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引越しや住み替えのこと2022.08.30
家はどのタイミングで買うべき?購入前の注意点を解説〜その3
家を買うタイミングは人により異なりますが、多くの人は、結婚や出産など生活の大きな変化がきっかけになります。買い時が訪れた時に慌てないよう、前回の記事では、購入前に知っておきたい自己資金の注意点について解説しました。
最終回の今回は購入物件を見極めるためには、何に注意したら良いのかチェックポイントをわかりやすくお伝えします。
家を購入する前に確認すべき物件のチェックポイント
家を購入するタイミングや資金計画も大切ですが、物件自体もしっかりチェックする必要があります。具体的なチェックポイントを見ていきましょう。
ポイント1:災害リスク
日本は自然災害の多い国。100%安全な場所は存在しないものの、災害リスクが起こりやすい土地はあらかじめ避けるのが賢明です。どの地域にどの程度のリスクがあるかは、国土交通省や各自治体が作成・公表しているハザードマップで確認することができます。
国土交通省の「わがまちハザードマップ 」では、地区ごとに次のような情報が公開されています。
・洪水ハザードマップ……河川の氾濫時に想定される浸水域や浸水深、避難場所等を表示
・内水ハザードマップ……下水道等の排水能力を超えた大雨の際に想定される浸水域や浸水深を表示
・ため池ハザードマップ……池の決壊時に想定される浸水域や浸水深、避難場所等を表示
・高潮ハザードマップ……台風等の影響により、海水が堤防を越えて浸水が想定される地域と浸水深を表示
・津波ハザードマップ……津波が陸上に押し寄せた時の浸水域や浸水深を表示
・土砂災害ハザードマップ……土砂災害(急傾斜地の崩壊、土石流、地すべり)の発生危険地域を表示
・火山ハザードマップ……火山噴火により噴石、火砕流、融雪型火山泥流等の影響が及ぶ範囲を表示
・震度被害(ゆれやすさ)マップ……地震時の、震度等の揺れの大きさを表示
・地盤被害(液状化)マップ……地震時に発生する液状化被害の可能性を表示
ポイント2:周辺環境
周辺環境の善し悪しは、住み心地を大きく左右する要素です。
住み始めてから後悔しないよう、可能な限り直接現地に行って確認しましょう。時間帯や曜日によって雰囲気が変わることも少なくありません。休日の日中に見ただけでは気づかないこともあるため、できれば平日や夜間にも何度か周辺を歩くなどして、不安要素がないか確認しておくことをお勧めします。
生活に必要な施設が充実しているかどうかも、重要なチェックポイントです。近くにコンビニやスーパーなど買い物に便利な施設はあるか、銀行や役所、郵便局などの公共機関は近くにあるか、病院はどれくらいの距離にあるか確認しましょう。日常生活に不可欠な施設があるかどうかで、利便性は大きく変わります。
子どもがいる場合や、出産を控えた家庭であれば、子育てしやすい環境かどうかも見極める必要があります。保育所の待機児童の状況や通いやすい距離に小学校があるかどうか、通学路の安全性などについても確かめておきましょう。
騒音やにおいなど、地図だけでは分かりにくいものもあります。周辺に工場や娯楽施設があり、曜日や風向きによって音やにおいが気になることもあれば、最寄りのゴミ収集場所が正しく管理されていないといったケースも考えられます。こうしたことも、現地に出向くことである程度事前に把握できるはずです。
ポイント3:何年に建てられた家か
中古住宅は、建築された年によっては耐震基準を満たしていない可能性があります。現在の耐震基準は、過去の大震災を踏まえて震度6強から7程度の大きな地震が発生しても倒壊を免れるよう安全性を高めています。
耐震基準が施行された年度は、次の通りです。
・1981年 「新耐震設計基準」施行……すべての建物
・2000年 木造軸組構造の耐震基準が変更……木造の戸建てのみ
中古住宅を購入する場合は、これ以降に建築確認済証が交付された家を選ぶようにしましょう。もちろん、これ以前に建てられた家でも、現在の基準に沿った耐震補強工事が行われていれば問題はないでしょう。
ポイント4:建物の適法性
中古住宅で築年数がかなり経っている物件の場合、違法建築ではないかどうかをしっかり確認する必要があります。もし違法な建物であれば、資産価値は著しく低くなり、住宅ローンの審査を通過することや改築もできず、将来的に売却することも困難でしょう。
