土地や空き家のこと2022.09.29
空き家を購入しても問題ない? メリット・デメリットを徹底解説!~その2
少子高齢化が進む日本では、年を追うごとに空き家が増加しており、深刻な社会問題になっています。そのため国や地方自治体では、空き家の活用を促進するための減税や補助金など、様々な支援策を打ち出しています。家の購入費用をできるだけ抑えて、自分好みにリフォームしたいと考えているなら、空き家はまさに狙い目。補助金などをうまく活用して、理想の暮らしを手に入れたいですよね。
前回の記事では、空き家の購入は特に費用面で大きなメリットあることを紹介しましたが、一方でデメリットもあります。今回は、気をつけるべきポイントについて詳しく見ていきます。
空き家を購入するデメリットは?
空き家を購入するデメリットには、どんなことがあるのでしょうか。
①購入後にコストがかかる
空き家は、築年数の経った古い家が圧倒的に多く、ほとんどの物件は購入後にリフォームや修繕が必要です。あまりにも劣化がひどい場合は、せっかく安く購入しても住める状態にするために多額のコストがかかってしまいます。
床や壁はどの程度傷んでいるか、シロアリ被害や雨漏りはないか、水回り設備や配管の交換は必要かなど、購入前に建物の状態をしっかり確認することが肝心。実際にいくらかかるのか見積もりを取り、購入価格と併せて検討するようにしましょう。
②空き家情報は見つけにくい
空き家は、「どうせ売れないだろう」と所有者が放置し、売りに出していないケースがほとんどです。また、売りに出されている物件も、価格が安いために積極的に扱ってくれない不動産会社もあります。
市場での流通量が少ない上に、積極的に売却活動も行われないため、条件に合う物件を見つけづらいのが現状です。
③1981年までに建築された物件は、住宅ローン控除のハードルが高い
住宅ローン控除は、住宅を購入した年から一定期間、住宅ローン残高に控除率をかけた金額が所得税から控除できる減税制度です。
住宅ローン控除の対象となる中古住宅は、これまで「木造などの非耐火構造は築20年以内、マンションなどの耐火構造の住宅は25年以内」が原則で、該当しない場合には、耐震基準適合証明書と既存住宅性能評価書の取得、既存住宅売買瑕疵保険の加入が必要でした。
しかし2022年度の税制改正によって、中古住宅の築年数に関する要件は撤廃され、「1982(昭和57)年1月1日以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)」であれば、住宅ローン減税が適用されることになりました。要件を満たしていれば、各種証明書の取得も必要なくなったのです。
ちなみに、1981年12月31日以前に建てられた空き家を購入して住宅ローン控除を受けるには、以前と同様に以下のいずれかの証明書を用意し、耐震性を証明する必要があります。しかし証明書の取得は簡単ではありません。
・耐震基準適合証明書
・既存住宅性能評価書(耐震等級1~3のいずれか)
・既存住宅売買瑕疵保険付保証明書
〈耐震基準適合証明書を取得するには〉
耐震基準適合証明書とは、対象の建築物が必要な耐震性能を満たしていることを証明する書類です。
証明書の発行は、指定の検査機関や設計事務所に依頼します。必要な費用は約20万円を見ておくと安心でしょう。
しかし、新耐震基準以前に建てられた住宅で、現在の耐震基準を満たしている物件はほとんどありません。適切な耐震補強工事を実施すれば証明書が取得できることがありますが、工事には多額の費用が必要になります。金銭的なメリットはほとんど無いと言えるでしょう。
④住宅ローンが組めないケースがある
住宅ローンは、自分が購入する不動産を担保に金融機関から融資を受ける仕組みのため、空き家の築年数や土地の状況によっては「担保価値がない」などの理由で、ローン審査に通らない場合があります。なぜなら、もし返済不能となった時に物件を売却しても、ローンの残債を完済できるだけの額の回収が見込めないからです。
例えばフラット35を利用するためには、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書の取得が必要ですが、新耐震基準を満たしていないと取得できません。そもそも金融機関の多くは、戸建住宅は築20年ほどで担保評価額をゼロとしています。また、再建築不可物件など、現在の建築基準法の規定を満たしていない物件も、住宅ローンの審査を通過することは困難です。
築年数の経過した古い空き家は、住宅ローンの審査に通らない可能性がある点に注意しましょう。
まとめ
空き家の購入は、新築や他の中古物件に比べて価格が安く、国や自治体の補助金制度も活用できるなど、様々なメリットがあります。
一方で、築年数が古い物件が多いため、購入後にリフォームや設備の入れ替えなどに費用がかかるほか、住宅ローンのハードルが高いことも事実です。こうしたメリットとデメリットの両方をしっかり把握して検討していきましょう。
今は、深刻化する空き家問題への対策として、空き家を利活用しやすい環境が整えられつつあります。本記事で解説したポイントに留意し、補助金などをうまく活用すれば、理想の暮らしが低コストで実現できるかもしれません。