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不動産に関する手続き2023.09.08
一般媒介契約の明示型と非明示型の違いは?選ぶポイントも紹介
こんにちは。イエステーション北章宅建 江別店の寺杣です。
「一般媒介契約を結ぶなら、明示型と非明示型のどちらが良いのだろうか」
不動産売却で媒介(仲介)契約を結ぶ際、そんな疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
明示型とは「ほかの不動産会社と仲介契約を結んでいるかどうか」を不動産会社に通知する義務がある契約で、非明示型は通知がいらない契約形態です。
また「そもそも一般媒介契約って何?」と定義が曖昧な方もいるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、一般媒介契約の明示型・非明示型の違いについて解説します。
一般媒介契約の特徴やメリット・デメリットもあわせてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
一般媒介契約とは?明示型と非明示型の違い
不動産売却をする際は、不動産会社と「媒介(仲介)契約」を結んで買い手を探してもらうのが一般的。
一般媒介契約とは、3つある媒介契約の種類の一つです。
一般媒介契約は明示型・非明示型の2つに分類される
一般媒介契約の特徴には、ほかの2つの媒介契約である「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」と異なり、「複数の不動産会社に同時依頼が可能」という点が挙げられます。
そして、「他社に依頼しているかどうか」を知らせる必要があるかどうかで、さらに「明示型」と「非明示型」の2種類に分類されます。
明示型では、新たな不動産会社と契約するたびに、契約中、あるいは新規に契約することとなった「不動産業者の名称や所在地」の通知義務を負います。
非明示型では、ほかのどの会社と契約中か明示する必要はありません。
国土交通省が定める「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」では、明示型の契約となっているので、非明示型の場合は、別途特約を定めます。
通知義務以外には明示型・非明示型で異なる特徴はない
一般媒介契約の特徴には「複数社と同時契約できる」という点以外に、次のような特徴もあります。
しかし、通知義務以外には、分類の別で異なるものはありません。
【一般媒介契約の主な特徴】
- 自己発見取引が可能である
- 契約途中でも解約できる
- 指定流通機構「レインズ(REINS)」への登録義務がない
- 売却活動の報告義務がない
まず一般媒介契約では、自己発見取引が可能で、売り主が自分で買い主を探して売買契約を結べます。
そして、契約途中であっても、違約金なしに中途解約が可能です。
ただし、売り主のほうから特別に広告を依頼するなどした場合は、実費を請求されるケースもあります。
また、契約で別途定めることは可能ですが、不動産会社の義務として、レインズへの登録、売り主への売却活動の報告は定められていません。
非明示型であっても、価格変更・成約時には速やかな通知が必要である
明示型・非明示型のどちらであっても、一般媒介契約で複数社と契約を結んだ場合、価格を変更した場合や成約時には速やかに、各社へ「売却物件が売れた」旨を報告する必要があります。
なぜなら、一般媒介契約はレインズへの登録義務がないので、売り主からの通知以外にそれらの事実を知るすべがなく、売却活動が継続されてしまうからです。
「変更前の価格を検討者に伝えてしまった」「すでに売れているのに購入希望者に紹介してしまった」といったトラブルを招く恐れがあるので、契約が成立したら速やかにその旨を知らせましょう。
一般媒介契約の明示型と非明示型はどちらを選ぶべき?
一般媒介契約の明示型と非明示型を比べるなら、明示型での契約をおすすめします。
明示型は他社との媒介契約について通知する手間はかかりますが、非明示型を選ぶよりも、不動産売却に良い効果を与えやすいからです。
具体的に明示型と非明示型のメリット・デメリットを挙げて、明示型をおすすめする理由を解説していきましょう。
明示型のメリット・デメリット
明示型には、次のメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 各社の間で成約に向けて競争が起こり、活発な販売活動が期待できる
- 不動産会社と信頼関係が築きやすい
【デメリット】
- 他社と結んだ媒介契約について通知する手間がある
- 通知を怠ると、費用を請求される恐れがある
「ほかのどの不動産会社と契約している」という情報があるので、人気物件であれば特に、いち早く営業に動き、他社に先行したいという気持ちが大きくなりやすいです。
デメリットとして注意したいのが、通知義務を果たさなかった場合のペナルティです。
他社との契約を知らせないまま成約してしまうと、それまでの媒介契約の履行にかかった費用の支払いを求められる場合があります。
非明示型のメリット・デメリット
非明示型には、次のメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 他社とも媒介契約を結んだ旨を通知する手間がかからない
【デメリット】
- 不動産会社と信頼関係が築きにくい
- 各社間で競争が起こりにくく、消極的な販売活動になる可能性がある
情報が開示されないと、信頼してもらえていないと感じる不動産会社も多いでしょう。
信頼関係が築きにくく、販売活動に積極的になってもらえないといった状況になる可能性もあります。
どの程度の同業者が動いているのか、手探り状態となるので、不動産会社にとってストレスになりやすい点もデメリットといえるでしょう。
一般媒介契約のメリットとデメリットも確認
最後に、1社に販売活動を専任する媒介契約(専属専任媒介契約や専任媒介契約)と比べた場合の、一般媒介契約のメリット・デメリットも確認しておきましょう。
まずメリットとしては、次のものがあります。
- 自己発見取引や中途解約をしても違約金が発生しない
- 不動産会社をじっくり選べる
- 販売活動に競争が生まれて、人気物件は特に高値で売れる可能性がある
- 「囲い込み」のリスクがない
囲い込みとは、不動産会社が「両手取引」で得られる仲介手数料を優先して、売却物件の情報を意図的に他社に紹介しないことです。
両手取引とは、売り主と買い主両方と成約する取引をいいます。
一般媒介では、契約相手を1社に絞る必要がないので、囲い込みや業者選びの失敗のリスクが少ないといえるでしょう。
続いて、デメリットは次のとおりです。
- 不動産会社からの販売報告がないので、売り主が積極的に動く必要がある
- 売れにくい物件だと、販売活動が消極的になる可能性がある
- 専任ではないので、不動産会社の手厚いサービスが受けづらい
「不動産会社にいちいち販売状況を確認する時間がない」という場合は、やり取りを面倒に感じるかもしれません。
ある程度の不動産取引の知識がある方に向いています。
物件の条件や売り主の状況によって最適な媒介契約は異なるので、特徴を比較して検討しましょう。
専任の媒介契約について詳しく知りたい方は「不動産売却の媒介契約は専任媒介契約?一般媒介契約?違いや選び方とは」で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
●一般媒介契約は「明示型」と「非明示型」の2種類
一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時依頼が可能であり、依頼の旨を他社に伝えるかどうかで「明示型」と「非明示型」に分かれます。明示型では、不動産業者の名称と所在地の通知義務を負います。
●一般媒介契約を結ぶなら「明示型」がおすすめ
明示型は、他社へ通知する手間はかかりますが、情報を共有することで不動産会社との信頼関係が築きやすく、各社間で競争も起こりやすいので、積極的かつ活発な販売活動が期待できます。
●一般媒介契約と専任の媒介契約の特徴を比較して契約しよう
一般媒介契約は、任せる業者を絞り切れない場合や、買い手の需要が高い物件を売る場合におすすめです。物件の条件や自分の状況を考慮して、最適な媒介契約を検討しましょう。
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