不動産管理コラム
不動産管理のこと2026.02.26
アパートの雨漏り、大家がすぐ取るべき対応と責任範囲を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の小幡です。
「入居者から雨漏りの連絡が来たけど、まず何を確認すればいいのだろう」
「修理費用は大家がすべて負担することになるのだろうか」
そんな不安や疑問をお持ちではありませんか?
アパートの雨漏りは、対応が遅れるほど被害が広がりやすく、入居者との関係悪化や想定外の修繕費用につながることもあります。
しかし、初動で確認すべきポイントを押さえ、不動産会社や管理会社と適切に連携すれば、トラブルの拡大は防ぐことが十分可能です。
今回は、雨漏り発生時に大家が最初に取るべき対応から、責任範囲や修理費用の考え方、トラブルを防ぐための対策まで詳しく解説していきます。

アパートで雨漏りが発生した際に大家が最初に取るべき対応とは?
アパートで雨漏りが発生した場合、最も重要なのは原因を推測する前に、被害状況を正確に把握することです。
初動で確認すべき情報を整理しておくことで、修繕業者への依頼や入居者への説明がスムーズになり、不要なトラブルの拡大を防ぐことにつながります。
大家としてまず取るべき具体的な対応を見ていきましょう。
①被害状況・発生箇所・発生タイミングを正確に把握する
入居者から雨漏りの連絡を受けた際、まず行うべきなのは状況の聞き取りです。
感覚的な情報ではなく、客観的な事実を集めることが重要になります。
確認しておきたい主な内容は次の通りです。
- 水が漏れている場所(天井・壁・窓枠・サッシ周辺など)
- 雨漏りが発生した時間帯と継続時間
- 小雨でも発生するのか、強風や大雨のときだけなのか
- 水の量や広がっている範囲
- 家具・家電・床材などの家財被害の有無
- 以前から天井や壁に染みがあったかどうか
例えば、「風が強い雨の日だけ窓付近から水が垂れる」という情報であれば、外壁やサッシ周辺の劣化が疑われます。
一方で、「以前から天井に薄い染みがあった」という場合は、屋根材や防水層の経年劣化が原因である可能性が高くなります。
このような具体的な情報が揃っていると、業者による現地調査の精度が上がり、不要な追加工事や見当違いの修理を防ぎやすくなります。
②応急処置の指示と写真・動画での記録を依頼する
電話やメッセージだけでは被害の規模を正確に把握することが難しいため、入居者には写真や動画の撮影を依頼しましょう。
画像記録は、原因調査・修繕内容の検討・後日の説明資料として有効に活用できます。
以下のような内容を記録できると、状況が把握しやすくなります。
- 水滴が落ちている箇所や染みの全体像
- バケツなどに溜まった水の量
- 被害を受けた家具や床の状態
- 部屋全体がわかる引きの写真
同時に、業者が到着するまでの応急処置として以下のような対応を依頼し、被害拡大を抑えましょう。
- 雨漏り箇所の真下に容器を置き、水を受ける
- 濡れると困る家財を安全な場所へ移動させる
- 床面の水分を拭き取り、滑りや転倒を防ぐ
ここで重要なのは、入居者に修理をさせないことです。
あくまで「被害拡大を防ぐ範囲の対応」に留めてもらうよう伝えることが、後のトラブル回避につながります。
③放置・先延ばしは避け、不動産会社・管理会社へ早めに相談する
雨漏りの連絡を受けたら、「次の雨まで様子を見よう」「忙しいから後で対応しよう」と先延ばしにするのは、トラブルを大きくするおそれがあるため避けるべきです。
なぜなら、雨漏りを放置すると下記のようなリスクが発生するからです。
- 天井や壁の内部にカビが発生し、建物の劣化が進む
- 木材が腐食して建物の強度が低下する
- 入居者の家財に被害が及び、賠償問題に発展する可能性がある
- 入居者の不信感が募り、退去や評判悪化の原因になる
また、雨漏りは一度発生すると繰り返すことが多く、早期対応が結果的に修繕コストを抑えることにもつながります。
特に下記のような状況では緊急性が高く、早急な現地確認と業者手配が必要になります。
- 水の量が多く、室内に広範囲で漏れている
- 天井が膨らんでいる、壁紙が浮いている
- コンセントや照明器具の近くで漏水している
- 複数の部屋で同時に発生している
物件管理を不動産会社や管理会社に委託している場合は、状況を共有した上で、入居者対応や業者手配などの実務を任せるほうが効率的です。
自己管理の物件であっても、信頼できる修繕業者や地域の不動産会社へ相談することで、原因調査から修理手配までの流れを円滑に進められます。
実際に北章宅建が管理中のアパートで雨漏りが起こった際も、借主様からご連絡を受けてすぐに専門業者を手配し、早急に対応いたしました。
余市の賃貸アパートで雨漏りが発生。原因特定後、屋根の葺替工事をしました。
アパートの雨漏りは大家の責任?修理費用・補償の考え方
雨漏りの修理費用は原則として大家が負担するケースが一般的です。
雨漏りは原則として大家負担になる理由
雨漏りが原則大家負担となる理由は、賃貸物件の貸主である大家には「賃貸物の使用および収益に必要な修繕を行う義務」が定められているためです(民法第606条)。
つまり、入居者が安全かつ通常どおり生活できる状態を維持するために必要な修繕は、原則として貸主である大家が行うことになります。
雨漏りの原因として多いのは、次のような建物側の劣化や自然要因です。
- 屋根材の割れやズレ、防水シートの劣化
