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不動産に関する手続き2025.05.08
専任媒介契約は途中解除できる?手続き方法と違約金の有無を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 石狩店の古木です。
不動産を売却するために専任媒介契約を結んだものの、「ほかの不動産会社に依頼したい」といった理由から、契約を解除したいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
このような場合、専任媒介契約は途中で解除できるのか、また違約金はかかるのかといった疑問をお持ちではないでしょうか。
今回のコラムでは、専任媒介契約の解除が可能なケースや、実際の手続き方法・流れを解説。
そして、契約解除前に知っておきたいポイントについてご紹介します。
専任媒介契約を解除したい。解除は可能?
専任媒介契約は、契約期間中であっても解除することが可能です。
ただし、解除理由によっては、違約金が発生する場合があります。
また、専任媒介契約を続けているものの、なかなか買い手が見つからず解除を検討しているという場合は、売れない原因や改善策を把握しておくことも有効です。
よくある原因と対策は、「専任媒介契約で不動産が売れない理由は?対策も解説」で紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
では、違約金が発生するケースと発生しないケースについて、それぞれ見ていきましょう。
違約金が発生するケース
次のようなケースでは、売り主側に契約違反があると判断され、違約金を請求される可能性があります。
- 売り主の都合による一方的な解約である
- 契約期間中に、ほかの不動産会社と重ねて媒介契約を結んだ(重複契約)
- 自己発見取引(自分で買い手を見つけた取引)をしたにもかかわらず、不動産会社に報告しなかった
このように、売り主側の都合や判断によって契約を破棄したり、複数社と同時に契約を結んだりした場合には、違約金が発生することがあります。
違約金が発生する場合、その金額の上限は法律で定められた「仲介手数料の上限額」と同じです。
例えば、1,800万円の物件を売却する場合、仲介手数料の上限は60万円となり、これに消費税(10%)を加えると、合計66万円(税込)となります。
違約金も、原則としては仲介手数料の上限額(この例では66万円)と同額が上限となりますが、実際の請求額は契約内容や不動産会社の対応状況、支出された費用などによっても異なります。
事前に契約書を確認し、不明点があれば不動産会社に問い合わせることをおすすめします。
仲介手数料の計算については、「家の売却でかかる手数料や諸費用を詳しく解説」で詳しく解説しています。
違約金が発生しないケース
一方で、不動産会社側に明らかな落ち度があるときには、売り主が契約を解除しても違約金は発生しません。
例えば、以下のような場合です。
- 2週間に1回以上の業務報告義務を怠っている
- 契約後7営業日以内にレインズ(REINS)へ登録していない
- チラシやインターネット広告など、積極的な販売活動を行なっていない
- ほかの会社への紹介を妨げる「囲い込み(他社の買い主を紹介せず、自社で契約を独占しようとする行為))」をしている
このような業務怠慢や不当な行為があった場合は、契約違反の責任は不動産会社側にあるとされ、売り主が違約金を支払う必要はありません。
専任媒介契約以外にも選択肢がある
媒介契約には「専任媒介契約」のほかにも、より自由度の高い「一般媒介契約」や、自己発見取引ができない「専属専任媒介契約」があります。
契約形態によって制限や義務が異なるため、自分に合った形で契約を見直すことも選択肢の一つです。
媒介契約の種類や選び方については、「不動産売却の媒介契約は専任媒介契約?一般媒介契約?違いや選び方とは」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
専任媒介契約を解除する一般的な流れ
専任媒介契約は、基本的には「契約を解除したい」と不動産会社に伝えることで解除することができます。
法的には、電話やメールなどによる口頭連絡でも手続きは可能です。
ただし、後々の行き違いやトラブルを防ぐためには、解除の意思を書面で通知するのが望ましいでしょう。
以下は、一般的な解除の流れです。
1. 不動産会社に解除の意思を伝える
まずは、不動産会社に対して「契約を解除したい」という意思を伝えましょう。
電話や対面での伝達でも差し支えありませんが、証拠を残すという意味では、文書やメールでのやりとりがおすすめです。
2. 必要に応じて猶予期間を設ける
契約解除にあたっては、必ずしも猶予期間を設けなければならないわけではありません。
ただし、トラブルを避けてできる限り円満に手続きを進めたい場合は、「〇日以内に対応や改善が見られなければ契約を解除する」といった形で、目安として3〜7日程度の猶予期間を設けるケースもあります。