適法な建物は、敷地や土地が都市計画法や建築基準法に準じ、建築確認にしたがって適正に建築されたと検査を受けた建物です。適法な建物かどうかは、その建物に交付されている「建築確認済証」や「検査済証」で確認できます。
ポイント5:再建築が可能かどうか
中古戸建を探していると、相場よりも価格が安く設定されている「再建築不可」と表示された物件に出くわすことがあります。
お得さは魅力ですが、「再建築不可物件」は、一度解体して更地にしてしまうと二度とその土地に家を建てることはできない物件です。買った当初はまだ大丈夫でも、年数が経つと建て替えが必要な時期が必ずやってきます。建て替えも増改築もできないというデメリットを理解しておかなければなりません。
都市計画区域と準都市計画区域内では、建物を建てる場合、建築基準法上の道路に「敷地が2m以上接していること」を義務付けています。これを接道義務といい、この規定を満たしていない土地が「再建築不可物件」です。建築基準法制定以前に建てられた家は接道義務を満たしていなくても問題がないため、今もこうした物件が存在していますが、災害により倒壊したり解体してしまうと、新たに建てることはできないのです。
気になる物件が古くから建っている家の場合は、接している道路が建築基準法を満たしていない可能性もあります。自治体の役所にある建築関連の部署で、敷地の前面道路が建築基準法に合致し、接道要件を満たしているかどうかを確認する必要があります。
「旗竿地」「路地状敷地」と呼ばれる、細長い路地を通った奥にまとまった敷地がある土地の場合は、路地の幅が2メートル以上ないと再建築不可物件です。1カ所でも幅員が2メートル以下であれば家は建てられません(路地状部分の長さなどにより必要な幅は変わります)。旗竿地を購入予定であれば、必ず現地で路地部分の幅と長さを確認してください。
ポイント6:建物自体の状態
一般的に、家の購入時に最も重視するのは建物自体の善し悪しでしょう。特に中古物件の場合は購入後に後悔しないよう、間取りやデザインだけで判断せず、メンテナンス状態を入念にチェックしてください。
〈中古一戸建ての場合〉
リフォームすることを前提に購入するとしても、あまりにも状態が悪ければ大規模リフォームが必要となり、新築と変わらぬ費用がかかることもあります。特に構造自体の劣化には注意が必要です。以下のようなポイントをチェックするようにしましょう。
・基礎、外壁……5mm以上のヒビ割れや亀裂
・屋根……屋根材・雨樋の破損、塗装の剥がれ
・軒裏……雨の染み、ヒビ割れ・亀裂、塗装の剥がれ
・建具・窓・収納……扉や窓の建て付け、スムーズに開閉できるか。収納部分のカビ臭さ
・クロス・壁……ヒビ割れ、剥がれ、浮き、カビの有無
・キッチン下……下水臭、漏水
〈中古マンションの場合〉
「マンションは管理を買え」と言われるように、管理状態がマンションの寿命に大きく影響します。建物の状況のほかに、ゴミ置場など共用設備の清掃状況なども見ておきましょう。キレイに使われているかどうかで、住民の雰囲気などもある程度見えてくるはずです。
管理組合がきちんと機能しているか、運営状況のチェックも重要。建物の修繕を計画的に行っているマンションを選びましょう。
居住空間は、室内の汚れやカビを確認するほか、リフォームを考えている人は間取りや水回りの位置変更なども可能かどうか確認しておきましょう。構造躯体の安全性については、現行の新耐震基準が適用された1981年以降の施工で、検査済証を取得していればほぼ問題ないと考えられます。マンションの主なチェックポイントは、以下の通りです。
・エントランス・廊下・階段……清掃状況
・ゴミ置場……清掃状況
・自転車置き場……放置自転車はないか
・修繕計画のチェック……大規模修繕工事の履歴や、修繕積立金の滞納はないか
・マンション管理組合……運営状況はどうか(掲示板の貼り紙などを確認)
・管理人……人柄や責任感はどうか(できれば直接会って話してみる)
まとめ
家は非常に大きな買い物なだけに、いつが買い時なのか悩む人は少なくありません。ベストな時期は一概に言えませんが、ライフステージが変化する節目で、将来設計に合わせて選択すると良いでしょう。
大切なのは買うタイミングだけではありません。購入前には資金の準備に留意し、災害リスクが少なく、かつ周辺環境が良好な場所を選びましょう。当然ながら、建物そのものの状況もしっかり確認する必要があります。特に中古物件を購入する場合は、新築以上に慎重にチェックし、納得のいく家を手に入れてください。