ローンやお金のこと2020.12.15
不動産売買でも、クーリングオフはできる?適用条件と方法とは?
クーリングオフは、サービスや商品の契約をした後、一定期間内であれば理由を問わず契約を撤回できる制度です。
高額な取引になる不動産売買も、契約後に冷静になって考え直してたら、「やっぱりやめたい」という人も中にはいるのではないでしょうか。
この制度は不動産の取引にも適用されるのでしょうか? わかりやすく解説していきましょう。
不動産売買でのクーリングオフ制度とは?
まずはクーリングオフがどんな制度か、おさらいしてみましょう。
『「クーリング・オフ」とは、契約した後、頭を冷やして(Cooling Off)冷静に考え直す時間を消費者に与え、一定期間内であれば無条件で契約を解除することができる特別な制度のことをいいます。一度契約が成立するとその契約に拘束され、お互いに契約を守るのが契約の原則ですが、この原則に例外を設けたのが「クーリング・オフ」制度です。』
(独立行政法人国民生活センターのHPより抜粋)
不動産取引におけるクーリングオフは、宅地建物取引業法第37条の2に規定されています。
『宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地や建物の売買契約について、その業者の事務所等以外の場所で買主が購入の申込みや契約を締結した場合、8日以内であれば、書面により無条件で撤回や契約の解除をすることができる。』
不動産取引にも様々な取引があります。
クーリングオフの対象となるのは、以下の場合です。
・土地、戸建、マンションの売買(賃貸は対象外)
・売主が不動産会社(宅地建物取引業者)で、買主は一般の消費者
・その業者の事務所等以外で契約した場合
これらすべての条件に当てはまり、かつ契約締結から8日以内に限り、クーリングオフ適用の可能性があります。
クーリングオフが適用されないケース
逆に言えば、先の条件に当てはまらない次のようなケースは、全てクーリングオフ制度の適用外です。
1)売主が宅地建物取引業者ではない場合
2)売主の事務所で申込みや契約締結をした場合
3)事務所以外の場所で、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、申込みや契約を締結した場合
4)10区画以上の一団の宅地または10戸以上の建物の分譲を行う場合の案内所・モデルハウス・モデルルーム等で、申込みや契約締結をした場合
5)代理または媒介を行う宅地建物取引業者の上記②③④の場所で申込みや契約締結をした場合
6)取引士を置かなければならない事務所等で説明をしたあと、抽選会場で契約を締結した場合
7)事務所等で買受けの申込みをし、事務所以外の場所で契約を締結した場合
8)買主の自宅または勤務する場所で、申込みや契約締結した場合※
9)申込みや契約の撤回ができる旨を告げられた日から8日を経過した場合
10)当該宅地または建物の引渡を受け、かつ、代金の全部を支払ったとき
11)宅地建物取引業者同士の取引である場合
※場所が自宅または勤務先であっても、その場所を買主自身が指定したのであればクーリングオフはできません。ただし、売主(宅建業者)の提案でその場所に行った場合はクーリングオフが可能です。また、買主が指定した場合でも、ホテルや喫茶店等の場合はクーリングオフができます。つまり、申し込みや契約を行なったのが「冷静に判断できる場所」かどうかが適用の分かれ道です。
クーリングオフの期限は、告知された日から8日以内
次に、実際にクーリングオフを行う手順を説明しましょう。
クーリングオフは、「クーリングオフできる旨及びその方法を書面で告知された日」から起算して8日以内に「書面」で行わなくてはいけません。
実は不動産会社(宅地建物取引業者)には、クーリングオフについて告知(書面交付)をする義務はありません。
そのため不動産会社から告知されていないのあれば、買主が建物の引渡しを受けて代金の全額を支払わない限り、いつでもクーリングオフによる契約解除が可能です。
そのため、不動産会社として、消費者のクーリングオフの権利を排除し、告知から8日で消滅させるため、不動産がクーリングオフの対象である場合には告知(書面交付)が行われます。
注意すべきなのは、不動産会社がクーリングオフの告知をした場合、いつ告知されたのか?という点です。
クーリングオフの行使期間は、告知された日から起算して8日以内。購入の申込み時に告知されていた場合はその日から8日間、契約締結日に告知された場合はその日から8日間です。
告知された日を1日目とカウントしますので、気をつけましょう。
クーリングオフは書面で通知を
クーリングオフは、8日以内に書面で行います。通知書の到着は期限後でも問題ありません。
「書面」とは、ハガキ・封書・内容証明郵便・FAX等を指しますが、クーリングオフは内容証明郵便で行うのが一般的。「届いていない・聞いていない」といったトラブルにならないよう、クーリングオフを確実に行った証拠を残す必要があります。
なお、不動産会社が口頭でクーリングオフを受け付けてくれた場合でも、契約を解約した旨の書面は証拠として残しておくべきでしょう。
具体的な記載方法は、独立行政法人国民生活センターのHPを参照してください。詳しく相談したい人は、消費生活センター(消費者ホットライン)に連絡してみてください。