土地や空き家のこと2021.09.03

市街化調整区域の家や土地は売れない?注意点や売却方法を徹底解説〜その3

市街化を抑制するため、原則として建物を建てることができない市街化調整区域。この区域内の家は「売れにくい」と言われる不動産の一つです。

実際には、市街化調整区域にある家すべてが売れないということはなく、条件によっては売却できる可能性があります。今回は売れる可能性が高いケースにはどのようなものがあるか、解説していきます。

市街化調整区域でも売れる可能性があるケースとは?

すでに市街化調整区域に家があっても、条件次第では売却できる可能性が高くなります。どのような条件があるのか見ていきましょう。

①市街化区域に隣接している

都市計画法第34条では、以下の立地基準に該当する地域の場合は、都道府県の条例などに基づいて開発行為を許可してもよいとされています。

・市街化区域に隣接または近接している
・市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる
・市街化区域内にあるものも含み、おおむね50以上の建築物が建てられている

市街化区域はすでにインフラが整っているため、隣接地であれば許可することに特段の不都合がないと考えられるためです。

原則として、線引き後に建てられた家を第三者である買主に売却した場合は、開発許可の権利を引き継げませんが、今ある家が市街化区域に隣接しているのであれば、開発許可が下りる可能性がかなり高くなります。

とはいえ、必ず開発許可が下りるとは限りません。トラブルの元にならないよう、その点は買主に明示する必要があります。まずは最初の段階で、どのような条件なら許可が得られやすいのかを、不動産会社から役所にきちんと確認してもらいましょう。

②市街化調整区域になる前に建てられた家

「その2」の記事で解説した通り、市街化調整区域が線引きされる前に建てられた家であれば問題なく売却できます。行政の都合で個人の所有資産に制限をかけることは、適切ではないからです。

買主がそのまま住むには問題ありませんが、建て替えには一定の制限があります。以下のような条件があることに注意しましょう。

1.所有者の変更以外の、建築物の用途変更をしないこと
2.敷地の拡大などの開発行為をしないこと
3.住宅については既存建築物の延床面積1.5倍までであること

これらは一般的な条件であり、自治体によって異なります。また、条件を満たさない場合、許可を得るために申請が必要なことがあります。売却予定の家や敷地にどのような条件が設定されているのか、なぜ当時は建築できたのかを、必ず事前に不動産会社に調査してもらいましょう。

③用途地域内にある

市街化調整区域は、無秩序な市街地の拡大を防ぐために定められた区域であるため、原則として用途地域は定められていません。

「用途地域」とは、建築できる建物の用途(つかいみち)を定めたもので、全部で13種類に分けられています。例えば、住宅地域には工場を建ててはいけないなど、地域ごとに建てられる建物の種類や大きさを制限し、用途の混在を防いでいます。

ところが、市街化調整区域の中には、一定規模以上でまとまった宅地開発が許可され、用途地域が定められているケースがあります。これは主にニュータウンと呼ばれる、1970年〜1980年代にかけて大規模な土地開発が行われていた地域で見られます。特に多いのが、「第一種低層住宅専用地域」とされているケース。良好な住環境を保護するための高さ制限などがある用途地域です。

市街化調整区域であっても、こうした特別な事情で用途地域が定められているエリアもあります。もし売却予定の家が住居系の用途地域であれば、問題なく売却できるケースがほとんどです。

いずれにしても、様々な制限がある「市街化調整区域」。次回の記事は、この区域内にある家を購入してくれるのは、どのような人が考えられるのか考えてみましょう。

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著者
市街化調整区域の家や土地は売れない?注意点や売却方法を徹底解説〜その3

札幌手稲店 野口 祥子

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