相続や名義のこと2025.05.17

相続した土地を売るタイミングは?失敗しない判断ポイントを解説

こんにちは。イエステーション北章宅建 江別店の赤井です。

相続物件の売却について、お悩みではありませんか?

「相続した土地をいつ売るべきか」という問題は、多くの方が直面する難しい決断です。

土地の売却タイミングによっては、税金の負担が大きく変わることもあれば、手元に残るお金にも影響します。

今回のコラムでは、相続した土地の適切な売却タイミングの見極め方や、すぐ売る場合と後で売る場合のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

また、売却にかかる税金や費用、スムーズに売却するためのコツもご紹介しますので、後悔のない選択をするための参考にしてください。
家とカレンダー

 

相続した土地を売るタイミングの見極め方は?

相続した土地を売るタイミングを見極めるには、次の3つの視点から考えるのが基本です。

  • 税制面
  • 経済環境
  • 相続人の状況

 

①税制面|「いつ売るか」で受けられる特例や税率が変わる

相続した土地を売る時期によって、受けられる特例や適用税率が変わることがあり、手元に残る金額が異なる可能性があります。

以下は、主な特例とそのポイントです。

<取得費加算の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)>
相続した土地や建物を売却する際、支払った相続税の一部を「取得費」として加算できる制度があります。

この制度を利用すると、譲渡所得(いわゆる売却益)を減らすことができるため、税負担を軽減できる可能性があります。

【適用条件】

  • 相続または遺贈により財産を取得した者であること
  • 取得した財産に対して相続税が課税されていること
  • 「相続開始のあった日の翌日」から「相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日」までに財産を譲渡していること

【適用期限の例】

  • 被相続人の死亡日:2025年4月1日
  • 相続税の申告期限:2026年2月1日(死亡日の翌日から10か月以内)
  • 取得費加算の特例の適用期限:2026年2月2日から3年以内、2029年2月1日までの譲渡が対象

詳しくは、国税庁の「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」をご確認ください。

<被相続人の居住用財産(空き家)を売却したときの特例>
相続や遺贈で取得した被相続人の被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地などを、平成28年4月1日〜令和9年12月31日の間に売却し、一定の条件を満たす場合、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる制度です。

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼ばれています。

【特例の注意点】
令和6年1月1日以降の譲渡で、相続人が3人以上の場合の控除額は2,000万円までとなります。

また、他の特例(例:取得費加算の特例など)と併用できない点にもご注意ください。

特例の対象となる家屋や適用要件について詳しくは、国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご確認ください。

これらの特例を活用することで、一定の期間内に売却すれば税負担を抑えられる可能性があります。

つまり、「売却の時期」そのものが、税制上のメリット・デメリットを大きく左右するということです。

 

保有期間と税率の関係

相続した土地の保有期間は、被相続人がその土地を取得した日を引き継ぎます。

そのため、多くのケースでは「長期譲渡(所有期間5年超)扱い」となり、所得税15%+住民税5%(合計20%)の低い税率が適用されます。

ただし、被相続人が土地を取得してからの保有期間が短い(5年未満)場合は、相続後すぐに売却すると「短期譲渡所得(税率約39%)」として課税される可能性があります(所得税30%+住民税9%)。

このようなケースでは、「5年を超えるまで待って売る」という判断も検討の余地があります。

所有期間による税率については、「不動産売却時の譲渡所得税とは?仕組みや計算方法など詳しく解説」で詳しくお伝えしていますので、ぜひあわせてご参照ください。

 

②経済環境|市場の需要が高まるタイミングも考慮する

土地の価格に影響する「経済的な要素」もタイミングの一つです。
土地の価値は時期によって変動するため、「売り時」を見極めることも大切です。

以下のような要素は、売却価格に影響を与える可能性があります。

  • 周辺地域の再開発・インフラ整備の予定
  • 新駅や商業施設の開発ニュース
  • 市場の繁忙期(不動産取引が増える時期)
  • 全国的な土地価格の上昇傾向や下落傾向(例:不動産価格指数など)
  • 近隣での実際の売買事例の動き

このような情報は、個人で網羅的に把握するのは難しいかもしれません。

そのため、不動産会社に相場の動向を相談したり、査定を受けたりすることで「適切な売り時」のヒントが得られるでしょう。

 

③相続人の状況|事情によって「早く売る」判断も

自分自身やご家族の事情も、売却のタイミングを決める上での判断に直結します。

  • 相続税の納税資金が早急に必要な場合
  • 管理が困難な土地(遠方・空き家など)を相続した場合
  • 共有名義で将来のトラブルが懸念される場合

このようなケースでは、早期に売却して現金化することが得策となる場合もあります。

一方で、「活用の予定がある」「急ぎでないので、すぐに売る必要はない」といった状況であれば、市場動向を見極めて高値売却を狙うのも一つです。

なお、「遠方で管理が難しい」「活用予定もないが、売れるかどうかもわからない」とお悩みの方には、「いらない田舎の土地はどうする?処分方法や維持費、活用方法を紹介」のコラムもぜひご参照ください。

売却に限らず、寄付・無償譲渡・一時的な活用など、さまざまな選択肢を検討するきっかけになります。

 

相続した土地を売るタイミングはすぐ?後?

