不動産管理コラム

不動産管理のこと2024.05.29

強制退去の条件とは?強制退去の方法と注意点、費用について解説

こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の佐々木です。

さまざまな理由から、入居者を強制退去させたいという不動産オーナー様もいらっしゃるでしょう。
しかし、強制退去にはいくつか条件があり、いついかなる場合でも執行できるというわけではありません。

そこで今回は、入居者の強制退去の条件について解説します。
注意点や強制退去の流れ、発生する費用などもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

裁判

 

強制退去の条件とは?注意点も解説

強制退去とは言葉のとおり、入居者(賃借人)を賃借契約を結んでいる物件から強制的に退去させることをいいます。

長年にわたる家賃の滞納や賃借契約違反などにより、入居者を強制退去させたいと考えている不動産オーナー様もいらっしゃるかと思います。
しかし、強制退去にはいくつか条件があり、その条件に当てはまらなければ強制退去を執行することはできません。

 

強制退去となる条件

入居者を強制退去させられるかどうかは、「賃貸人と賃借人間の信頼関係が破綻している」ということがポイントとなります。

例えば、入居者が家賃を滞納し続けている場合は、強制退去させられる可能性があります。
滞納期間に決まりはありませんが、一般的には3カ月以上滞納していると、「賃貸人と賃借人間の信頼関係が破綻している」ととらえられるでしょう。

また、賃貸借契約でペットの飼育を禁止しているのに飼育を続けたり、騒音などで近隣住民とトラブルになったりしている場合も、該当する可能性が高いです。
入居者のペットの無断飼育については下記コラムで詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
入居者がペットを無断飼育していたら?対応方法や放置するリスクも

なお、強制退去に該当するからといって、入居者の留守中に荷物を外に運び出したり、鍵を付け替えたりすると、住居侵入罪や器物損壊罪など犯罪に該当する恐れがあります。
強制執行は裁判をする必要がありますので、実力行使で強制退去させることがないよう注意しましょう。

 

強制退去の流れとは?

前述のとおり、強制退去は正しい流れに沿って行う必要があります。
ここでは、事例の多い「家賃を滞納している入居者を強制退去させる流れ」についてご紹介します。

一般的な強制退去の流れは次のとおりです。

1.入居者と話し合う
2.督促状を送付する
3.督促状を内容証明郵便で送付する
4.連帯保証人へ連絡する
5.賃貸契約を解除する
6.明け渡し訴訟を提起する
7.強制執行を申し立てる
8.強制退去を執行する

それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。

 

①入居者と話し合う

まずは電話や訪問をして、入居者に家賃を支払うよう交渉します。

 

②督促状を送付する

入居者と話し合っても催促が難しい場合は、督促状を送付しましょう。

 

③督促状を内容証明郵便で送付する

督促状を送付して家賃の支払いに応じない場合は、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出したかということが証明される「内容証明郵便」で督促状を送付します。

この際に、支払いに応じない場合は連帯保証人へ請求することや、法的手段に出る場合があることも明記しておきましょう。

 

④連帯保証人へ連絡する

内容証明郵便を入居者が受け取った後も家賃を回収できない場合は、連帯保証人に連絡をします。

 

⑤賃貸契約を解除する

入居者からも連帯保証人からも家賃を回収できない場合は、賃貸借契約を解除します。
のちに強制退去させるためには、まずは賃貸借契約を解除する必要があることも覚えておきましょう。

督促状と同様に内容証明郵便を使って、家賃の支払い期日を記載した賃貸契約解除通知を送付します。
支払い期日を経過した時点で賃貸契約は解除となります。

 

⑥明け渡し訴訟を提起する

それでも退去しない場合は、住宅や部屋などの明け渡しを求めて行う「明け渡し訴訟」という裁判を行います。

明け渡し訴訟を提起する際は、次の必要書類を用意して管轄の裁判所に申し立てます。

  • 訴状
  • 証拠書類(建物賃貸借契約書、内容証明郵便など)
  • 不動産登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 固定資産評価額証明書
  • 予納郵便切手
  • 収入印紙
  • 代表者事項証明書(賃借人が法人の場合)

 

⑦強制執行を申し立てる

明け渡し訴訟で判決が出ても入居者が退去しない場合は、管轄の裁判所に強制退去を申し立てます。

強制執行を申し立てる際の必要書類は次のとおりです。

  • 債務名義
  • 執行文
  • 送達証明書

 

⑧強制退去を執行する

執行官と不動産オーナー様などの関係者が強制執行する部屋に直接向かい、占有状況を確認します。
そして、部屋の引き渡し期限と強制執行日時を記載した書面を部屋に貼り付けます。

執行日までに退去していない場合は、執行官や業者が、建物内にある家具・家財を撤去し、鍵を交換します。

 

強制退去の費用目安と費用を抑える方法

強制退去にかかる費用は不動産オーナー様が支払うことになります。
強制退去までにかかる費用相場は次のとおりです。

  • 内容証明費用:約1,300円
  • 裁判費用:約7万〜10万円
  • 弁護士費用:約60〜85万円
  • 強制執行費用:ワンルームマンション 約30万〜60万円、一軒家 約100万円

このように、入居者の強制退去には高額な費用がかかるため、できるだけ費用を抑えたいものです。

強制退去にかかる費用は、入居者に請求することも可能ですので、請求しましょう。
ただし、確実に支払ってもらえるという保証はないため注意が必要です。

なお、強制退去の執行をするとどうしても費用が発生し、長い時間と手間がかかります。
そのため、裁判に移行する前に立ち退き料を渡し、入居者に自主的に退去してもらうというのも一つの方法でしょう。

 

まとめ

●強制退去の条件
強制退去とは入居者(賃借人)を賃借契約を結んでいる物件から強制的に退去させること。強制退去させられる条件は、家賃を長期間滞納しているなど、「賃貸人と賃借人間の信頼関係が破綻している」ということがポイントとなります。

●強制退去の流れ
強制退去は正しい流れに沿って行う必要があります。家賃を滞納している入居者を強制退去させる際は、①入居者と話し合う②督促状を送付する③督促状を内容証明郵便で送付する④連帯保証人へ連絡する⑤賃貸契約を解除する⑥明け渡し訴訟を提起する⑦強制執行を申し立てる⑧強制退去を執行する、という流れになります。

●強制退去の費用目安
強制退去にかかる費用は不動産オーナー様が支払うことになります。強制退去までにかかる費用相場は、裁判費用が約7万〜10万円、弁護士費用が約60〜85万円、強制執行費用がワンルームマンションで約30万〜60万円と、非常に高額です。強制退去にかかる費用は、入居者に請求することも可能ですが、確実に支払ってもらえる保証はありません。

北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
入居者の家賃滞納など不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

 

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著者
強制退去の条件とは?強制退去の方法と注意点、費用について解説

栗山店 佐々木 博明不動産オーナー様の大切な資産の管理と、入居者様の住環境維持に努めてまいります。些細なことでもお気軽にご相談ください。 どうぞ、よろしくお願い致します。

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