土地や空き家のこと2020.09.12

高く売れる土地と売れない土地の違いとは?売れない時の対策も紹介

土地は、広さや向き、形状や地域といった条件は、一つひとつ異なり、市場の需要によって価格も変化します。

たとえ広さが同じでも、一般的な評価基準に沿って高く売れる土地と、そうでない土地があるのです。

その違いはどこにあるのでしょう?

今回は、それぞれの土地の違いを分かりやすく解説します。この先、土地を購入・売却する際の参考にしてみてくださいね。

高く売れる土地とは

一般的に高く売れる土地は、どういった条件を備えているのでしょうか。

不動産市場で需要が高く、高い値段がつきやすい土地の特徴を詳しくみていきましょう。

①「駅チカ」など、利便性が高い

土地の値段に最も影響を及ぼす要素は、立地です。

駅から徒歩5分以内であったり、大都市のターミナル駅の徒歩圏内であったりと、多くの人が利用する駅に近い立地であることが重要です。

自分が不動産を購入したり、賃貸を探す場合と同様に、都心や都心に近い「駅チカ」は、多くの人が一番に考える重要な条件です。

車を持つ人が少ない都心部は、なおさらこの傾向が強くなります。

利便性が高い「駅チカ」の土地には、よほど特別なことがない限り高値がつきますし、売れやすいといえます。

②建ぺい率や容積率などの条件が良い

土地は単純に広ければ良いのではなく、どれほどの大きさの建物が建てられるかが重要です。建物の大きさは、土地ごとに定められた建ぺい率と容積率によって変わります。

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です。

土地が100平方メートルで建ぺい率が50%の場合は土地の50%まで。つまり、建物が建てられるのは50平方メートルまでということになります。

容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のこと。

延べ床面積は家の床面積の合計で、土地の面積に対して、何%の広さを持つ建物を建てることができるかを示す指標になります。

100平方メートルの土地で容積率が150%に設定されている場合、その土地では、各階層を合わせて150平方メートル分の建物を建てることが可能です。

例えば「土地の面積が100平方メートルで建ぺい率50%、容積率150%」であれば、最大で各階層が50平方メートル×3フロア=延べ床面積で150平方メートルの建物まで建てられます。

特に賃貸物件を運営する時は、物件内の部屋数で収益性が大きく変わります。

建ぺい率や容積率が大きい土地ほど、大きなアパートなどを建てられるため、価格は高くなります。

③用途の制限を受けにくい

土地には「用途地域」という区分けがあり、あらかじめ建築できる建物の種類や用途に制限があります。

この制限を受けにくい土地では様々な建物を建てることができ、高値がつく傾向にあります。

住宅が建てられる土地にも様々な種類があり、建てられる建物の種類や高さなどの条件が変わってきます。

住宅地には以下のような種類があります。

・第一種低層住居専用地域…低層な住宅の専用地域

・第二種低層住居専用地域…小規模店舗も建てて良い低層住宅専用地域

・第一種中高層住居専用地域…中高層住宅も建てられる専用地域

・第二種中高層住居専用地域…必要性の高い施設も許可された中高層住宅の専用地域

・第一種住居地域…大規模な店舗・事務所の建設を制限する住宅地域

・第二種住居地域…大規模な店舗・事務所の立地に対し、一部制限を行う住宅地域

・準住居地域…道路の沿道にある店舗など、サービス業と住宅が立地することを許可された地域

駅近くのエリアは「商業地域」に指定され、建ぺい率や容積率の制限が緩くなりますが、建物の構造に制限があり、防火性に優れた建物にする必要性が生じます。

駅から離れた場所にある住宅地は、建物の高さが制限されるほか、店舗を開けないなどの制限も加わってきます。

こうした場所は、建物の種類に制限が多いため、価格は安くなりがち。逆に言えば、値段が安くて広い土地が購入しやすいということでもあります。

これらを総合すると、駅に近く用途の制限が緩い土地は、坪単価や平方メートル当たりの単価が高値になりやすいといえます。

④土地の形状が正方形に近く、使いやすい

土地の形状も不動産価格には大きく影響します。

最も価値が高い土地は、正方形や長方形の整形地と呼ばれる土地です。

土地の広さを有効に活用して建てることができる上、庭や駐車場なども設けやすく、道路への接地面が広いため、車の出入りがスムーズです。需要が高いため、市場価格も必然的に高くなります。

高値がつきづらく、売れにくい土地とは

逆に、高値で売ることが難しい土地には、どのような特徴があるのでしょうか。それには6つのポイントがあります。

①立地条件が悪い

人気が高いのは、通勤通学に便利な駅に近い利便性の高い土地。その逆に、駅から徒歩15分以上かかる不便な土地は、値打ちが極端に下がります。

車を持たない単身者が住むアパートやマンションの場合、交通の便が悪い場所は物件の価値が下がってしまいます。それでも、車を持つファミリー向けの住宅地であれば、徒歩15分でも需要があります。

