ローンやお金のこと2021.08.29
不動産売却で介護保険料は上がらない場合がほとんど!その理由を解説
こんにちは!イエステーション北章宅建 江別店の星です。
社会保険や国民健康保険といった公的保険の保険料は、収入や所得を基準に決定します。
不動産売却による「譲渡所得」があると、条件によっては保険料が上がることもあり、それは介護保険でも同じです。
ただし、実際には不動産売却で介護保険料は上がらないケースがほとんど。
今回は、その理由について解説します。
介護保険料の決まり方や、不動産売却が介護保険に影響のないケース、影響する場合はどのくらい保険料が上がるのかなどを詳しくご紹介します。
まずは介護保険料の基本を確認!介護保険料はどう決まる?
介護保険料とは、介護保険制度の財源となるお金のこと。
40~65歳の公的保険加入者が保険料を負担しています。
会社員で社会保険に加入している人は社会保険と一緒に給料から天引きされ、国民健康保険に加入している人は国民健康保険料に上乗せして徴収されています。
介護保険料は収入や所得によって保険料が決まりますが、加入している保険の種類によって違いがあります。
サラリーマンが加入する社会保険、公務員が加入する共済保険では月給から算定した「標準報酬月額」をもとに介護保険料が決まります。
介護保険料は加入している保険組合がそれぞれ決定し、加入者本人と事業所で折半して負担しています。
たとえば、全国健康保険協会(協会けんぽ)の令和3年8月時点の保険料率は1.80%。
標準報酬月額が20万円なら、介護保険料は月額3,600円となり、本人負担額は1,800円です。
不動産売却による「譲渡所得」は標準報酬月額には影響しないため、社会保険や共済保険に加入している場合は、不動産売却で介護保険が上がることはありません。
一方、自営業者や学生など国民健康保険に加入している方は、1年間の所得をもとに介護保険料が算定されます。
ここでいう「所得」とは、不動産売却による「譲渡所得」も含まれます。
国民健康保険に加入している場合は、不動産を売却したことにより1年間の「所得」が増えると、翌年の介護保険料が上がる可能性があるのです。
不動産売却で特別控除を受ければ介護保険料は上がらない?!
国民健康保険加入者の場合、不動産売却で譲渡所得があれば介護保険料が一気にアップしてしまうのでしょうか?
その心配はいりません!
なぜなら、2018年度の介護保険制度改正により、譲渡所得と介護保険料の取り扱いが見直されたからです。
不動産売却による利益は「譲渡所得」として所得税の対象にもなるのですが、一定のマイホームの売却など条件に当てはまる場合は「特別控除」としてその利益を所得から差し引きことができるという制度があります。
介護保険制度改正では、介護保険料の算定にもこの「特別控除」適用後の所得を基準とすることになりました。
そのため、不動産売却で特別控除を適用できれば、譲渡所得を抑えることができます。
特別控除の適用で所得を抑えることができれば、介護保険料にも影響はありません。
介護保険料算定に影響する不動産売却の特別控除
不動産売却時に適用できる特別控除はいろいろありますが、介護保険料に影響する「譲渡所得」を抑えることができるのは、具体的には以下の項目になります。
(1) 収容交換等のために土地等を譲渡した場合の 5,000 万円(最大)
(2) 特定土地区画整理事業や被災地の防災集団移転促進事業等のために土地等を譲渡した場合の 2,000 万円(最大)
(3) 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の 1,500 万円(最大)
(4) 農地保有の合理化等のために農地等を売却した場合の 800 万円(最大)
(5) 居住用財産を譲渡した場合の 3,000 万円(最大)
(6) 特定の土地(平成 21 年及び平成 22 年に取得した土地等であって所有期間が5年を超えるも の)を譲渡した場合の 1,000 万円(最大)
(7) 上記の1~6のうち2つ以上の適用を受ける場合の最高限度額 5,000 万円(最大)
※厚生労働省「介護保険法施行令等の一部を改正する政令の公布について」より
一番よくあるケースは(5)の「 居住用財産を譲渡した場合の 3,000万円(最大) 」でしょう。
これは税制では「3,000万円の特別控除」と呼ばれているもので、一定の条件を満たしたマイホームの売却で譲渡所得から3,000万円までを控除できるというものです。
適用となる条件には、以下のようなものがあります。
- 自分が住んでいたマイホームの売却である
- 住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売却する
- 親子や夫婦など特別な関係にある相手への売却ではない
- ほかの特別控除の適用を受けていない
そのほか公共事業や街の開発、被災地復興などのために不動産を売却した場合なども特別控除の適用対象となります。
特別控除を受けるためには、それぞれの条件を満たす売却であることと、売却の翌年に確定申告をする必要があります。
特別控除の適用外・受けても売却益がある場合は介護保険料が上がる?
