マンションのこと2025.10.16
マンション売却で駐車場の引き継ぎは可能?基本の仕組みと対処法を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の枝久保です。
「マンションを売却することになったけれど、駐車場はどうなるのだろう?」
「今使っている駐車場を、買い主に引き継ぐことはできるのだろうか?」
マンション売却を検討中の方にとって、駐車場の扱いは意外と気になるポイントです。
結論から言いますと、多くのマンションでは駐車場の使用権は売却と同時に終了するため、基本的には引き継ぐことはできません。
とはいえ、専用使用権付きの駐車場や管理組合の承認が得られる場合など、一定の条件を満たせば引き継げるケースもあります。
そこで今回のコラムでは、マンション売却時における駐車場の基本的な仕組みから、引き継げる・引き継げないケースの違いを解説します。
さらに、駐車場を引き継ぎできない場合の対処法もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

マンション売却時、駐車場はどうなる?基本の仕組みから確認
冒頭でもお伝えしたように、多くのマンションでは売却時に駐車場の使用権は一度失効するため、基本的には「そのまま引き継ぐことはできない」のが一般的です。
なぜなら、マンションの駐車場は建物のように「所有」するものではなく、管理組合との契約によって「使用権が認められている(使わせてもらっている)」ものだからです。
例えば、国土交通省が定めるマンション標準管理規約でも、「区分所有者が専有部分を譲渡または貸与したときは、その駐車場使用契約は効力を失う」と定められています(第15条)。
つまり、売り主がマンションを手放すときには、基本的にその駐車場の使用権もいったん終了するのです。
マンションの駐車場の利用タイプと引き継ぎの可否
駐車場の運用ルールはマンションごとに異なり、大きく分けると以下の3タイプがあります。
- 専用使用権付きタイプ:部屋に専用の駐車場が付帯している
- 抽選制・申請制タイプ:希望者が多い場合、抽選や申請順で使用者を決める方式
- 区分所有権ありタイプ:駐車場そのものに区分所有権が設定され、マンションと同時に売買可能
このように、駐車場の利用形態によって扱いが異なるため、引き継ぎの可否は一律ではありません。
詳しくは次のブロックでお伝えしますが、「基本は引き継げないが、専用使用権や区分所有権がある場合は例外もある」という点を押さえておきましょう。
まずは、管理規約や契約書を確認して、自分のマンションがどのタイプに該当するのか把握しておくことが安心です。
マンション売却で駐車場を引き継げるケース・引き継げないケース
マンションの駐車場を売却時に引き継げるかどうかは、管理規約・使用細則や駐車場の利用形態によって決まります。
駐車場が引き継げない場合、買い主が利用できる時期が不明確になる、あるいは希望の駐車区画を確保できない可能性があります。
売却活動の初期段階から管理組合・管理会社に確認しておき、引き継ぎの可否を把握しておくと安心です。
ここでは、実際にどのようなケースで駐車場の引き継ぎが可能なのか・不可能なのかを整理しましょう。
売り主が使っている駐車場を買い主が引き継げるケース
買い主がそのまま駐車場を使えるケースは、主に以下のような場合です。
① 駐車場が所有権付きの区画になっている場合
建物の一部として区分所有されている駐車区画であれば、マンションの売却と同時に所有権を移転できるため、買い主はそのまま利用可能です。
この場合、権利関係が明確なため、契約書にも「駐車場込み」で記載されるケースが多くなります。
② 管理規約で使用権の譲渡が認められている場合
マンションによっては規約に「駐車場の使用権は売却時に買い主へ引き継ぎ可能」と明記されていることがあります。
このような場合、売り主が使っている駐車区画を、買い主がそのまま利用できる可能性が高いといえます。
③ 管理組合が使用権の譲渡を承認している場合
たとえ規約に明記されていなくても、管理組合が駐車場の譲渡を認めれば、引き継ぎが可能になるケースもあります。
専用使用権付きの駐車場では、管理組合の承認手続き(申請・名義変更)が行われるとスムーズに引き継げるケースが多く、実務上もよくあるパターンです。
売り主が使っている駐車場を買い主が引き継げないケース
一方で、駐車場の引き継ぎができないケースも少なくありません。
以下のようなケースでは、売り主が利用していた区画を買い主がそのまま使えるとは限らないため、注意が必要です。
① 抽選制・申請制で順番待ちがある場合
多くのマンションでは、駐車場の区画数に限りがあり、使用希望者が多い場合は抽選や申請順で使用者を決めることがあります。
この場合、買い主は売却後に新たに申し込みをして、空きが出るのを待つしかありません。
すぐに利用できるとは限らない点を、事前に把握しておく必要があります。
② 再割り当てルールがある場合
売り主が使っている駐車区画は、マンション売却と同時に一度返却され、管理組合によって再割り当てが行われるケースもあります。
そのため、同じ駐車場を買い主がそのまま使えるとは限らず、別の区画になる可能性もあります。
マンション売却時、駐車場を引き継げない場合の対処法は?