ただし、たとえ駅から近い便利な場所でも、「土地に古い建物つき」などの条件があると、安値がつくケースもあります。

②地盤が弱い土地や傾斜地は災害に弱い

地盤が悪い点も、売りにくい土地の特徴に挙げられます。

自然災害の多い日本では、地盤の強度が重視される傾向がますます高まっています。

何らかの面で条件が悪い土地、過去に自然災害が発生した土地は、値段が安くなりがち。ハザードマップを見れば一目瞭然です。

地盤が悪い土地の代表格は、田んぼを埋め立てたような土地です。軟弱地盤は、地震の大揺れに耐えられません。

また、傾斜地に盛り土をした住宅地は地震時に地すべりの恐れがあるほか、低海抜の土地は洪水などの被害を受けやすく、今後は値下がりの可能性が考えられます。

③用途の制限を受ける

用途の制限が緩い土地には高値がつきますが、逆に、用途の制限を受けている住宅地は安値になりがちです。

第1種・第2種低層住居専用地域では、4階建ての高い家を建てたいと思っても、近隣住民の日照権などの問題から、建物の高さは10もしくは12メートル以内に制限されています。

この他にも、住宅用地では建物の使用が住宅用に限定されることがあり、人気のある住宅地でない限り売れにくいケースがあります。使い勝手が悪いため、商業地域の土地と比べて値段は安くならざるを得ないでしょう。

また、「市街化調整区域」に指定されている土地も、開発許可を得られない限り建物を建てられないといった規制が多いため、売れにくく、売却時の値段が安くなりがちです。

④建物を建てにくい、いびつな形状

先に述べた通り、価格が高いのは「土地の形状が正方形で、道路との接地部分が広い土地」。

価格が安い土地はその逆で、「三角地や台形など形がいびつで、道路に隣接する面が狭く、かつ道路から奥まった場所にある土地」です。

中でも旗竿地といわれる形状の土地は、扱いにくさゆえに資産価値は低くなります。土地の間口が狭いため車の出入りがしにくい、消防車などが入りにくいなどの理由も、安値がつく理由の一つです。

⑤周辺に心理的瑕疵要因となる施設がある

土地の評価を下げる意外な要因に、「周辺に人が嫌うような建物や設備がある」という点も挙げられます。

具体的には、墓地や暴力団の事務所、火葬場、風俗店など、心理的に敬遠されがちな施設です。

周辺にこうした施設があると、人によっては不快に感じるため、快適な暮らしを阻害する要因があるとして、周りの地価も下がってしまいます。

⑥土地の権利関係が複雑

権利関係が複雑な土地は、売りにくいこともあります。

例えば、1つの土地を兄弟3人が相続したケースです。

土地に対する権利を3分の1ずつ持っている状態のため、1人が自分の権利(持分)だけを売ろうとしても、他の2人の同意がなければ売れません。

たとえ購入しても、権利が3分の1しか無い土地は自由に使えません。好んで買おうとする人は、まず現れないでしょう。

複雑な土地の権利関係をクリアにしない限り、複数人が相続した土地はなかなか売れないのです。

 

土地が売れない時に行うべき7つの対策

これまでに挙げた悪条件の土地を避けて購入すれば、売却時に高く売ることが可能でしょう。

しかし相続によって、売りにくい条件つきの土地を所有する可能性もあります。

活用する予定のない土地を持ち続ける限り、将来に渡って固定資産税などの出費が発生し、経済的な負担は大きなものになります。

では、こうした扱いにくい土地を所有している場合、できるだけ高く売るにはどうしたらいいのでしょう。それには次のようなコツがあります。

①周辺も含め土地を買い取り、大きな土地にする

旗竿地のような立地の悪い土地を所有してしまった場合、買い手を見つけるのにとても苦労します。

この場合は、周囲の土地の買い取りを検討してみましょう。

隣家の土地を買い取って、いびつな形の土地を正方形や長方形に近い形状に整えることで価値が増し、土地が売れやすくなります。

中でも、劇的な値上がりが見込めるケースは、道路への隣接条件を満たさない再建築不可の土地を建築可能な土地に変えること。

他にも、周囲の土地を買って、道路に2面が接する形状の角地に変えれば、建ぺい率と容積率が上がって建物も大きくできるため、価値が格段に上がります。

土地の形状と広さ、大きさを変えるだけで、需要が著しく増えることもあるのです。

②隣の土地を持つ人に売却する

逆に、周辺の土地を持っている人に、土地の売却を申し出てみるのも一つの手。周辺に土地を持つ人が、より条件の良い、大きな土地にして高く売ろうと考えていることもあるからです。

このようなケースでは、市場を通さなければ当事者同士の言い値で売買価格が決まるため、大幅に値引きする必要がなくなります。交渉次第では、相場通りの値段で売れるかもしれません。

