土地や空き家のこと2023.04.26
空き家の倒壊責任はだれが負う?放置するリスクや管理法も解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の小林です。
空き家が倒壊したときの責任はだれが負うのだろうか…。
空き家を所有している方の中には、そんな不安を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。
空き家を放置すると建物が劣化し、やがて倒壊につながる恐れもあり、その責任は所有者にあります。
今回のコラムでは、空き家の倒壊責任について徹底解説。
空き家を放置するリスクや、倒壊を防ぐための管理方法もあわせてご紹介します。
空き家は倒壊のリスクが高い
人の出入りがない建物は、換気をする機会が少なく、家を劣化させる原因である湿気がこもりがちになります。
また、建物は経年や天候による傷みなどで、劣化や破損が発生することも。
空き家は人の目が届きにくく、雨漏りやひび割れなど建物に発生した問題を発見しづらいので、人が住んでいる建物よりも劣化スピードが早い傾向にあるのです。
空き家の劣化しやすい箇所とは?
最も劣化しやすいのは、家の外壁や屋根など、日差しや風雨といった外部からのダメージにさらされる部分です。
一部が損壊したり、ひび割れたりした部分から雨水が入り、やがて天井裏や壁の内部にしみ込むことで家屋の部材を腐らせてしまいます。
雨水など湿気により、柱や梁など家の構造部が腐ったり、部材をつなぐ金属部品が腐食し、さびが発生したりすると、家全体の強度を下げる原因になります。
また、シロアリは湿度が高い環境を好むため、シロアリが発生すれば、濡れた木材を食い荒らす恐れがあります。
空き家が倒壊する事例とは?
空き家を放置すると、シロアリ被害の発生や家屋の老朽化により家の強度が減少し、倒壊の危険性が高まります。
家屋の部材の強度が落ちれば、壁や屋根を支えきれず、崩れ落ちる可能性があることを知っておきましょう。
例えば、2階建ての場合は2階の壁が崩れ落ちると、階下の損壊を招いたり、破片が飛んで周辺の住民や家に被害を与えかねず、たいへん危険です。
部材をつなぐ力が弱まれば、台風などで屋根が飛ばされたり、地震などで崩れたりする可能性もあります。
空き家の倒壊責任は所有者にある
空き家が倒壊した場合の責任は、家の所有者にあります。
所有者には、空き家を適切に管理する義務が民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)で定められているからです。
空き家を放置し、建物が倒壊したことで人や物に次のような損害を与えてしまった場合、損害賠償を求められるケースもあります。
- 災害で家が崩れたり、屋根が飛んだりして隣の家を損壊させた
- 庭木が倒れて、近隣住民にケガをさせてしまった
被害を受けた人が治療を受けたり入院したりすれば、医療費の負担も必要ですし、通院・入院で仕事を休むことになれば、休業分の賠償もしなければいけないからです。
所有者への金銭的負担は与えた損害によって異なりますが、人命に関わるものや規模が大きいものとなれば、数千万〜数億円とたいへんな金額を請求される恐れがあります。
適切に管理していないと「特定空き家」に指定されることも
屋根や外壁が脱落・飛散していたり、建物が著しく傾いていたり、基礎や土台が破損しているなど…。
倒壊の危険性があると判断されれば、「空家等対策の推進に関する特別措置法」にて「特定空き家」に認定される可能性があります。
認定された場合、所有者には自治体から改善するよう助言・指導が行われ、改善がなければ勧告が出されます。
勧告を無視すると税負担が増える可能性がある
居住用建物が建っている敷地には通常、固定資産税や都市計画税の軽減税率(住宅用地に対する課税標準の特例)が適用されます。
しかし、改善を勧告されてしまうと、その土地は特例の適用外となります。
実質、固定資産税は従来の税金の最大6倍、都市計画税は最大3倍を納めなければならなくなってしまうのです。
命令を受けても改善しないと行政代執行が行われる
勧告を無視すれば、より強制力の高い「命令」という行政指導が入ります。
命令に違反すれば50万円以下の過料に処され、命令を受けたにもかかわらず改善が見られない場合は、「行政代執行」が行われます。
行政代執行とは、行政が所有者に代わって、倒壊しそうな家屋を解体するといった適正な管理に向けた取り組みをすることです。
