不動産管理コラム

不動産管理のこと2025.11.28

アパート経営における無断駐車の対処法とは?NGな対策も紹介

こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の小幡です。

「アパートの駐車場に無断駐車されて困っている」
「適切な対処法がわからず、どうすれば良いか悩んでいる」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?

アパートの駐車場に無断で車を停められた際には、適切な対処法があります。
誤った対応をすると、オーナー側が法的責任を問われる可能性もあり、注意が必要です。

そこで今回は、オーナーがとるべき正しい手順とやってはいけない対応、さらに今後無断駐車を防ぐための対策まで詳しく解説します。

 

アパートに無断駐車があったらオーナーはどう対処する?

アパートの駐車場に無断駐車を発見した場合、もしくは入居者からの通報があった際には、冷静に、かつ迅速に対応することが重要です。

すぐに対応せず無断駐車を放置すると、当事者以外にも「ここは停めても大丈夫だ」と誤解され、無断駐車が常習化するおそれがあるからです。
入居者からのクレームにつながってしまうケースもあります。

無断駐車を発見、あるいは通報を受けた場合は、以下の手順で対処しましょう。

 

①まずは「入居者の車」でないか確認する

最初に行うべきは、無断駐車している車両が入居者のものかどうかを確認することです。

契約時に入居者から提出された車両ナンバーや車種の情報と照合し、一致する場合は該当入居者に連絡して移動を依頼します。
一致しない場合は外部の車両とみなし、写真の撮影など証拠を残すステップに進みましょう。

 

②外部車両だった場合は「証拠の記録」を残す

入居者以外の車だと判明したら、下記の内容を無断駐車の記録として残します。

【記録する内容】

  • 車両のナンバー
  • 車種
  • 駐車位置
  • 撮影日時(写真を日付入り・時刻が分かる形式にする)
  • 車両全体の姿(複数の角度から撮影する)

駐車区画の線や「契約者以外駐車禁止」といった看板が設置されている場合は、それらが一緒に写るように撮影すると、無断駐車の事実を裏づける証拠として有効です。

 

③警告文を掲示する

無断駐車の証拠を残した上で、車両の近くに警告文を掲示します。

「この駐車場は契約者専用です。無断駐車の場合は警察・管理会社へ通報します」など、明確かつ冷静な文面にします。

警告文はワイパーに挟んでも良いですが、近くの柱や地面に設置するなど、車体に触れない位置に掲示するのが安全です。

 

④無断駐車車両の所有者を調べる

警告文を掲示しても改善が見られない場合は、車両の所有者を特定して連絡を試みます。

運輸支局または自動車検査登録事務所の窓口で「登録事項等証明書」を請求すれば、ナンバープレートから所有者情報を確認できます(現在証明の場合:1両につき手数料300円)。

請求には下記の情報が必要です。

  • ナンバープレートの数字(自動車登録番号)
  • 車両の放置場所(番地まで)
  • 放置日数
  • 請求者の氏名・住所
  • 放置車両のある場所の図面(見取り図)
  • 放置車両の写真(放置状況がわかるものと、自動車登録番号がわかるもの)

 

⑤所有者を特定し、無断駐車への対応を連絡する

無断駐車車両の所有者が判明したら、まずは穏やかな文面で「私有地のため移動をお願いしたい」と伝えましょう。
文書には、無断駐車の事実・再発時の法的措置・対応期限なども明記します。

なお、内容証明郵便を利用すれば「確かに連絡をした」ことの証拠となり、訴訟時に有利に働く場合があります。

ただし、直接連絡することに不安がある場合や、相手が悪質なケースが想定される場合は、弁護士に依頼して内容証明郵便で正式な警告文を送ってもらう方法もあります。
弁護士を通じて対応すれば、法的な根拠をもとに手続きが進むため、トラブルを避けやすくなるでしょう。

また、盗難車や長期間放置された車両の疑いがある場合は、警察へ相談することも可能です。
私有地内であっても、犯罪や安全上の問題が懸念されるケースでは、警察が対応してくれることがあります。

 

⑥最終手段として訴訟を行う

所有者が警告に応じず、車両を移動しない場合は、損害賠償請求や土地明け渡し請求の訴訟を起こすことも可能です。

ただし、訴訟は費用や時間の負担が大きいため、弁護士など専門家と相談し、慎重に判断することをおすすめします。
所有者不明の車両やナンバープレートのない車は、「遺失物」として警察に届け出た上で、一定期間経過後に処分できる場合もあります。

無断駐車をはじめ、入居者からクレームをいただいた際の基本的な対応姿勢については、「賃貸管理のクレームの事例と適切な対応について解説」で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

 

アパートの無断駐車に対するNG対処法は?

