土地や空き家のこと2020.05.06
空き家売却で受けられる税制優遇とは?特別控除を徹底解説
※コラム内容は掲載当時の最新情報となり、現在改正されている場合があります
こんにちは。北章宅建 滝川店の上家です。
相続した空き家とはいえ、売却して利益が残れば税金がかかります。
しかし、一定の要件を満たした空き家の売却なら「譲渡所得の特別控除」という税制優遇を受けることができますよ。
今回は空き家の売却で受けられる税制優遇について解説。
税制優遇措置「譲渡所得の特別控除」の対象となる空き家の条件や手続き方法、注意点などもご紹介します。
空き家の売却時に受けられる税制優遇「譲渡所得の特別控除」とは?
相続した空き家を売却して利益(譲渡所得)が残れば、「譲渡所得税」が課税されます。
しかし、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に一定の要件を満たす空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除することができます。
これが「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。
少し長いのでわかりづらいですが、簡潔に言うと被相続人が居住用として使っていた空き家を相続し売却した場合に特別控除があるということです。
つまり売却利益が3,000万円以下なら、空き家の売却に対して譲渡所得税がかからないということになります。
空き家売却の税制優遇を受けるための条件も知っておこう
この特別控除を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
どんな空き家が対象か
- 昭和56年5月31日以前に建てられた建物
- 相続開始直前まで被相続人が居住用として使用していた
- 相続開始直前、被相続人が1人で住んでいた
- マンションではなく一戸建て
相続開始直前というのは、被相続人が亡くなる直前ということです。
居住用として被相続人が一人で住んでいた一戸建てが対象となります。
ただし、2018年からは要介護認定や要支援認定を受けて老人ホームなどで暮らしていた場合も、一定の条件のもと特別控除が認められるように制度が拡大されました。
家財道具の保管場所として利用していたり、被相続人の外泊や一時帰宅などに使用されていたという条件が必要です。
売却時の条件
- 平成28年4月1日から令和5年12月31日までの期間に売却する
- 相続開始から3年が経つ年の12月31日までに売却する
- 売却価格が1億円以下である
- 売却時の耐震基準を満たしている
- 相続してから売却までの期間に、相続人が事業用、賃貸用、居住用として使用していない
- 売却先が(親子や夫婦など)家族や親族ではない
相続を開始してから3年を経過する日が属する年の年末まで、さらに令和5年12月31日までに売却した場合が対象です。
空き家を取り壊して更地にしてから売る方法でも、同様の特別控除を受けられます。
空き家売却の税制優遇には確定申告が必要。手続き方法や必要書類は?
相続した空き家の売却時に税制優遇を受けるためには、確定申告が必要です。
必要書類を揃え、空き家を売却した翌年の2月16日~3月15日に、相続人の住所を管轄する税務署へ確定申告をしましょう。
【必要書類】
・譲渡所得の内訳書
空き家がいくらで売れて、いくらの利益があったかの確認
・空き家の登記事項証明書
建築時期や相続の事実、一戸建てであることの確認
・耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
耐震基準を満たしていることの確認
・売買契約書の写し
売却代金が1億円以下であることの確認
・被相続人居住家屋等確認書
相続開始直前まで被相続人が居住用として使用していたことの確認(空き家の住所の自治体で発行)
空き家や売却条件が要件を満たしていることを証明する書類を添付して、確定申告を行います。
空き家売却の税制優遇を受ける際の3つの注意点
空き家に関わる譲渡所得の特別控除を受ける際の注意点を3つご紹介します。
知らずに条件から外れてしまうと、税制優遇が受けられないので注意してくださいね。
確定申告は売却後でも、相続税の納税を忘れずに
税制優遇を受けるための売却には3年ほど猶予があります。
しかし、相続税は相続開始から10ヵ月が納付期限。
納付を忘れると延滞税がかかってしまうので注意しましょう。
相続税納税用の現金がないという方は、早めに空き家を売却して現金を手配すると良いでしょう。
相続から売却までの間に空き家を使用してはいけない
相続してから売却まで、相続人が自分で住んだり事業用や賃貸用に使用してしまっては特別控除の対象となりません。
「誰も使っていないのだから貸しておこう」と賃貸などにしないよう注意してください。
多くの空き家は耐震リフォームをしないと対象にならない
条件である「昭和56年5月31日以前に建てられた建物」と「売却時の耐震基準を満たしている」この2つは矛盾します。
新建築基準法が制定し、耐震基準が強化されたのが昭和56年6月1日。
昭和56年5月31日以前に建てられ、一度も耐震リフォームを行っていない建物は現行の耐震基準を満たしていないのです。
すでに耐震リフォームを施している建物ならよいのですが、そうでない場合、耐震リフォームを行わないと条件を満たすことができません。
使わない空き家を売却するためだけに耐震リフォームはできませんよね。
その場合は、空き家を取り壊して更地にしてから売るという方法をとりましょう。
その他の要件を満たしていれば、更地にしてからでの売却でも税制優遇を受けられます。
まとめ
●被相続人が亡くなる直前まで住んでいた空き家を相続して売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除可能な「譲渡所得の特別控除の特例」という税制優遇を受けられます。
●空き家売却で税制優遇を受けられる空き家の条件として、昭和56年5月31日以前に建てられていること、被相続人が亡くなる直前まで住んでいたこと、相続後は事業用や居住用、賃貸用として使用していないことなどが挙げられます。
相続開始から3年が経つ年の年末まで、そして令和5年12月31日までに売却した場合が対象です。
●相続した空き家の売却時に税制優遇を受けるためには、売却の翌年に確定申告が必要です。
条件を満たしている空き家・売却であることを証明する書類をそろえ、相続人の住所を管轄する税務署へ申告しましょう。
●相続してから売却までの間に、空き家を賃貸や居住用として使用しては、特例が適用されなくなってしまうので注意。
適用期間は3年程ありますが、相続税の納付期限が先にきますので早めに売却をして納税用の現金を確保するのも良いでしょう。
著者
滝川店 上家 郁也スポーツ全般が大好きで、サッカー、バスケット他いろいろな競技を行ってきました。体力とチームワークには自信があります。お客様満足を目指して、精一杯対応致します。又、以前は別会社で賃貸仲介業務に携わっていました。 売却、購入ともに、ご提案の際には実際の賃貸との比較など、経験を生かしたご提案をさせていただきますので、どうぞ宜しくお願いします。
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