不動産管理コラム

不動産管理のこと2025.12.19

アパートのにおいクレームへの対応は?責任所在と予防策

こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の小幡です。

アパート経営をしていると、においに関する問題が起きることがあります。

「においが気になると相談を受けたものの、どう対応すべきかわからない」
「においの原因が設備なのか、入居者の生活習慣なのか判断がつかず困っている」
そんな不安を抱えていませんか?

においの問題は感じ方に個人差がある上、原因が複数にまたがるケースも多く、オーナー側にとって判断が難しいトラブルの一つです。
対応を誤ると、退去につながったり、別の入居者から新たなクレームが発生したりすることもあるため、早期に適切な判断を行うことが大切です。

そこで今回は、においクレームの責任はどこにあるのか、クレーム例や、トラブルを未然に防ぐための予防策について解説していきます。
灰皿

 

アパートのにおいに関するクレームの責任の所在

アパートでにおいに関するクレームが発生した場合、原因がどこにあるかによって誰が対応すべきかが変わります。

 

原因による責任の所在

まずは「オーナーの責任となるケース」と「入居者が原因のケース」を切り分けることが重要です。

 

オーナー側の責任となる主なケース

設備や建物の不具合によってにおいが発生している場合は、原則としてオーナー側の対応が必要です。

例えば、以下のような状態が該当します。

  • 排水管の詰まり・劣化・破損による悪臭
  • 給排気設備の不備によるにおいの逆流
  • 建物の老朽化に伴うカビ臭・湿気起因のにおい
  • 共用部の清掃不足によるゴミ臭や排水溝のにおい

これらは、入居者が通常の暮らしをしていても発生が避けられないものであり、建物の管理義務があるオーナー側が修繕や改善を行う必要があります。

 

入居者側に原因がある主なケース

一方、入居者の生活習慣が原因で周囲へにおいが広がっている場合は、入居者本人への注意喚起や改善指導が必要になります。

  • ベランダでの喫煙や強いニオイの出る調理
  • ペットのトイレ臭・飼育環境の不衛生
  • ゴミの放置や生ごみをため込む行為
  • 過度な芳香剤・お香の使用
  • 室内の換気不足による生活臭の滞留

賃貸借契約では、ほかの入居者に迷惑をかけない「善良なる管理者の注意義務」が入居者に求められており、度を越えた生活臭は改善を求められる対象になります。

 

においクレームを放置するリスク

においの問題は、感情的な対立に発展しやすいトラブルです。
早期に対応しないと、以下のようなリスクにつながります。

  • ほかの入居者からも苦情が連鎖的に発生する
  • 生活環境の悪化を理由に退去が増える
  • 長期空室や募集条件の悪化につながる

においの問題は、原因が小さくても放置すると大きな不満につながるため、早めに実態を把握し、適切な主体が改善を行うことが重要です。

 

アパートのにおいでよくあるクレーム

クレームとして寄せられることが多い、においの原因を整理して紹介します。

 

クレーム例①ペットのにおい(トイレ臭・体臭・マーキング)

ペット可物件では、犬や猫のトイレ臭・被毛のにおい・マーキング臭が原因で周囲の部屋へにおいが漏れることがあります。

特に、換気を十分に行わず室内ににおいがこもった状態が続くと、共用廊下や隣室まで届きやすくなります。

また、ペットの飼育数が多いケースや、ケージ清掃を怠っているケースでは、短期間で強いにおいが発生するため、クレームの原因となりやすいです。

 

クレーム例②生ごみや不衛生な生活が原因のにおい

生ごみの放置や、排水口に食べ物カスが溜まって腐敗した場合に強い悪臭が発生します。

特に夏場や湿気の多い季節は、においだけでなくコバエなどの害虫発生につながります。
周囲の入居者が不快感を覚えやすく、ゴミ捨てのルール違反が多い物件では常に相談が寄せられがちです。

 

クレーム例③たばこのにおい(室内喫煙・ベランダ喫煙)

室内喫煙は換気扇の方向やサッシの隙間から煙が漏れやすく、隣室ににおいが入り込みやすくなります。

また、ベランダ喫煙は風向きによって周囲の部屋へ煙が流れ込み、洗濯物ににおいが付着するなどの理由でトラブルに発展しやすいです。

 

クレーム例④料理のにおい(強い香辛料・バーベキュー・燻製など)

料理中のにおいも、アパートでよく指摘される項目です。
カレーや焼き肉、揚げ物などのにおいは、換気扇を使っていても廊下や隣室へ流れ込みやすく、特に強い香辛料を使用する料理はにおいが残りやすい特徴があります。

また、バルコニーでバーベキューを行なったり、燻製器を利用したりする行為は煙・油のにおいが強く、近隣トラブルとして相談が寄せられやすいです。

 

クレーム例⑤排水口・配管からのにおい

キッチンや浴室、洗面所の排水口からにおいが上がってくるという相談も多く寄せられます。
これは排水トラップの水が蒸発したり、配管内部に汚れが蓄積したりすることで起こる現象です。

長期間留守にしたあとや、換気扇の強運転によって室内が負圧になった際に起こりやすく、住戸内の衛生状態や建物設備の両方に原因があるタイプのにおいといえます。

なお、賃貸管理全般のクレームも押さえておきたい場合は、「賃貸管理のクレームの事例と適切な対応について解説」でお伝えしています。
ぜひあわせてご参照ください。

 

