不動産売却のコツ2021.07.23

3つの媒介契約「一般・専任・専属専任」の違いを徹底解説〜その2

媒介契約とは、不動産の売却を依頼するために、不動産会社と締結する契約です。「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類の契約形態があります。

契約内容はそれぞれ異なるため、自分の不動産を売却するには、どの契約が適しているかを考えて選択しましょう。

前回は一般媒介契約の特徴を解説しました。今回は、専任媒介契約と専属専任媒介契約、それぞれの特徴を紹介します。

専任媒介契約とは

専任媒介契約は、不動産会社1社にのみに売却活動を依頼する媒介契約です。

一般的な契約期間は3カ月で、その間は他の不動産会社と媒介契約を結ぶことはできません。また、自分の都合で専任媒介契約を解除する場合は、契約内容次第で広告費や違約金を請求されることがあります。

特徴には次のような点が挙げられます。

・不動産会社には、1週間以内にレインズに物件情報を掲載する義務がある
・2週間に1回以上、売主へ販売状況を報告する義務がある
・不動産会社1社のみに売却活動を依頼する媒介契約
・自分で買主を探して取引することも可能

売主が自分で取引相手を見つけてこない限り、依頼を受けた不動産会社は、その物件が売却できれば売上が上がります。営業努力が無駄になるリスクが低い分、積極的な売却活動を行ってくれることが期待できるのです。

不動産会社に売却を依頼する時には、一般的には専任媒介契約を選択する売主が多い傾向があります。

専任媒介契約のメリット

売却活動を1社に任せる契約なので、積極的な販売活動を行ってもらいやすい点です。そのため、確実に物件を売りたい時に適しています。

専任媒介契約の物件が自社で売れれば、不動産会社は確実に売上を確保できるため、専任媒介契約を勧めてくるケースが多いです。

仲介手数料の上限は、法律で決まっています。
売却価格が400万円以上の場合は、「売却価格の3%+6万円」が仲介手数料の上限です。自社で買主を見つけた場合は、売主と買主の両方から仲介手数料が入るため、例えば4000万円で物件を売却すれば、売主と買主の両方から126万円ずつ、合計252万円の仲介手数料を手に入れられることになります。

それだけの利益を得られるなら、売却活動に熱が入るというもの。不動産情報サイトへの物件掲載、内見の手伝いやオープンルーム、オープンハウスの実施、チラシの掲載など、広告宣伝費をかけた売却活動が期待できます。

中古戸建てのように売れにくい物件でも、専任媒介契約なら、不動産会社からのフォローが手厚く、売却活動を熱心に行ってくれるはずです。

専任媒介契約のデメリット

先に挙げたようなメリットは、逆に作用する場合もあり得ます。
自社の利益を確保しやすい契約のため、中には売主が期待するほど積極的に売却活動を行ってくれないというケースです。

また、自社で買主を見つけると、売主と買主の両方から仲介手数料が入るため、この「両手取り」を狙って「囲い込み」が行われてしまう可能性もあります。

囲い込みは、他社から物件に対する問い合わせがあっても、意図的に「商談中」「もう売れてしまいました」などと虚偽の報告をして、他社で契約させないようにすることです。

自社で買主を見つけるために、物件情報を広く流通させず、それによって売却が遅くなるということもありますので注意が必要です。

専属専任媒介契約とは

専属専任媒介契約は、物件の売却を完全に1社の不動産会社に一任する契約です。専任媒介契約と異なるのは、専属専任媒介契約では、売主が自分で買主を見つけて取引することができない、という点です。

売主が自分で買主を見つけてきての直取引は「不可」という決まりのため、もし直接取引してしまうと違約金が発生する可能性があるだけでなく、売却活動にかかった広告宣伝費などの費用も請求される、と思ったほうがいいでしょう。

こちらも契約期間は一般的に3カ月とされ、期間内の解約には何らかのペナルティが課されるケースもあります。

専属専任媒介契約の特徴を整理してみます。

・不動産会社1社にのみ売却活動を依頼できる
・売主自身で購入希望者を探せない
・不動産会社は、媒介契約を結んでから5日以内にレインズに物件情報を掲載する義務がある
・1週間に1回以上という高い頻度で、売主へ販売状況を報告する義務がある

専属専任媒介契約のメリットとデメリット

専属専任媒介契約は、専任媒介契約よりも売主に大きな制限がかかる契約形態です。

売主が自分で買主を見つける可能性がない場合や、売れにくい物件を早く確実に売却したい時には、専属専任媒介契約が向いていると言えます。

レインズに早く登録され、売主へ頻繁に販売状況の報告が義務付けられているため、不動産会社も力を入れて売却活動を行ってくれます。

ただし、他社との競争がない分、不動産会社が油断しないようこまめに売却活動の報告を入れるよう促しましょう。1社のみに任せるため、不動産会社の力量に左右されやすい点にも注意して、依頼する会社をしっかり見極めてください。

自分に合った媒介契約を選ぶことが大切

3つの媒介契約には、それぞれ一長一短があります。

簡単にまとめると、一般媒介契約は都市部のマンションなどの人気物件を、早く売りたい時に向いています。

専任媒介契約と専属専任媒介契約は、一般媒介契約に比べて各種制約があるものの、時間をかけてでも、中古戸建てなどの売れにくい物件を確実に売却したい時に適しています。

どの媒介契約を選ぶかは、売りたい物件に応じて検討するのがポイントです。売却活動をスムーズに進めるために、媒介契約それぞれの違いをしっかり理解して適切な選択をしましょう。

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