相続や名義のこと2024.05.30
不動産の二次相続とは?注意点やトラブル回避のポイントも解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 美唄店の前平です。
両親のうち1人が亡くなった際に発生する相続を「一次相続」といい、相続手続きの完了後、もう1人の親が亡くなった場合の相続を「二次相続」といいます。
二次相続は一次相続に比べてトラブルが起こりやすい傾向があるので、揉めないようにあらかじめ備えておくことが重要です。
今回のコラムでは、不動産の二次相続について、注意点を交えて解説します。
揉めないためのポイントもご紹介しますので、ぜひあわせて参考にしてください。
不動産の二次相続とは?
二次相続とは、両親の一方が亡くなって起こる「一次相続」を済ませたあと、もう一方の死後に発生する相続のことです。
【二次相続の例】
1.父が亡くなる → 一次相続
2.一次相続の手続きを完了する(相続税の納税など)
3.母がなくなる → 二次相続
一次相続の相続登記をせず、引き続いて発生した相続は「数次相続」となり、二次相続とは異なる点にご注意ください。
二次相続は揉めやすい傾向がある
一次相続に比べると、二次相続は相続人の間でトラブルが起こりやすい傾向があります。
一次相続では、相続人の1人に親がいたため、仲裁の役目を担うことができたでしょう。
しかし、二次相続は同じ立場の子どもたちだけですので、互いに主張を譲らず、なかなか収拾がつかない、感情的になってしまうといった状況が起こりやすいのです。
二次相続で揉める主な原因
二次相続では、具体的に何が原因で揉めやすいのでしょうか。
一言でまとめるなら、「誰にどれだけの相続財産を分けるか」ということです。
預貯金など現金だけなら公平に分けやすいのですが、家や土地など不動産は、単純に「家の面積のうち、何分の1はあなたの分です」とはいきません。
もちろん、売却して現金化することは可能です。
しかし、相続人の1人が「母の介護は私がしてきた。その分、家をもらいたい」などと主張すれば、「ではほかの相続人は何をもらう?」と分割協議が難航する可能性は高いでしょう。
不動産の二次相続の注意点
不動産の二次相続をする際には、「一次相続に比べて相続税が高くなりやすい」という点に注意が必要です。
理由としては、次の3つが挙げられます。
- 法定相続人の数が減るため
- 相続税に配偶者控除が使えないため
- 被相続人と同居していないと税負担軽減の特例が利用できないため
注意点1|法定相続人の数が減って基礎控除額が下がる
相続税の支払い義務は、遺産の総額(課税価格)よりも「基礎控除」の金額が上回った場合に発生します。
基礎控除の金額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算できます。
両親と子ども2人という家族構成の場合、一次相続では残された配偶者と子ども2人が法定相続人となるので、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」が基礎控除の金額です。
しかし、二次相続では配偶者が亡くなり、2人の子どもで引き継ぎます。
「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」と、基礎控除額が減るということです。
基礎控除額が減れば、相続税算定の基準となる差し引き後の「取得金額」が増えるため、税負担が上がってしまうでしょう。
注意点2|配偶者控除が使えないため税金の負担が増える
配偶者控除とは、配偶者の実際に受け取った金額が、1億6,000万円以下、あるいは配偶者の法定相続分相当額を下回った場合に、配偶者の相続税が非課税となる制度です。
利用できるのは配偶者のみですので、二次相続では使えません。
一次相続と比べて、全体的な相続税の負担が増えるということですね。
注意点3|被相続人と同居していないと利用できない特例がある
相続税の負担を軽減する仕組みとして「小規模宅地等の特例」があります。
被相続人の住んでいた家を相続した場合には、最大80%の割合で、不動産の課税価格(不動産評価額)が減額される制度です。
配偶者の場合は特に適用の要件はありませんでしたが、子どもが活用するには、次の2つを満たす必要があります。
- 相続前から被相続人と同じ家に暮らしていた
- 相続税の申告期限まで、引き続き居住し、物件を所有していた
利用の条件が付く分、相続税が高くなりやすいといえるでしょう。
納付期限がある点にも注意しておこう
二次相続に限った話ではありませんが、相続税には「相続を知った日の翌日から10カ月以内」という申告・納付期限があります。
もしも、二次相続で受け継いだ家を売却し、相続税の支払いに充てることを検討されているなら、売却スケジュールを逆算して計画を立て、期日に間に合うようにご注意ください。
不動産の二次相続で揉めないためのポイント
不動産の二次相続で揉めないためにはどうすれば良いのでしょうか。
ポイントとして、次の4つが挙げられます。
- 遺言書を作成しておく
- 生前贈与をしておく
- 生前に売却して現金化しておく
- 専門家に相談する
まず、生前にできる対策としては、遺言書を作成しておき、「誰にどれだけの資産を引き継いでもらいたいか」を決めておくと良いでしょう。
将来的に相続人の1人が家を引き継ぎたいのなら、元気なうちに意見を交えておけば、相続が発生してから焦る心配も少なくなるはずです。
なぜそのように分ける結論に至ったかの理由も明示しておけば、納得感もあり、相続時の話し合いもスムーズに進む期待が持てます。
遺言書があっても揉めるだろうと予想されるなら、生前贈与という手段もあります。
相続税より贈与税のほうが税率が高くなりやすいデメリットはありますが、相続時のもめ事を減らせるメリットは大きいでしょう。
生前贈与については、「不動産を相続ではなく生前贈与するメリットとは」で詳しく解説しています。
また、生前に自宅が不要になるなら、売却しておくのも方法の一つです。
親に代わって売却を進めるなら、下記のコラムをぜひ参考にしてください。
死亡した名義人の家を売却したい。どうしたらいい?
親名義の家を子が売却するには?2つの方法のポイントと注意点を解説
親名義の家を子が売却するには?2つの方法のポイントと注意点を解説~後編
相続時の対策としては、当事者だけで悩むのではなく、相続の話し合いには弁護士、相続税については税理士など、専門家の力を借りることが大切ですね。
特に、売却金額を相続税の支払いに充てるなど、売却を検討するなら、早めに不動産会社に相談するのがおすすめです。
目的にあった売却方法や、売却計画のアドバイスをしてくれるでしょう。
まとめ
●不動産の二次相続はトラブルになりやすい傾向がある
二次相続とは、両親のうち一方が亡くなったあとに相続手続きをし、その後もう一方が亡くなった際に発生する相続を指します。
子ども同士で遺産分割協議を行うことになるため、互いの主張を譲らないなどの状況になりやすく、揉めやすい傾向があります。
●不動産の二次相続は相続税が高くなりやすい
二次相続では、法定相続人の数が減り、配偶者控除が利用できず、「小規模宅地等の特例」の活用に条件が付くため、税負担が増える可能性が高い点にご注意ください。
●不動産の二次相続で揉めないためには生前から対策を
相続時に揉めないためには、遺言書を作成しておく、生前贈与をしておくといった対策があります。
相続時は当事者だけで解決しようとせず、専門家に相談するのがおすすめです。
不動産を現金化したい場合は、早めに不動産会社に相談しましょう。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
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著者
美唄店 前平 竜斗前職はまったく畑違いの仕事をしていましたが思い切ってこの業界に飛び込んで現在に至ります。住宅、不動産の売買はお客様の人生に深く関われる重要な仕事であり、責任と共に喜びも大きいなと感じています。 地域の不動産の購入・売却のご相談は是非北章宅建にお任せください。
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