではないのか?
石狩市で漁獲された鮭でないと石狩鍋ではない!といった縛りはありませんが、地元のお食事処で提供される石狩鍋は、石狩川河口付近で漁獲された生鮭が使われています。
もちろん、北海道以外で石狩鍋を作るとなると、地域によって産地の鮭が変わってくると思いますが、どうせ自宅で作るなら、産地もこだわりたいところですよね。
鮭の漁獲量日本一の北海道
鮭は回遊魚とも言われており、生まれて川から、海に出て、産卵の時期に、再度生まれた川に戻ってきます。この間、約3〜4年程度かかり、秋口の9〜10月頃が産卵の時期となり、北海道や東北付近に多く帰ってくるそうです。
私たちが、食している鮭もこの鮭となり、一般的には「秋鮭」と言われています。産卵のために戻ってくる鮭ですが、産卵前に水揚げされる鮭が一番美味しい時期とも言われているため、この時期に大漁に漁獲されることが多いとされています。
産卵前の鮭は、よく身が引き締まり、卵や白子に栄養がいくようになっているため、脂身が少なく、様々な料理に使われています。
石狩鍋の別名は、「秋味鍋」とも言われており、毎年、漁獲の時期には、石狩鍋を食べたくなるものです。
アレンジ次第で自分なりの石狩鍋を作ろう
自己流にアレンジもしやすい石狩鍋。追いバターを入れたり、追いイクラを入れたりすることで、四季折々を感じてみるのもいかがでしょうか?また、昨今のコロナ化で、気軽に遠方に旅行に行くことも中々できない世の中が続いています。旅行に行く気分とまではいきませんが、自宅でご当地料理を作り、ご家族と食事をすることで、美味しさを感じていただき、コロナが落ち着いた頃には、是非本場の石狩鍋を食べにいらしていただけると幸いです。
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