不動産に関する手続き2023.07.20

外国人との不動産売買契約に必要な手続きと注意点とは〜その1

日本では、外国籍の方にも不動産を売却でき、実際に購入する外国人も少なくありません。今回は、外国人に不動産を売却する時の注意点について、3回にわたり解説していきます。

外国人が日本で不動産を購入する際に必要な手続きとは

日本では、不動産の所有者を正式に示すための不動産登記制度があり、不動産売買があった時には、所有権移転登記を行います。

その際は、買主が日本人か否かに関わらず、基本的に「司法書士への委任状」「住民票」「印鑑登録証明書」などの書類が必要です。司法書士への委任状は本人確認書類などがあれば作成できますが、在留資格がない外国人の場合は、住民票・印鑑登録証明書を取得できないケースがあります。

手続きが複雑になる、必要書類を取得するために時間や手間がかかるといった可能性があるため、外国人に不動産を売却する場合は、商談の早い段階で必要書類の確認や準備を進めていくようにしましょう。実際にどのような手続きを行うのか、具体的に解説していきます。

契約書の内容を理解できないと契約は成立しない

買主が外国人であっても、日本国内で不動産売買契約を行う場合は、契約書も重要事項説明書もすべて日本語で作成されたもので行われます。

そのため、日本語がまったく分からない買主との契約は成立しません。日本語が理解できない場合は、原則として買主側で通訳を手配してもらい、不動産業者は日本語で重要事項説明を行うこととされています。

通訳には、買主の母国語に翻訳し、その言語で説明することや、買主の国の不動産法制度との違いを意識して説明してもらうよう促し、買主に十分理解してもらうことが重要です。

また、万が一のトラブルに備えて、契約に際しては契約上の専属的合意管轄裁判所を日本の裁判所とするのがベターです。

住民票・印鑑登録証明書の手続きができる外国人

外国人で住民票・印鑑登録証明書を取得することができるのは、市区町村に住所があり、以下に該当する方です。

●中長期在留者(在留カード交付対象者)
3ヵ月を超える在留期間が決定された方(ただし短期滞在・外交・公用の在留資格の方を除く)

●特別永住者
特別永住者証明書の交付申請を行い、法務大臣から許可を得た方

●一時庇護許可者または仮滞在許可者
一定の要件を満たし、一時庇護許可書または仮滞在許可書が交付された方

●出生による経過滞在者または国籍喪失による経過滞在者
出生または日本国籍の喪失により、日本に在留することとなった外国人の方

上記に該当する人は、市区町村の窓口で手続きをすれば住民票を取得できます。また、印鑑登録をすれば、印鑑登録証明書も取得できます。印鑑登録には実印が必要なため、持っていない人は手続き前に作成しておきましょう。

住民票・印鑑登録証明書の手続きができない外国人

日本で許可されている在留期間が3ヵ月未満の方、海外在住の外国人は、先の条件に該当しないため、住民票・印鑑登録証明書を取得することができません。そのため、代替書類で手続きを進めます。

【住民票に代わる書類】
最も一般的な代替書類が、宣誓供述書です。宣誓供述書とは、本人の住所や氏名などの情報を記載し、内容が事実であることをその国の公証人や大使館に認証を得た書類です。
国や地域によっては、日本と同様の住民登録の制度を有している場合や、戸籍が住所を証明する書面を兼ねている場合もあり、各国の公的な住民登録証明書等を利用できるケースもあります。

【印鑑証明書に代わる書類】
印鑑証明書を発行している国や地域(台湾、韓国など)であれば、自国の印鑑証明書を利用することができます。自国に印鑑証明書制度がない場合は、当該国の在日大使館で署名(サイン)証明書を発行してもらうことで、印鑑証明書に代えることができます。

次回は、外国人に不動産を売却する時の注意点について解説します。

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著者
外国人との不動産売買契約に必要な手続きと注意点とは〜その1

札幌手稲店 野口 祥子

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