アパートでにおいのクレームを受けないための予防策

対策
においのクレームは、一度発生すると入居者同士の関係悪化や退去につながります。
事前の予防策として、次の3つを徹底しましょう。

 

対策①においに関するルールを明確化する

においトラブルの多くは、日常生活の中に原因があります。
そのため、まずは「においの発生源となりやすい行為」を明確に分類し、ルール化しておくことが重要です。

特に次のような行為はにおいの発生源となりやすいです。

  • ごみの出し方・分別・保管方法
  • 喫煙(室内/ベランダ/共用部)
  • ペット飼育
  • ベランダ等での調理・火気使用
  • 香りの強い料理をする場合の換気方法

上記は特にクレームに発展しやすいため、物件に合った基準作りが欠かせません。
以下のように、具体的な運用ルールまで落とし込んでおくと効果的です。

 

【ごみに関するルールの例】

  • 収集日・時間・分別方法を明文化する
  • 生ごみの長期保管の禁止する
  • ルール違反があった場合の注意手順や対応を伝えておく

【喫煙に関するルールの例】

  • 室内喫煙の可否を契約書に明記する
  • ベランダ喫煙を禁止または制限する
  • 共用部での喫煙を全面禁止する
  • 喫煙を許可する場合は、換気扇下など場所を限定する

 

【ペット飼育のルールの例】

  • 飼育可能な動物・サイズ・頭数を明確化する
  • 掃除・消臭の義務を明文化する
  • ベランダでの飼育・トイレ利用を禁止する
  • 敷金増額・誓約書署名などの条件を設定する

 

【ベランダなどでの調理行為の例】

  • バーベキューや燻製器を使った料理など、強いにおいを出す調理は屋外で行わないことをルール化する
  • 騒音や煙が発生しない範囲でのみ許容する基準を設定する

 

【換気方法に関する基準例】

  • 香りの強い料理をする際は換気扇の使用を推奨する
  • 窓を開ける場合、隣室への煙が流れやすい風向きでは控えるよう
  • フィルターの定期清掃を入居者に案内する

 

対策②禁止事項は賃貸借契約書に記載する

においのトラブルを減らすには、禁止事項やルールを契約書へ盛り込んでおくことも効果的です。

においに関するトラブルは「言った・言わない」で主張がぶつかりやすく、口頭説明だけでは対応が難しくなります。

入居における禁止事項については、必ず契約書や重要事項説明書に盛り込み、トラブル時に根拠として示せる状態にしておくことが重要です。

 

対策③共用部の定期清掃と衛生管理を行う

共用部分の清掃や巡回点検を丁寧に行うことが、におい発生の早期発見と予防につながります。

次のようなポイントを重点的に確認しましょう。

  • ゴミ置き場の衛生管理(床清掃、脱臭剤・防虫剤の設置、扉の開閉状況の確認)
  • 排水溝・側溝の詰まりや汚れ(ヘドロや落ち葉などの堆積を防ぐ)
  • エントランス・共用廊下のゴミの散乱状況
  • 共用部の換気状況(空気のよどみがないかの確認)

 

対策④入居前のクリーニングを徹底する

退去後の原状回復工事では、入居前クリーニングを丁寧に行うことがにおい対策として非常に有効です。

特に次の項目は念入りに実施することで、入居後のクレーム発生率を下げられます。

  • クロス・床の消臭処理
  • エアコン内部洗浄
  • 排水トラップの洗浄と水張り
  • 換気扇フィルター交換
  • カビが発生しやすい浴室・脱衣所の除菌清掃

前入居者の生活臭が残っていると、入居直後からクレームにつながることがあるため、物件の印象改善としても必要な工程です。

 

対策⑤設備点検(排水口・換気設備)を定期的に行う

排水トラップの水切れや換気扇の不具合など、設備面の劣化もにおいの原因になります。

定期的な点検や、長期空室時の換気・水張り作業を取り入れることで、設備起因のクレームを大幅に防止できます。

 

まとめ

●アパートのにおいに関するクレームは原因により責任の所在が異なる
においのトラブルは、原因が設備・建物にあるのか、入居者の生活習慣によるものかで責任範囲が異なります。
設備不良や共用部分の問題はオーナー側の対応が必要で、生活習慣に起因する場合は入居者への改善依頼が基本です。

●アパートのにおいクレームの原因はさまざま
生ごみの放置、ペット臭、たばこの煙、強い香辛料を使った料理、排水口からの臭気など、においの発生源は多岐にわたります。

●においのクレームを受けないためには事前の予防策を
においトラブルを抑えるには、入居者が守るべきルールを明確にし、契約書へ記載しておくことが効果的です。
また、管理側が対応できる共用部分の巡回清掃・点検を継続し、入居前のクリーニングや設備の確認を徹底することで、発生リスクを大幅に減らせます。

北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

 

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著者
アパートのにおいクレームへの対応は?責任所在と予防策

小樽駅前店 小幡 将大賃貸物件に関するお悩みや不安、ご相談ごとは、どんなに小さなことでも私たちにお任せください。入居者様にとっては毎日の暮らしを支える住まいであり、オーナー様にとっては大切な資産です。だからこそ、お一人おひとりに寄り添い、誠実で丁寧な対応を心がけています。「ここに相談して良かった」と思っていただけるサービスを、これからも提供してまいります。

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