マンションに駐車場が併設されていると、購入希望者は多くの場合「このマンションなら車も停められるはず」と期待しています。
しかし、実際には「現在の所有者(売り主)は駐車場を使っているが、買い主は引き継げない」というケースも少なくありません。
この状況を内覧や販売活動の段階で知ると、買い主からは以下のような反応が出ることがあります。
- 購入意欲が下がる
- 「それなら他の物件にする」と判断される
- 「駐車場が使えないなら値下げしてほしい」と交渉される
つまり、駐車場の引き継ぎ可否は売却価格や購入希望者の層に影響する可能性があるのです。
こうした事態を避けるためには、買い主より先に状況を整理するべく、下記のような準備・対策を進めておく必要があります。
管理組合・管理会社との連携で準備を整えておく
まず、マンションの管理組合または管理会社に連絡し、駐車場に空き区画があるかを確認しましょう。
空きがある場合は、申請方法、使用料、手続き期間などに加え、区画のサイズや高さ制限などの利用条件もあらかじめ整理しておくと、内覧時に買い主へ具体的な説明ができます。
売り主側が「駐車場に空きがあるので申し込めば使える」という状況をはっきりと説明できるかどうかで、買い主の印象は大きく変わります。
書類の準備や申請の流れを事前に把握しておくことで、買い主がスムーズに手続きを進められるようサポートできる状態にしておきましょう。
このひと手間で、「駐車場が使えないかもしれない」という不安を和らげられます。
近隣の月極駐車場を調査しておく
代替となる駐車場情報があるだけでも、買い主の「車を停められないのでは」という不安を解消できる可能性があります。
現状、マンション内に空き区画がない場合は、近隣の月極駐車場を調べて、代わりになる選択肢を用意しておくと安心です。
空き状況、月額費用、徒歩距離・立地といった基本的な情報をまとめ、内覧時にすぐ説明できるようにしておくと効果的です。
また、調査した情報を販売図面や広告の備考欄に記載しておくと、内覧前から買い主が状況を把握でき、現地でのやりとりもスムーズになります。
広告・募集時に情報を明確に伝える
販売広告では、「駐車場は売り主が使用中で、売却に伴い契約は終了。買い主の利用可否は管理組合の判断による」といったように、状況を明確に伝えることが大切です。
明確に示しておかないと、後から「聞いていなかった」とトラブルになる可能性があります。
また、不動産会社には、あらかじめ管理規約や駐車場の運用ルールを正確に共有しておきましょう。
担当者の説明と広告内容が一致していれば、買い主との誤解を防ぎやすくなり、売却活動もスムーズに進められます。
なお、マンションの売却は駐車場以外にも、立地や住戸位置によって売却条件が変わるケースもあります。
1階にあるマンション物件の売却をご検討中の場合は「マンションの1階の売却は難しい?1階のメリットや高く売るコツも紹介」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
まとめ
●マンションの駐車場は「使用権」であり、買い主へ自動的に引き継がれない
多くのマンションでは、駐車場は共用部分として扱われ、管理組合から借りて使用する形式です。
売却時には契約が終了し、買い主へ自動的に引き継がれることはありません。
●マンションの駐車場の引き継ぎ可否は管理規約と運用ルールで決まる
専用使用権付きや区分所有権がある場合は、買い主に駐車場を譲渡できるケースもあります。
抽選制・申請制の場合は、新たに申請や抽選が必要で、必ず使えるとは限りません。
●マンション売却で駐車場を引き継げない場合は事前の準備がカギ
駐車場が併設されたマンションの売却を上手く進めるには、事前準備が欠かせません。
管理組合との連携で空き状況や申請方法を確認し、マンション内に空き区画がない場合は近隣の駐車場情報も調べておくと、買い主の不安を軽減できます。
正確な情報提供と準備が、マンション売却をスムーズに進めるポイントです。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者
 
							小樽店 枝久保 良太私は生まれも育ちも小樽です。愛着あるこの地域に貢献したいと考え日々仕事に取り組んでいます。 ここ小樽でも人口が年間約2000人ずつ減少している現状がありますが、観光入込客数が2025年には800万人を超えるなど明るい話題もあります。 環境変化は止まりませんが、どの時代でも対応する方法はあると感じます。絶えず変化する中でも不動産取引が活性化していくよう、地域の情報に詳しくなり、学びや経験から得た知識を元に適切なご提案をさせていただければと思います。
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