自分が土地を買うにせよ、相手に土地を売るにせよ、普段から良好な人間関係を築いていれば、交渉もスムーズ。

双方にメリットが生じる、良い取り引きになるはずです。

③土地の形状にあった建築プランを提案する

土地の形状が難点だとしても、それを逆手にとった建築プランを提案することで、売りやすくなるパターンもあります。

一例として考えられるのは、旗竿地。車が出入りしにくく、住宅地としては人気のない土地ですが、都心のアパート向けであれば、使い勝手はそれほど悪くありません。

都心のアパートの住人はそもそも車を所有していない場合が多く、車が出入りしにくいことがマイナス要素にならないからです。建物が建てられるスペースさえあれば、奥まった場所でも、単身者のアパートとしては十分に機能します。

坂の途中にある土地も、考え方次第でメリットを打ち出せます。

高さを強調し、浸水の被害を受けにくいこと、眺望の良さなどの魅力をアピールしてはどうでしょう。

脆弱な地盤の補強は当然行うとして、発想の転換で土地の魅力を引き出すことはできるはず。

整地して高級住宅地として売ることも不可能ではありません。

④複雑な権利関係を解消してから売却する

権利関係が複雑な土地は、売却以前に、まずは権利関係をしっかりと整理、または解消することが必要です。

一つの土地に3人の権利者が存在するなら、他の所有者に「自分が持分を全部買い取るから、権利関係を整理しよう」と伝えましょう。

他の所有者と相談し、きちんと手順を踏んで権利関係を1人に集約できれば、値打ちに劇的な変化が生じることもあります。

権利関係で価値が下がるのは、非常にもったいない話です。市場の相場通りの値段で売れるよう、きちんと問題を解消しましょう。

⑤思い切って価格を下げる

あれこれ手を打っても思い通りに土地が売れない時は、値下げを検討する必要があります。

特に早く現金化したい場合は、市場よりも低い価格をつけることで、買い手が見つかりやすくなります。

「価格交渉 OK」などと謳い文句をつけ、売り手が価格面で譲歩の余地を見せるのも有効です。

多少の値下がりを想定し、最初は少し高めの価格提示をするのがセオリーです。

時価にして1,000万円の土地であっても、最初は1,500万円を提示してみましょう。そして、相手から値下げ交渉をされた時、1,100万円から1,000万円に値を下げるのです。

タイミングとトークを間違えなければ、「このチャンスを逃すのはもったいない」と思わせることもできます。

相手はきっと、得した気分になるでしょう。

価格に関しては仲介役の不動産会社と相談の上、状況に応じて変化させるようにしましょう。

⑥複数の不動産会社に査定と売却を依頼する

不動産会社を最初から絞らず、複数の会社を利用することも重要です。なぜなら、不動産会社によって得意な顧客層が違うからです。

不動産会社の中には、マンションの売却が得意なところもあれば、戸建ての売却を得意とする会社、条件の悪い土地の売却を得意とする会社など、様々な専門分野があります。

条件の悪い土地でも進んで買い取る不動産会社は、それだけノウハウを持っているということ。運用して資産価値を高める術に長けています。

実際に、悪条件の土地の転売を希望するお得意さまを、多数抱える不動産会社も存在します。

査定依頼だけなら、費用はかかりません。

不動産の売却は高額な取り引きですから、信頼できるパートナーを見つけることが何よりも大切です。

複数の不動産会社から話を聞き、条件の悪い土地を扱う確かなノウハウと実績があり、安心して任せられる業者を選定するようにしましょう。

⑦不動産会社に買取を依頼するのも選択肢の一つ

仲介での売却が難航した場合は、不動産会社に買取を依頼しましょう。そうすれば、1ヵ月程度で現金化することも可能です。

なかなか売れない土地をずっと持っていても、固定資産税や都市計画税、建物の維持費など、お金はかかる一方です。無駄な出費を増やさないためにも、検討してみましょう。

買取の場合は市場価格の7割程度に価格が下がってしまいますが、余計な経費をかけずに売ることができれば、多少の値下げでも十分メリットが感じられるはずです。

できるだけ早く手放したい方、現金化したい方には、特におすすめの方法です。条件の悪い土地、権利関係が複雑な土地の買い取りを得意とする不動産会社に相談してみましょう。

まとめ

売れない土地には、立地や形状といった条件の悪さ以外に、権利関係の複雑さなどの要因もあり、すべて価格に影響します。

そうした土地を売却するには、弱点を逆手にとって提案を工夫する、権利関係のように価値を下げている原因を解消・改善することで、需要を高めることができます。

場合によっては、資産価値が一気に上がり、お荷物だった土地が大きな利益をもたらしてくれることもあります。

肝心なのは、そうした土地の取り扱いに馴れた不動産会社に依頼すること。複数の不動産会社の中から、安心して任せられる会社を見極め、早めに処分してしまいましょう。

北章宅建も、さまざまなご相談に応じています。お困りの土地があれば、ぜひお気軽にご相談ください。

家を売るなら不動産売却相談 家を売るなら不動産売却相談
著者
高く売れる土地と売れない土地の違いとは?売れない時の対策も紹介

美唄店 小河 利也特に担当している岩見沢東部、三笠市、美唄市、奈井江町は地元という事もあり、細かな対応に自信があります。 不動産売買仲介のみならず、買取、賃貸仲介、管理等不動産に関する事はどのような事でもご相談ください。どうぞ宜しくお願いします。

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