土地や空き家のこと2023.01.10
土地の一部を売却する方法とは?「分筆」の手順や費用を解説〜その2
広い土地の一部を売却するには、1つの土地をいくつかに分けて登記し直す「分筆」が必要です。分筆には専門的な知識が必要なため、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。今回は土地の一部を売却するために必要な、分筆の手順を紹介します。
土地の分筆を行う手順
土地家屋調査士に依頼すると、どのような手順で分筆手続が進められるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
①必要書類を入手する
土地家屋調査士は以下の書類を入手し、調査を進めます。
・公図…土地の大まかな位置や形状を表した図面
・地積測量図…土地の面積を法的に確定した図面
・確定測量図(境界確定図)…隣接地との境界を確定させた図面
・登記事項証明書…これまで行われた登記事項を記載した書類
上記の入手先は基本的に法務局ですが、確定測量図は土地の所有者が土地家屋調査士に依頼して作成してもらう図面のため、土地の所有者しか持っていません。なかには確定測量図が作成されていない土地もありますので注意が必要です。
②境界確定測量をする
隣接地との境界が明らかでないと土地の分筆はできません。確定測量図が存在しない場合は、土地家屋調査士が境界確定測量を行い、書類を作成する必要があります。
境界確定測量は、過去の測量図などと照合して、境界線を検討することから始めます。実際に境界が決まったら隣地所有者にも境界を確認してもらい、同意を得た上で境界確定測量図を作成します。
③分筆案を作成する
測量結果をもとに分筆依頼者(土地所有者)は土地家屋調査士と相談し、土地をどのように分筆するかを検討して分筆案を作成します。目的によって分筆案の内容は変わるため、「土地を売却するための分筆」であることをしっかり伝えておくことが肝心です。
すでに不動産会社と媒介契約を交わしている場合は、どのような形状で分筆すれば売却に有利かアドバイスをもらいましょう。
④境界標を設置する
分筆について隣地所有者や役所の同意を得られたら、現地にその目印となる境界標を設置します。境界標に使われる素材は、石杭や木杭、プラスチック杭など数種類ありますが、近年は劣化しにくい鉄製の境界標を使用することが多くなっています。
⑤登記申請をする
土地家屋調査士が以下の書類を揃え、法務局へ提出します。
・登記申請書
・筆界確認書…隣接する土地との境界線について当事者同士が承諾した書類
・地積測量図
・現地案内図
・委任状(代理人が手続を行う場合)
分筆登記の申請は、表題部所有者または所有権の登記名義人が行います。共有名義の場合は、原則として共有者全員からの申請が必要で、分筆登記に1人でも反対する所有者がいると申請できません。
⑥地積測量図、登記完了証などを受領する
土地家屋調査士から、登記完了証や関連資料などの成果物を受け取ります。土地分筆にかかる期間の目安は、依頼してからおおよそ2〜3カ月です。ただし、隣地所有者の承諾がなかなか得られない、役所の立会日が決まらないといった理由で、手続きが長引くことも少なくありません。
土地の分筆に関しては、下記のコラムでも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
土地の分筆とは?土地を共同相続した場合の分筆方法が知りたい
次回は、分筆した土地を売却する手順について解説します。