- 外壁のひび割れや継ぎ目部分のシーリング材の劣化
- ベランダやバルコニーの防水層の摩耗
- 雨樋の詰まりや破損
- 窓枠やサッシ周辺の隙間の拡大
このような建物の劣化や自然要因は、通常の居住行為とは無関係に発生するため、入居者の責任と判断されることはほとんどありません。
例外となるケースの判断ポイント
ただし、次のような入居者の行為が原因と判断される場合は例外になることがあります。
- 雨天時に窓を長時間開けたまま外出し、室内が水浸しになった
- ベランダの排水口を長期間清掃せず、落ち葉やゴミの詰まりによって水が室内へ逆流した
- 入居者が設置した設備や物品が原因で漏水が発生した
排水口の清掃義務などについては、賃貸借契約書に具体的な記載があるかどうかが判断材料になり、契約内容に明示されていない場合、入居者負担と断定することは難しい場合もあります。
また、「軽微な修繕は入居者負担」といった特約が契約書に記載されている場合でも、雨漏りのように建物構造に関わる修繕は軽微とは判断されにくいのが実情です。
最終的な負担範囲は、個別の契約内容や具体的な事情によって判断されるため、迷った場合は管理会社や専門家に相談しながら進めることが大切です。
責任の所在は自己判断せず、管理会社や不動産会社、必要に応じて法律の専門家へ相談することで、無用なトラブルを避けることにつながります。
アパートの雨漏りトラブルを防ぐ・長引かせないために大家が意識すべき対策

雨漏りは突発的な事故のように見えますが、多くの場合、建物の小さな劣化や不具合の積み重ねによって発生します。
そのため、日常的な点検と記録の管理を行うことが、最も効果的な予防策といえます。
雨漏りが起きやすい箇所を把握し、定期点検を実施する
雨水の侵入経路はある程度共通しており、発生しやすい箇所を把握しておくだけでも予防効果は高まります。
特に確認しておきたいのは、次のような部分です。
- 屋根(例:屋根材のずれ・割れ、防水シートの劣化)
- 外壁(例:ひび割れ、継ぎ目のシーリングの劣化)
- バルコニー・ベランダ(例:床面の防水の摩耗、排水口の詰まり)
- 窓枠・サッシ周辺(例:外壁との隙間の拡大)
- 共用部の配管周辺(例:水染みや湿気の発生)
これらの箇所を年に1〜2回確認するだけでも、小さな異変に気付きやすくなります。
早期発見・早期対応ができれば、大規模修繕を避けやすくなり、修繕費用の増加や入居者トラブルの長期化を防ぐことにつながるでしょう。
修繕履歴を把握・管理しておく
「いつ、どこを、どのように修理したのか」という情報を記録として残しておくことは、再発防止に直結します。
修繕履歴が整理されていると、次のような利点があります。
- 雨漏りの原因特定が早くなる
- 同じ箇所の再発を防ぎやすくなる
- 業者へ状況を説明しやすくなる
- 点検やメンテナンスの時期を判断しやすくなる
記録方法は、紙のノートでも表計算ソフトでも問題ありません。
重要なのは、「修理日・修理箇所・内容・費用」を継続的に残すことです。
中古物件を購入した場合は、前所有者の修繕履歴を確認することも有効です。
履歴が存在しない場合は、購入後早い段階で専門業者による建物診断を受けることで、現在の状態を把握しやすくなります。
自己管理に不安がある場合は、不動産会社・管理会社へ任せる選択肢も
物件数が増えてきた場合や、本業との両立が難しい場合は、管理会社への委託も現実的な選択肢になります。
管理業務を委託することで、次のような対応を専門家に任せることができます。
- 定期点検の計画・実施
- 入居者からの連絡対応
- 修繕業者の手配と日程調整
- 緊急時の初期対応
- 修繕履歴の管理
- 建物状態の専門的なチェック
入居者対応の質が安定することで、結果的に空室リスクの低減や物件評価の維持にもつながります。
雨漏り対策は「発生してから対応するもの」ではなく、「発生しにくい環境を維持するもの」と考えましょう。
まとめ
●アパートの雨漏りの連絡を受けた大家の初動対応は「状況把握と記録」が最優先
入居者から雨漏りの連絡を受けたら、被害状況・発生箇所・発生タイミングを確認し、写真や動画で客観的な記録を残すことが重要です。
雨漏りを放置せず、不動産会社や管理会社へ早めに相談しましょう。
●雨漏り修理は原則として大家の責任
雨漏りは建物の構造や経年劣化が原因となることが多く、民法上、大家には修繕義務があります。
入居者の故意・過失や契約書の特約がある場合のみ、例外となる可能性もあります。
●定期点検と履歴管理がトラブル予防の鍵
屋根・外壁・バルコニーなどの確認と修繕履歴の管理を行うことで、早期発見と再発防止につながります。
自己管理に不安がある場合は、不動産会社や管理会社への委託も有効です。
北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
著者
小樽駅前店 小幡 将大賃貸物件に関するお悩みや不安、ご相談ごとは、どんなに小さなことでも私たちにお任せください。入居者様にとっては毎日の暮らしを支える住まいであり、オーナー様にとっては大切な資産です。だからこそ、お一人おひとりに寄り添い、誠実で丁寧な対応を心がけています。「ここに相談して良かった」と思っていただけるサービスを、これからも提供してまいります。
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