土地や空き家のこと2021.02.26

土地、空き地を有効活用。その3〜等価交換・定期借地・売却のメリット・デメリット

所有地の特徴を活かして収益を上げるには、マンション・アパート経営、駐車場、太陽光発電など、様々な方法があります。空き地のまま放置して無駄な税金を払い続けることのないよう、最適な活用方法を見つけたいものです。

土地活用の基礎知識を紹介する2回目の記事では、自己活用のための8つの方法を解説しました。しかし中には、自己活用のリスクは避けたいと感じる方もいるでしょう。

そこで本記事では、共同活用や売却など、自己活用以外の方法を解説します。目的や立地条件にぴったりの土地活用方法を見つけるヒントとして役立ててください。

「共同活用」するメリット・デメリット

自己資金で住宅や商業施設を経営するよりも、リスクを減らしたいと考える場合は、土地を共同活用する方法がおすすめです。
一般的な共同活用である「等価交換」のメリット・デメリットを見ていきましょう。

等価交換

土地の所有者が土地を出資し、デベロッパーが建築費用を出資して建物を建築するという方法です。出資比率に応じて建物を所有し、その分の収益を得ることができます。

建物の建設費用がなくても、土地を提供すれば収益を得られるため、金銭的なリスクを負わずに土地活用できる点が魅力です。さらに等価交換には税金の優遇措置があり、固定資産税、都市計画税、相続税いずれの面でも高い節税効果を期待できます。

一方で等価交換後は、土地の価格に相当する建物や土地の区分所有権を得る方法ですので、自由に管理できないというデメリットがあります。

また、等価交換できる土地は限られており、特に重要なのは立地。それは、デベロッパー側が収益を見込めると判断した土地でなければ契約に至らないためです。さらに賃貸として運用する場合は、デベロッパーのプラン次第で収益が大きく変動するため、優良なデベロッパーに出会えるかどうかも鍵になります。

<メリット>
・土地を提供するだけで収益を得られる
・節税効果がある

<デメリット>
・区分所有となるため、自由に管理ができない
・優良なデベロッパーを探すことが困難

<向いている土地>
・都心など、人が多く集まり大規模な建物を建築可能な土地

「借地として活用」するメリット・デメリット

所有する土地を貸し出す方法もあります。それが「定期借地権」を利用した土地活用です。どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

定期借地

定期借地は、所有地を期限付きで貸し出す契約方法で、期限が来たら契約の延長や更新なしに土地が返還されます。基本的に建物を建てるのは借主。初期投資の必要がなく、かつ借地契約は10年単位と長いため、長期に渡り安定した収益が得られます。

借地料の相場は固定資産税の3倍程度です。そのため収益性は低く、原則として契約期間中の賃料変更ができない点がデメリットです。

<メリット>
・最終的に土地が返ってくる=所有権は譲渡しない
・初期費用が必要ない
・安定的な収入を見込める

<デメリット>
・賃貸期間中に賃料を変更することができない
・収益性が低い

「土地売却」のメリット・デメリット

土地を売却する方法です。売却すれば、まとまった現金を得ることができ、固定資産税や都市計画税といった税金を支払う必要がなくなります。また、空き地の管理にかかっていた費用も不要になります。

しかし、土地を売却してしまうと、土地活用して継続的に収益を上げることはできません。売却時には、仲介手数料などの費用のほか、売却して得られた利益に対して譲渡所得税がかかることにも注意が必要です。

<メリット>
・現金化できる
・売却後は税金を支払う必要がなくなる
・維持管理の手間や費用が要らなくなる

<デメリット>
・売却による利益に譲渡所得税などの費用がかかる
・今後、収益を得ることが不可能になる

あなたに最適な土地活用は?タイプ別オススメ土地活用法

最後に、タイプ別にオススメの土地活用法をご紹介します。

高い収益性を目指すなら

収益の高い土地活用方法を考えているなら、以下の土地活用がおすすめです。

・アパート・マンション経営
・介護施設経営
・商業施設経営

いずれも、うまく経営できれば、長期的に高い収益を得ることができます。適した立地はそれぞれ異なりますので、所有地の特徴を見極めて慎重に判断する必要があります。

初期投資額が大きい分、大きなリスクが伴うことも覚えておきましょう。

都市部に土地があるなら

都市部にある土地は、以下の土地活用法がおすすめです。

・マンション・アパート経営
・商業施設経営
・駐車場経営

都市部の場合、土地の広さによって活用法は少し異なります。ある程度広い土地であれば、アパートやマンション、商業施設の経営がおすすめです。

狭い土地は駐車場に向いていますが、エリアによっては狭くても建ぺい率や容積率が高く設定されていることがあります。その場合は、アパート・マンションや商業施設を検討する余地があるでしょう。

地方(田舎)に土地があるなら

地方にある土地は、以下のような活用方法がおすすめです。

・太陽光発電設置
・戸建て賃貸経営
・トランクルーム経営
・売却

戸建て賃貸やトランクルームは、ファミリー層の多い地方で比較的高い需要があります。利便性が低いなど、集客しにくい土地では、太陽光発電による土地活用もおすすめです。

ただ、こうした活用も見込めないなど収益性が乏しいと感じる土地であれば、思い切って売却することも選択肢に入れましょう。

リスクを低く抑えたいなら

リスクの少なさで土地活用法を選ぶなら、以下がおすすめです。

・駐車場経営
・トランクルーム経営
・共同活用
・借地

初期投資が不要、または少ない額で始められるため、ほかの方法に比べてリスクが格段に低い土地活用法です。万が一経営がうまくいかなくても、ダメージが少なく済みます。

転用性の高さで選ぶなら

・駐車場経営
・トランクルーム経営

転用とは、土地を他の方法で活用することです。例えば最初は駐車場を経営し、のちにアパートやマンションに転用する、といったことを指します。

更地に戻してほかの方法に変えやすい活用の仕方は、平面式駐車場やトランクルームです。例えば、現役時代はリスクを抑えて駐車場を経営し、将来的にもっと収益性の高い土地活用を行いたいといった方に向いているでしょう。

土地活用は専門家に相談を

ご紹介してきた通り、土地活用には様々な方法があり、土地により向き不向きがあります。また、高収益を上げたいのか、リスクの低さや安定的な収益の確保を重視するのかなど、目的によっても活用方法は異なります。

ただ、いずれの活用方法にするとしても、土地の法規制や周辺環境など事前調査は必要です。実際に向いている土地活用を見極めるためには、不動産業者など専門家に相談した方が良いでしょう。

その際は、1社ではなく、複数の会社からプランを提案してもらうようにしましょう。その中から良いと思うプラン、信頼できる会社を選ぶことをおすすめします。

 

まとめ

土地、空き地を活用する様々な知識を、3回に分けて紹介してきました。

土地を空き地のままにしていては、税負担などの損失が生じるだけです。有効に活用してプラスの資産に変えていきましょう。

ひと口に土地活用といっても様々な方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。まずは自分が重視するポイントを明確にし、所有地の特徴を踏まえて最適な土地活用を選択してください。

うまく運用できれば将来に渡って収益を上げることができるはずです。

家を売るなら不動産売却相談 家を売るなら不動産売却相談
著者
土地、空き地を有効活用。その3〜等価交換・定期借地・売却のメリット・デメリット

札幌手稲店 野口 祥子

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