介護保険料が上がる可能性があるかどうかは、以下の計算式に当てはめて考えてみましょう。
売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除
不動産の売却価格がそのまま譲渡所得(売却益)になるわけではありません。
その不動産を購入する際にかかった費用「取得費」と、今回の売却でかかった費用「譲渡費用」を差し引いて残ったものが、譲渡所得です。
さらに、譲渡所得から特別控除を差し引いた残りが、所得にプラスされることになります。
仮に譲渡所得が2,500万円あったとしても、3,000万円の特別控除が適用できれば譲渡所得は0円に。
不動産売却によって所得が増えることにはなりませんので、介護保険料にも影響はありません。
ただし、特別控除を適用できない場合、特別控除を差し引いても譲渡所得がある場合は所得がプラスになった分、介護保険料も上がる可能性があります。
介護保険料は自治体によって異なりますが、参考までに札幌市の介護保険料の算定についてご紹介します。
介護保険料は以下の3つの内訳で構成されています。
(1)所得割額:1年間の所得に応じた金額。所得×2.35%
※世帯の所得割額は、40歳以上64歳以下の各加入者ごとに計算し、小数点以下切捨てた所得割の合計額となります
(2)均等割額:世帯の人数に応じた金額。40~64歳の加入者人数×5,210円
(3)平等割額:一世帯ごとの金額。7,140円
所得が増えたことにより金額が変わるのは(1)の所得割額の部分です。
仮に譲渡所得が500万円あった場合、500万円×2.35%=117,500円で、年間の介護保険料は117,500円アップすることになります。
社会保険や共済保険に加入している場合は、介護保険算定に譲渡所得は影響しませんので介護保険料が上がることはありません。
まとめ
・介護保険料は収入や所得によって決まる
介護保険料は収入や所得によって決まります。国民健康保険に加入している場合は、不動産売却の譲渡所得で介護保険が上がってしまう可能性が。社会保険や共済保険の場合は不動産売却による介護保険料への影響はありません。
・不動産売却で特別控除を適用できれば介護保険料に影響が出ることは少ない
税制では、一定の条件を満たす不動産売却で譲渡所得を控除する特別控除の適用を受けることができます。2018年の介護保険制度改正により、介護保険料に関しても特別控除適用後の所得額で算定できることになりました。特別控除の適用で所得税や住民税が上がらずにすんだ方は、介護保険料への影響もないでしょう。
・介護保険料算定に影響する不動産売却の特別控除
一番よくあるケースは、マイホームを売却した際の3,000万円の特別控除です。そのほか公共事業や街の開発、災害復興のために不動産を売却した場合などにも特別控除の適用があります。それぞれの条件を満たし、確定申告する必要があります。
・特別控除が適用外・譲渡所得がある場合は介護保険料が上がる可能性も
国民健康保険に加入しているケースで、特別控除が受けられない場合、または特別控除を受けても譲渡所得がある場合は、所得が増えることによって介護保険料が上がる可能性があります。介護保険料は自治体ごとに異なり、年度ごとに見直しがされています。
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著者
江別店 星 尊之不動産という高額なお客様の財産を査定し、販売する醍醐味に惹かれ、この業界に携わらせていただいております。 お客様満足を第一に考え、笑顔で一生懸命頑張ります。どうぞよろしくお願い致します。
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