ローンやお金のこと2022.06.17
不動産の取得費が不明な場合はどうする? 算出方法と注意点を紹介
こんにちは!
イエステーション北章宅建 石狩店の藤田です。
不動産の「取得費」とは、不動産を取得した際にかかった費用の合計のことです。
不動産売却による譲渡所得や譲渡所得税を計算する際には、不動産の取得費が必要となるのですが、「証明書類を紛失してしまって取得費がわからない!」というケースがあります。
そこで今回のコラムでは、不動産の取得費が不明な場合の対応について解説します。
不動産の取得費が不明な場合に利用する概算取得費の計算方法や、そのほかの情報を用いて取得費を推定する方法、確定申告に概算取得費を用いる際の注意点などをご紹介します。
不動産の取得費とは? どんな費用が該当する?
不動産の取得費とは、その不動産を取得する際にかかった費用の合計です。
建物や土地の購入費用はもちろん、不動産会社へ支払った仲介手数料、売買契約を結ぶ際の印紙代や登記手続きにかかる手数料なども含みます。
不動産を売却したときには、不動産を売却したときに発生する「譲渡所得」を確定申告しなければなりません。
取得費は、譲渡所得を計算するのに必要なのです。
譲渡所得は、取得費と譲渡費用を用いて以下のように計算します。
■譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
不動産の取得にかかる費用には以下のようなものがあります。
- 土地や建物の購入代金
- 建築費用
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登録免許税
- 司法書士費用
- 不動産取得税
- 既存建物の解体費用
- 土地の測量や造成費用
- 一定の借入金利息
建物は経年によって価値が下がるため、取得にかかった費用の合計から所有期間分の減価償却費を差し引いたものが取得費となります。
なお、法人として事業に使用した不動産や、法人・個人にかかわらず遺産相続の分割訴訟にかかった費用などは取得費にすることができませんので注意してください。
不動産の取得費が不明な場合の算出方法は?
親や祖父母から代々受け継がれてきた不動産の取得費は、不動産を取得したときの不動産売買契約書や各領収書などを元に算出しますが、もし、それらの証明書類を紛失してしまっていると、取得費を計算することができません。
そんな場合には「概算取得費」を使って、譲渡所得を計算することができます。
概算取得費は、一律で売却価格の5%です。
概算取得費を用いて譲渡所得を計算すると、以下のようになります。
■譲渡所得=売却価格-(売却価格×5%+譲渡費用)
概算取得費は原則として昭和27年12月31日以前から所有していた不動産について、適用されるものです。
ただし、実際の取得費が概算取得費よりも高いことを証明できる場合には、実際の金額を使用しても問題ありません。
また、昭和28年1月1日以降に取得し所有している不動産でも、譲渡所得の計算に概算取得費を用いても良いことになっています。
さらに、実際の取得費が分かっている場合でも概算取得費を利用できます。
そのため、実際の取得費よりも概算取得費の方が高いという場合には、概算取得費を用いることで譲渡所得を抑え、譲渡所得税の負担を減らすことができます。
なお、昭和28年1月1日以降に取得・所有している不動産の場合は、概算取得費以外にも国税庁が公表している「建物の標準的な建築価額表」や日本不動産研究所が公表している「市街地価格」などの情報を元に取得費を推定することができます。
不動産の概算取得費を利用する場合の注意点
不動産の取得費が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として譲渡所得の確定申告ができます。
ただし、実際の取得費よりも概算取得費の方が低かった場合、譲渡所得額が増え、譲渡所得税の負担が大きくなる可能性があるので注意しましょう。
代々受け継がれている建物のような古い不動産は、減価償却分で実取得費が減り、概算取得費で計算した方が税金が有利になる可能性が高いです。
しかし、新しい不動産の場合は証明書類を集めたり、または「建物の標準的な建築価額表」や「市街地価格」を用いて取得費を推定したりした方が節税できる可能性がありますよ。
また、不動産の実取得費が不明のために概算取得費で確定申告をしていたとしても、あとで書類が見つかったなど実取得費の証明ができる場合は、更生の請求が可能です。
ただし、概算取得費を使って計算をして納税したものの、「建物の標準的な建築価格表」や「市街地価格」で計算をした方が納税額が少なくなることが分かった場合は注意。
概算取得費による確定申告をした後に、「建物の標準的な建築価額表」や「市街地価格」を用いて更生の請求をすることはできません。
概算取得費を使う場合は、そのほかの計算方法も必ず確認するようにしましょう。
まとめ
・不動産の取得費とは? どんな費用が該当する?
不動産の取得費とは、その不動産を取得するためにかかった費用の合計で、不動産売却による譲渡所得、譲渡所得税を計算するのに必要です。土地や建物の購入代金のほか、仲介手数料や契約や登記手続きにかかった手数料、既存建物の解体費用、土地の測量や造成費用なども含みます。建物の場合は経年による価値の低下分として、減価償却費を差し引いた金額が取得費となります。
・不動産の取得費が不明な場合の算出方法は?
取得費は、契約書や領収書といった証明書類が残っていないと算出することができません。その場合は売却価格の5%を概算取得費として、譲渡所得の計算が可能です。
そのほか、昭和28年1月1日以降に取得した不動産では、「建物の標準的な建築価額表」や「市街地価格」などの情報を元に取得費を推定する方法もあります。
・不動産の概算取得費を利用する場合の注意点
新しい不動産の売却では、概算取得費は実取得費よりも安くなることが多く、その場合は譲渡所得税の負担が大きくなってしまうことに注意。概算取得費を用いて確定申告をした場合でも、あとから実際の取得費が判明して、概算取得費よりも高くなることが証明できるようなら、更生請求の手続きを行うと良いでしょう。
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