なお、万が一、不動産会社側の対応に明らかな行き違いや不足(報告義務を果たしていない、所定の期間内にレインズ未登録など)がある場合は、猶予を設けず即時に解除することも可能です。
3. 契約解除通知書を作成・送付する
契約解除を正式に行うには、「契約解除通知書」として、解除の意思を記した書面を作成・送付するのが安心です。
インターネット上には無料のテンプレートも多数公開されており、活用すれば作成は難しくありません。
基本的には、以下のような内容を明記すると良いでしょう。
- 通知書の作成年月日
- 不動産会社の名称と代表者名
- ご自身の氏名・住所
- 文書タイトル(例:「専任媒介契約解除通知書」)
- 契約解除の意思と理由(任意)
- 専任媒介契約を結んだ日付と契約内容の概要
通知書は普通郵便でも問題ありませんが、やりとりの記録をしっかり残しておきたい場合は、内容証明郵便のご利用も一つの方法です。
特に、行き違いが起きそうな場合や、手続きに不安があるときには、検討してみると良いでしょう。
このように、専任媒介契約の解除は特別な手続きを必要とするものではなく、基本的にはご本人の意思表示と書面通知での連絡で完了します。
ただし、解除に至るまでの背景や状況によっては、お互いにとって思わぬ誤解につながることもあるため、できる限り丁寧に、確認しながら進めていくことが大切です。
専任媒介契約を解除する前に。知っておきたいポイント
専任媒介契約は途中で解除することも可能ですが、勢いで進めてしまうと、思わぬトラブルや損失につながることもあります。
後悔のない判断をするために、解除前にぜひ確認しておきたい3つのポイントをご紹介します。
1. 基本的には契約満了を待つのが一番トラブルがない
専任媒介契約には、最長3カ月の契約期間が設けられており、期間満了後に更新しなければ自動的に終了します。
契約の途中で急いで解除するよりも、満了を待って契約を自然に終えるほうが、トラブルが生じにくく安心です。
例えば、「まだ契約から日が浅い」「広告や内見など、一定の販売活動は行われているが成果が出ていないだけ」などの場合は、すぐに契約を打ち切るよりも、しばらく様子を見るほうが良いこともあります。
また、売却を急いでいない方にとっては、違約金のリスクや不動産会社との関係悪化を避けるという意味でも、契約期間の満了まで待つ選択肢には大きなメリットがあるといえるでしょう。
2. ほかの不動産会社に相談してみる
いきなり契約を解除するのではなく、ほかの不動産会社に相談してみるのもひとつの方法です。
第三者の視点から見ても問題があると判断されれば、契約解除への納得感が得られますし、仮に問題がなかった場合でも、現状の改善点が見つかるかもしれません。
3. 解除時に費用を請求される可能性があることを理解しておく
専任媒介契約を途中で解除すると、不動産会社から広告費や写真撮影代などの実費分を請求されるケースがあります。
これは一律ではなく、契約時の取り決めや実際にかかった費用の有無によって異なります。
そのため、解除を申し出る前に、「費用が発生するかどうか」を確認しておくことが大切です。
特に、請求を受けた場合は、費用の内訳や内容の根拠を明確にしてもらいましょう。
不当に高額な請求であった場合や、契約書に記載のない費用が含まれている場合には、その場ですぐに支払わず、宅地建物取引業協会や消費生活センターなどの相談窓口に確認することをおすすめします。
なお、専任媒介契約の解除だけでなく、すでに売買契約を締結した後でのキャンセルを検討している場合には、「不動産売却契約後のキャンセルは可能?違約金の有無などを解説」で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
まとめ
●専任媒介契約を解除したい場合は、契約期間中であっても可能
専任媒介契約は、契約期間の途中であっても解除することができます。
不動産会社に明らかな契約違反がある場合は違約金なしで解除でき、売り主側の都合で解除する場合には、違約金が発生する可能性があります。
まずは、契約内容や解除の条件を冷静に確認しましょう。
●専任媒介契約の解除の手続きは、段階を踏んで丁寧に行うことが大切
契約解除の手続きの基本的な流れは、「意思表示→(必要に応じて)猶予期間の設定→書面での通知」です。
書面でやり取りを残すことで、後々の行き違いやトラブルを防ぐことができます。
●専任媒介契約の解除前に、ほかの選択肢を検討してみる
契約満了を待つ、ほかの不動産会社に相談してみるなど、違約金のリスクを避けながら売却活動を見直す方法もあります。
現在の状況を整理し、焦らず慎重な判断を心がけましょう。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者

石狩店 古木 篤広過去の経験や知識を活かして、お客様のお悩みや不安を解消する、最善と思われるご提案をさせていただきます。 お住替えや不動産売却などのお取引を通じて皆様のお役に立てるよう頑張ります。 不動産に関するご相談お待ちしております。
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