基本的には、解体しなければ危険だ、といった緊急性の高い場合に行われます。
行政代執行にかかった費用は、すべて所有者の負担です。
費用を払わない場合は、不動産を差し押さえられ、公売にかけられる恐れもあります。
相続放棄をしていても管理責任は残る
空き家を相続放棄している場合も、次の相続人が決まるまでは管理責任が残ることが民法第940条(相続の放棄をした者による管理)で定められています。
そのため、相続放棄をしていたとしても、他にだれも相続していない限りは空き家を適切に管理する必要があります。
空き家の倒壊を防ぐための管理方法・対策
行政代執行となれば不動産を失うリスクがあるため、空き家の所有者自らが、普段から適切な管理をしていくことが何より重要です。
倒壊を防ぐには、家の問題を発見し、早期解決することが一番の対策といえます。
管理する方法は、自分で管理をする方法と管理を委託する方法の2つ。
自分で管理する場合は手間がかかりますが、金銭的負担は委託に比べると抑えられます。
管理会社に委託する方法は、遠方に住んでおり管理が難しい場合や、仕事などで忙しく管理する時間が無いといった場合に向いていますが、委託料がかかります。
自分で管理をする場合は、管理の基本となるポイントを抑えておくことをおすすめします。
管理の基本は、家の換気をして湿気を払い、室内外の掃除や点検を行うことです。
家の傾きは倒壊の前触れになることも多いので、建具の動きが不自然でないか良く確認しておきましょう。
1カ月に1度以上、定期的な管理が理想的といえますが、家を空けている間の変化を知るのは難しいといえます。
管理に赴く際は事前に近所の人に挨拶し、トラブルが発生してしまった際の連絡先を伝えておきましょう。
空き家の管理者がわかるだけでも近所の人にとっては安心材料になりますし、空き家に何かあった場合には早めに対応できる可能性が高くなります。
空き家の管理方法については、「空き家は自分で管理できる? 管理の流れや代行サービスなどを徹底紹介」にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
空き家を放置するリスクも知ろう
空き家を放置すると、倒壊以外にも次のようなリスクがあるのでご注意ください。
- 放火、不法侵入、不法投棄など犯罪に巻き込まれる
- 周辺の景観が悪化する
- 衛生・防災面が悪化する
- 家の資産価値が下がる
空き家を放置すれば劣化が進み、外観が悪くなれば、ごみのポイ捨てや不審者の出入りがしやすい環境になります。
タバコの吸い殻から出火したり、ゴミに虫が集って悪臭がしたりすれば、近隣住民から苦情が出て、行政指導が入る恐れもあります。
また、空き家を放置して周囲の景観を損ねてしまった場合、該当の空き家だけでなく、周辺一帯の地価を下げてしまう原因にもなりかねません。
管理が難しい場合は、早めに売却するのも手段の一つです。
劣化が進めば、資産価値が減少し、売却価格にも影響するからです。
不動産会社に相談すれば、無料で不動産査定サービスを受けられる場合もあります。
将来的に使う予定がない空き家は、処分を検討してみても良いでしょう。
空き家の処分・活用方法について詳しくは「空き家を放置するのはリスクが高い!リスク回避の解決方法とは?」にて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
●空き家は換気をする機会が少なく、空き家を放置していると家を劣化させる原因である湿気がこもりがちになります。湿気により家屋の部材や部品の腐食が発生すると、家全体の強度が低下してしまいます。強度が下がると家を支えきれなくなり、倒壊を招く危険性も。空き家を放置すると家のトラブルに気付きにくいため、倒壊の危険性が高まるといえます。
●空き家が倒壊し、人や物に被害を与えてしまった場合の責任は、所有者に課せられます。適切な管理をせず、行政からの指示を無視すれば、行政代執行が行われ、費用は所有者負担になります。相続放棄している場合も管理者責任が残ることがありますので注意しましょう。
●倒壊を防ぐためには、定期的な管理が必要です。空き家を放置することで、犯罪に巻き込まれる可能性や、資産価値の低下などさまざまなリスクがあります。管理が難しい、将来的にも利用する予定がない空き家は、早めに売却することをおすすめします。
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