相続した土地を「すぐに売るか」「少し待つか」で迷う方も多いかと思います。

結論から先に言いますと、「どちらが正解」とは一概に言えません。

それぞれの選択には、下記のようなメリット・デメリットがあるからです。

 

すぐ売る場合のメリット・デメリット

まずは、相続した土地を早めに売却した場合に考えられるメリットとデメリットを確認してみましょう。

【メリット】

  • 相続税の納税資金を早期に確保できる
  • 空き家や土地の管理や維持費の負担を減らせる
  • 各種特例(取得費加算・空き家控除など)を期限内に活用できる
  • 売却によって現金化すると、相続人間でスムーズに分配しやすい

【デメリット】

  • 市場価格が上昇する前に手放すリスクがある
  • 売却を急ぐことで価格交渉で不利になる可能性
  • 活用の可能性を検討する時間的余裕が持てない

これらの特徴から、納税資金が必要な人、遠方で管理が難しい人、相続人同士の協議がまとまらないケースなどには、すぐに売却する選択が向いている場合があります。

 

後で売る場合のメリット・デメリット

一方で、すぐに売らず、ある程度時間を置いてから売却する場合にも、それぞれの利点と注意点があります。

【メリット】

  • 市場の動向や地域の開発状況を見て、高値売却を狙える
  • 土地活用(賃貸・駐車場など)という選択肢も検討できる
  • 十分に準備した上で、納得のいく売却がしやすい

【デメリット】

  • 特例の適用期限を過ぎてしまう可能性がある
  • 空き家や土地の維持費・固定資産税などの負担が長期化する
  • 将来的な地価下落や活用困難リスクも考えられる

資金的に余裕がある場合や地域の発展に期待できる場合、土地活用を検討している人には、じっくりタイミングを見極めてから売る選択が適しているでしょう。

 

ご自身の状況に合った判断を

「すぐに売るか」「あとで売るか」は、ご自身の資金状況、土地の立地や状態、相続人同士の関係性など、さまざまな事情によって適した選択肢が異なります。

大切なのは、ご自身の状況や目的に合わせて、後悔のない売却タイミングを選ぶことです。

 

相続した土地を売るタイミングでかかる税金と費用

相続した土地を売却する際には、タイミングによって税金の負担が大きく変わることがあります。

また、売却にあたっては、税金以外にもさまざまな費用が発生するため、事前に全体像を把握しておくと安心です。

 

土地売却にかかる主な税金

土地を売って利益(譲渡益)が出た場合は、その「もうけ(譲渡所得)」に対して税金が課されます。

加えて、売買契約や相続登記などに関わる税金も発生します。

 

【土地売却時にかかる主な税金】

  • 印紙税:売買契約書を作成した際に必ず課税
  • 登録免許税:相続登記の手続き時に必ず課税
  • 譲渡所得税:売却によって「譲渡所得」が発生した場合に課税

税金の種類や節税のポイントについては、「土地を売却するとき税金はどうなる?節税の方法も」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。

 

税金以外にかかる主な費用

土地の売却時には、税金とは別に次のような費用も発生します。

  • 不動産会社への仲介手数料
  • 登記や書類の準備にかかる司法書士報酬
  • 測量費用や古家の解体費用(必要に応じて)など

仲介手数料については、下記のコラムで上限額と計算方法を解説しています。
家の売却でかかる手数料や諸費用を詳しく解説

 

相続した土地をスムーズに売却するコツ


最後に、相続した土地をスムーズに売却するための基本的な流れと、その時に慌てないために今からできる準備をご紹介します。

 

売却の基本的な流れ

相続した土地の売却は、おおまかに次のような流れで進みます。

1.相続登記(名義変更)を行う
2.不動産会社を選び、査定を依頼する
3.媒介契約を締結する
4.買い手を探して売買契約を結ぶ
5.代金の受け取りと引き渡し(決済)

では、上記5つのステップを円滑に進めるにはどうすれば良いのでしょうか。

スムーズに売却を進めるための事前準備のコツをお伝えします。

 

売却するコツ①相続登記は早めに済ませておく

2024年(令和6年)4月から相続登記は義務化されており、被相続人から名義変更をしていないと土地の売却ができません。

登記の手続きには、戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類が必要になるため、相続が発生した段階で早めに手続きを進めておくと安心です。

相続登記については「不動産の相続登記、必要書類はこれ。自分でできる相続の手続き」で解説しています。

 

売却するコツ②不動産会社は信頼できるところを選ぶ

相続した土地の売却には、不動産会社の選定も大きなポイントです。

相続物件の売却の実績がある不動産会社を選ぶのがおすすめです。

特に、相続した土地が地方や郊外にあるといった場合は、地域事情に精通している不動産会社を選ぶのも良いでしょう。

不動産会社を選ぶポイントについては、「不動産売却時の査定は何社に依頼する?不動産会社の選び方も」で詳しくお伝えしていますので、ぜひご参照ください。

 

まとめ

●相続した土地の売却タイミングは、3つの視点から見極める

相続した土地を売却するかどうかは、「税制上の特例が使える時期」「土地価格の市況」「相続人自身の事情」という、3つの視点から総合的に判断することが大切です。

●相続した土地の売却タイミングは自分の状況に合った判断をしよう

納税資金が早急に必要な場合や、管理の負担が大きい場合は、早めの売却を検討しましょう。
一方で、活用予定がある場合や市況の回復を待ちたい場合は、タイミングを見計らって売る選択肢もあります。

●相続した土地の売却は、早めの準備スムーズな売却のコツ

税金や費用の基本的な知識を知り、相続登記や不動産会社選びを早めに進めておくことで、いざ売却するときもスムーズに対応できます。

北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。

 

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相続した土地を売るタイミングは?失敗しない判断ポイントを解説

江別店 赤井 圭一出会うお客様は一人一人違う想いを持っていらっしゃると思います。それぞれのお客様に共感し、最後には「任せて良かった」とご納得していただける様日々取り組んで参ります。 空知エリアの不動産に関する事は私にお任せください。

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