不動産に関する手続き2023.07.20

外国人との不動産売買契約に必要な手続きと注意点とは〜その3

日本では、外国籍の方にも不動産を売却でき、実際に購入する外国人も少なくありません。今回は、マンションを外国人に売却する時の注意点に焦点を当てて解説します。

外国人にマンションを売却するとき注意すべきこと

不動産の中でも海外とは大きく異なるのが、マンションに居住する上でさまざまなルールがあること。入居後のトラブルを防ぐためにも、売主は責任を持って十分な説明を行う必要があります。特に説明が必要なポイントについて見ていきましょう。

管理費・修繕積立金について理解してもらう

日本のマンションは、管理規約で管理費・修繕積立金や駐車場使用料などの徴収方法が定められていますが、海外ではこうした制度自体がないケースもあります。こちらでは「知っていて当たり前」のことでも、国が違えば「当たり前」ではありません。マンションを購入すると、入居後にどのような費用がいくらかかるのかなどを、事前に説明をして理解を得る必要があります。また、将来的に金額が改定される可能性があることについても、伝えておきましょう。
こうした費用の徴収方法は、口座振替であることがほとんどです。買主が海外に居住しているなど、日本の金融機関の口座を保有していない場合は、海外口座からの送金や、賃貸管理業者を通じて支払うなど、別の方法を検討する必要があります。

海外口座からの送金で支払う場合は、送金手数料の負担を軽減するため、人によっては数ヵ月〜数年分などを一括で支払いたいと希望するケースがあります。もしそのような希望が出てきた場合は、管理費・修繕積立金等が変動した時にどのように取り扱うかも、事前に決めておくべきでしょう。但し、このあたりは一般的に仲介に入る不動産会社が買主と相談する内容になります。売主側で心配な場合は不動産会社に確認しましょう。

分譲マンションのルールを理解してもらう

一つの建物で大勢の人が暮らす分譲マンションは、みんなが快適に暮らせるよう一定のルールが設けられています。ルールの周知や理解が不十分なために、トラブルが発生することがあるので気をつけなければいけません。また、海外では「専有部分」と「共用部分」という考え方がないことがあるため、認識の違いによるトラブルもあります。

外国人居住者とのトラブルで多いものには、「ペット」「リフォーム」「住居以外での使用」が挙げられます。このうち、専有部分のリフォームや修繕については、一般的には事前に管理組合に届出を行う・許可を得ることが必要で、玄関扉など共用部分は勝手にリフォームすることはできません。しかし実際には、理解不足により所有者単独でリフォームしてしまい、トラブルになるケースが見られます。

また、管理規約や使用細則で「専有部分は住居以外に使用することはできない」と定めている場合は、所有者であっても別の用途で使用することは許されません。事務所や倉庫、民泊としては使用できないことを、あらかじめしっかり説明し、理解してもらう必要があります。その他に定められているルールや、日本のマンション特有のルール・マナーについても同様です。

まとめ

外国人に不動産を売却する場合でも、基本的な手続きの流れは日本人が相手のときと同じです。ただし、在留資格の有無によって、所有権移転登記に必要な書類が変わってきますので注意が必要です。

所有権移転登記の手続きには、買主の住民票と印鑑登録証明書が必要ですが、外国人でこれらの書類を用意できるのは、以下の条件に該当する人だけです。
・中長期在留者
・特別永住者
・一時庇護許可者または仮滞在許可者
・出生による経過滞在者または国籍喪失による経過滞在者
住民票が用意できない外国人は、自国の公証人の認証を受けた宣誓供述書などの代替書類を用意する必要があります。

また、住宅ローンが利用できるのは基本的に永住権を持っている外国人に限られます。資金調達の方法について、商談の最初の段階で確認しておくことをおすすめします。

日本と海外では商習慣やマナーが異なることがあります。特にマンション特有の居住ルールや生活習慣の違いには注意が必要です。手順やルールを説明し、認識にずれや誤解がないよう、事前にしっかり説明した上で商談を進めることが重要です。

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著者
外国人との不動産売買契約に必要な手続きと注意点とは〜その3

札幌手稲店 野口 祥子

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