2021.04.18お役立ち情報

開業と廃線が繰り替えされてきた「札沼線」。その歴史と利用状況を紐解きます。

冬の北海道は、本州と比べものにならないくらい肌に突き刺さる寒さが続きます。
石狩郡当別町地域では、バスでの交通手段も市民にはかかせない移動手段ではありますが、真冬の慢性的な道路渋滞の中、時刻表通りにバスの到着ができないのも当たり前の日常です。
また、寒さの中、バス停で待機をしていることも、乗客にとっては困難な状況でもあるでしょう。
石狩郡当別町から札幌方面への移動手段の1つに鉄道での移動方法があります。
鉄道は、その地域の住民だけが使うものはなく、まさにこの記事にもある「札沼線」も、石狩市と当別町に隣接している地域の方は、バスよりも電車を利用することも多くあるでしょう。
そんな札沼線ですが、現在の名称は「学園都市線」と名付けられ、以前は、路線の始発駅でもある「札幌駅」と最終駅の「石狩沼田駅」の一文字から取り、「札沼線」と言われてきました。
しかし、廃線などの事情も鑑みて、近年では「学園都市線」の愛称で親しまれています。
そんな「学園都市線」(前札沼線)の軌跡を辿っていきながら、鉄道の歩みを紐解いていこうと思います。
※札沼線の愛称がまだ残されている今、この記事でも「札沼線」と記載をしていきます。

札沼線の前身の鉄道開発

札沼線の鉄道計画は、かなり歴史が長く、その道順は険しい道でもあり、大正時代まで遡ります。
当時、先に開通をした鉄道は「函館本線」。石狩川の右側に位置している当時の石狩町は、馬車鉄道のみでした。
石狩川を挟む左右の岸の行き来手段が船渡しともなると、河川の水かさが増した場合の危険性もあり、当時の政治運動を経て、昭和初期に、現「石狩沼田駅」から「現新十津川駅」を先頭に、次々と駅が開業され、昭和10年に全線が開通されました。
個人的に石狩市や周辺の地域の歴史を調べていると、現在のように自家用車も持てない時代、この鉄道の開業は、当時の人々にとって何ものにも代え難いものだったのではないでしょうか。
しかし、太平洋戦争が激化されると共に、せっかく開業をした鉄道も不要不急線とされ線路撤去を命じられたそうです。
戦後には、運転を再開したのものの、赤字路線により廃止も余儀なくされていました。

廃止された路線の復活

現在の札沼線の運行区間は、「桑園駅」から「北海道医療大学駅」の区間となります。
路線の復活の背景には、札幌市北部と、当別町の宅地開発に伴う人口の増加、近年は、北海道医療大学や、その他にも大学が数多く存在することで、人々の通勤通学にかかせない路線に復活しました。
ネット上のマップを見てもよくわかりますが、石狩川を挟んで左側が札幌市、右側が当別町となります。
石狩川を越えると、田園風景が多くなり、それぞれの駅周辺は開発をされています。
しかしながら、利用者が多い駅もあれば、区画整理が施されておらず、利用者が少ない駅もあります。
今回、廃止対象となった北海道医療大学駅から北側は、南側と反比例するように利用者が減少し続け、
当初は、北海道医療大学駅から新十津川駅までも運行をしておりましたが、2020年5月に廃止となりました。
現在は振替バスでの運行となっております。

鉄道の利用者の属性

札幌市、石狩市、当別町、また、今回廃線となった町の人々は、自家用車での移動が主な移動手段となります。しかしながら、自家用車での一番の懸念事項は、慢性的な渋滞と、市内の駐車場確保の問題とも言えます。
それ故に、札沼線も、沿線沿いにある大学や高校への通学、さらに、札幌市内で働いている通勤の方の利用がほとんどとされています。

ラストランはできたのか?

少し話が逸れますが、廃止となった区間の最後を走ることをラストランと言い、イメージするシーンは、日本全国から鉄道ファンが訪れ、ラストランの撮影をしている様子を想像します。
札沼線の廃止区間のラストランは、昨年のコロナ化だったこともあり、大勢来ることで、密状態を作り出さないよう、急遽前倒しにし、混乱状態を回避させたそうです。
筆者は、鉄道に詳しいわけではありませんが、こういった状況化での突然のラストランの前倒しはかなり珍しいことと言われています。
緊急事態宣言化だったので、仕方のないことではありますが、静かに運行を終了することができたそうです。

新駅開業も!新たな札沼線に期待!

廃止区間、ラストランも無事に終了できた札沼線ですが、2022年に新駅が開業予定と発表されました。
新駅名称は、「ロイズタウン駅」。あいの里公園駅と、石狩太美駅の間に開業予定となります。
駅名称にも使われているように、全国でも有名な製菓メーカーのロイズコンフェクトと当別町が、共同で申し入れをし、この度ロイズタウン駅の開業が決定しました。
当別町には、ロイズコンフェクトの太美工場があり、工場の従業員の乗り入れや、工場見学に来る方も十分見込まれるため、地域の活性化も期待されています。
さらに、「石狩太美駅」と、「石狩当別駅」の両駅名を「太美駅」、「当別駅」に変えることも同時に発表されました。
新たな札沼線、これから新しい歴史が始まります!

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