無断駐車を見つけると、「すぐにどかしたい」「懲らしめてやりたい」と思ってしまうかもしれません。

しかし、そのような行動は逆にオーナー側をトラブルの当事者にしてしまうこともあります。
無断駐車に対してやってはいけない行動と、その理由をわかりやすく紹介します。

 

①車両を勝手にレッカー移動する

私有地内に無断駐車されていても、車の所有権は持ち主にあります。
レッカー移動ができるのは、警察が道路上の放置車両と判断した場合など、特別なケースのみです。

オーナーが勝手にレッカーで移動させるのは、法律における「自力救済の禁止」にあたり、もし車に傷がつけば器物損壊として損害賠償の対象になるおそれもあります。

 

②車両を動かせないようにする

タイヤロックをつけたり、車の前後をブロックで囲んで出られなくしたりするのもNGです。
これらは相手の行動を強制的に制限する行為で、「自力救済の禁止」に該当します。

 

③車体に直接、警告文などの貼り紙をする

フロントガラスやドアに紙を貼ると、粘着テープで塗装を傷つけてしまう可能性があります。
器物損壊にあたるおそれがあるため避けましょう。

 

④感情的な張り紙やSNS投稿をする

「次やったら罰金」「晒します」などの強い言葉を使って警告してはいけません。
根拠のない罰金の掲示は脅迫や名誉毀損に問われる可能性があり、SNSでの写真の公開はプライバシー侵害になるおそれもあります。

 

アパートの無断駐車を防ぐには?

対策
無断駐車への対応は、発生後だけでなく、事前に無断駐車を防ぐ仕組みを作ることも重要です。
無断駐車の発生・再発を防止できれば、入居者とのトラブルや管理の手間を大きく減らせます。
アパートオーナーができる主な防止策を紹介します。

 

①無断駐車厳禁である旨を看板などで周知する

「契約者以外の駐車禁止」など、はっきりとした注意喚起を掲示します。
「無断駐車は警察に通報/法的措置をとります」といった権威性のある文言を取り入れると、つい「空いているから」と軽い気持ちで停める人に対して注意を促す効果が高まります。

看板は、入口や出入口付近など目に入りやすい場所に設置しましょう。
「管理会社連絡先」も付記しておくと、トラブル時にスムーズに連絡を受けられます。

 

②防犯カメラを設置する

監視されているという意識が働くため、防犯カメラの設置は非常に効果的です。
無断駐車の様子を録画できれば、証拠の記録としても利用できます。

実際に録画するタイプでなくても、ダミーカメラと警告看板の併用でも、「カメラがあるから無断駐車はやめておこう」という心理が働き、抑止効果が得られるでしょう。

 

③敷地内の駐車について、契約書に明文化しておく

契約時に駐車ルールを明文化しておくことも大切です。
外部車両への直接的な効力はありませんが、入居者やその来客による無断駐車を防ぐ効果が期待できます。

「契約者以外の駐車は禁止」「無断駐車を見かけた際は管理会社へ連絡」といった文言を契約書や入居案内に記載しておくと、入居者間のトラブル防止にもつながります。

 

④見回りを実施する

オーナーや管理会社が定期的に駐車場を見回るだけでも、無断駐車の発生率は下がります。
防犯カメラの設置と同様に、「いつも見ている」という印象を与えることで、抑止効果が働くためです。

入居者にも協力を呼びかけ、「不審な車を見かけたら管理会社まで連絡してください」と共有しておくと、発見が早まりやすくなります。

 

⑤空き区画にはカラーコーンなどを設置しておく

空いている区画(現状は誰も使っていない駐車エリア)や「ここなら停められそう」と思われやすい場所には、カラーコーンやポールなどを設置しておくと効果的です。

駐車するためには、「いったん車を降りて邪魔なカラーコーンなどを避ける」という一手間が必要になるため、無断駐車をためらいやすくなります。

ただし、入居者の通行や使用を妨げない位置に置くよう注意しましょう。
強風で倒れる場合もあるため、重しをつけたりチェーンで連結したりして安定させると安心です。

 

まとめ

●アパートに無断駐車があった場合は、冷静かつ迅速に対処を
無断駐車への対処は迅速に、まずは入居者の車かどうかを確認します。
外部車両であれば証拠の記録 → 警告文の掲示 → 所有者の特定と連絡 →(必要に応じて)弁護士・警察への相談の順で対応します。

●アパートに無断駐車があっても、感情的な対応や車体への物理的な干渉はNG
無断駐車に対して、勝手なレッカー移動やタイヤロック、車体への貼り紙などは、オーナー側が法的責任を問われるおそれがあるため避けましょう。

●アパートへの無断駐車には、事前対策も重要
駐車禁止看板、防犯カメラ、定期的な見回り、カラーコーンやポールの設置など、無断駐車を起こさせない対策を講じておくことも重要です。

北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

 

家を売るなら不動産売却相談 家を売るなら不動産売却相談
著者
アパート経営における無断駐車の対処法とは?NGな対策も紹介

小樽駅前店 小幡 将大賃貸物件に関するお悩みや不安、ご相談ごとは、どんなに小さなことでも私たちにお任せください。入居者様にとっては毎日の暮らしを支える住まいであり、オーナー様にとっては大切な資産です。だからこそ、お一人おひとりに寄り添い、誠実で丁寧な対応を心がけています。「ここに相談して良かった」と思っていただけるサービスを、これからも提供してまいります。

この担当者がいる店舗のページ
ご相談・お問い合わせはこちら
不動産売却物語 不動産売却のヒント 不動産売却のご相談
総合ガイドブック
電子ブックはこちら
空き家対策ガイドブック
PDFダウンロード
お役立ち冊子お申込み
ご相談
お問合せ
無料査定