不動産管理コラム
不動産管理のこと2025.05.21
賃貸経営でエアコン設置は必須?故障リスクと対策を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の小幡です。
近年、賃貸物件を探す方にとって、「エアコンの有無」は物件選びの大きな判断基準となっています。
エアコンは生活に欠かせない設備として、「あって当然」という感覚が広まりつつあり、未設置の物件の場合、入居率にも影響を与える可能性があります。
「エアコンは設置すべきなのか」「故障時の費用は誰が負担するのか」といった疑問を抱えるオーナー様は多いのではないでしょうか。
今回のコラムは、賃貸経営におけるエアコン設置の必要性と、導入後に起こり得る故障リスクやその対策について、わかりやすく解説します。
近年の賃貸経営ではエアコンが必須
比較的冷涼とされる北海道でも、エアコンの需要は近年高まっています。
現代の賃貸市場では、エアコンは「あったら良い」設備ではなく、物件選びの前提条件になっているからです。
実際、内閣府の「消費動向調査(令和6年3月)」によれば、ルームエアコンの普及率は92.5%に達しており、ほとんどの世帯で所有されていることが明らかになっています。
エアコン設置が求められる背景と、そのメリットについて見ていきましょう。
エアコンが「必須設備」である理由
北海道でもエアコンは「あって当然」のイメージが強まってきたために、エアコン未設置の物件は「設備が不十分」と受け止められやすく、選ばれにくい傾向にあるといえます。
現代日本における物件探しではインターネットの検索サイトが主流です。
検索条件に「エアコン付き」を設定する入居者は多いため、未設置物件は検索結果に表示されないリスクもあります。
このように、未設置の物件は集客面でマイナス要因になります。
エアコンの設置は、「あると良い」ではなく「必須条件」といえるでしょう。
なお、「エアコンがない」こと以外にも、借り手がつかない原因はさまざまです。
賃貸で空室が続いている場合は、こちらのコラムでも対策をお話しておりますので、あわせてご参照ください。
アパートの空室が埋まらない原因とは?空室対策と注意点を解説
一軒家の賃貸に借り手がつかない原因と解決策を徹底解説
エアコン設置によるメリット
エアコンを設置すると、以下のようなメリットが期待できるため、設置の検討をおすすめします。
- 入居者の第一印象が良くなり、安心感を与えられる
- 同程度の賃料帯の中で、設備面で差別化ができる
- 入居後すぐに快適な生活が送れるため、成約率が上がる
- 物件条件が改善して、賃料アップが見込める場合がある
設備が整っている物件は大きな魅力です。
空室期間の短縮や入居者の満足度向上にもつながるため、設置コスト以上の効果が期待できます。
ファミリー向け物件では特に、リビングへの高機能エアコンの設置が効果的です。
家族が長時間過ごす空間だからこそ、快適な空調環境が重視され、入居後の満足度向上にもつながるでしょう。
エアコン設置には初期費用がかかりますが、賃料アップが可能な場合もあります。
賃料がアップできれば、数年で設置費用を回収できるでしょう。
なお、空室対策としてのリフォームについては「空室対策でリフォームをするときのポイントや注意点を解説」で詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご参照ください。
賃貸経営でのエアコン導入は故障のリスクも考えよう
エアコンを設置することで入居者満足度は向上しますが、「設置したら安心」ではなく、定期的な点検や適切な管理が必要です。
故障や不具合の発生を放置していると、トラブルに発展するケースがあるからです。
「エアコンが付いているから」という前提で入居を決めたにもかかわらず、実際に使用できなければ入居者の不満が高まってしまいます。
不具合時には賃料減額のリスクも
2020年の民法改正により、貸主が設置した設備に不具合があった場合、賃料の減額が「請求できる」から「減額される」へと明文化されました。
これにより、設備の不具合が発生した際の対応は、より重要性を増しています。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が2024年に改定した「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」では、エアコンが作動しない場合、減額の目安は「賃料の10%」とされています。
例えば、月額家賃が7万円の物件であれば、1カ月あたり7,000円程度の減額が発生する可能性があるのです。
故障の主な原因と予防方法
では、不具合を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。
エアコンが故障する主な原因と、予防のためにできることをご紹介します。
まず、故障の主な原因は次の通りです。
- フィルターの汚れ
- 室外機まわりの環境不良
- 施工不良や経年劣化によるガス漏れ
フィルターの汚れは、最もよくある原因の一つです。
目詰まりによって風量が低下し、冷暖房の効きが悪くなるだけでなく、内部の部品に過剰な負荷がかかるため、故障の引き金となることがあります。
予防するには、入居時に入居者へ、フィルター清掃の重要性を説明しておくことが大切です。
あわせて、冷暖房の使用シーズン前には試運転を促し、不具合の早期発見につなげましょう。
また、室外機の周辺環境も見落とされがちなポイントです。
吸気口が物でふさがれていたり、直射日光が長時間当たる位置に設置されていたりすると、オーバーヒートを起こして正常に作動しなくなるおそれがあります。
設置時には周囲にスペースを確保し、入居者にも「室外機の周囲に物を置かない」ように伝えておきましょう。
さらに、設置工事時の配管接続不良や、経年劣化による冷媒ガスの漏れも故障の原因になります。
これを防ぐには、施工完了後の動作確認をしっかり行うこと、可能であれば施工業者立ち会いのもとで確認を行うことが有効です。
また、古いエアコンは不具合が起こりやすいため、耐用年数を意識した計画的な入れ替えも検討すると良いでしょう。
修理費用は誰が負担する?
エアコンが故障した際、修理費用を誰が負担するかは、設置状況や契約内容によって異なります。
基本的に、オーナー様が設置した備え付けのエアコンであれば、貸主負担が原則です。
民法第606条により「賃貸人は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められているからです。
ただし、以下のようなケースでは、借主負担となる可能性もあります。
- 入居者が自ら設置したエアコン
- 前の入居者の残置物を引き継いだ場合
- 善管注意義務違反による故障(例:フィルターを長期間清掃せず使用していたなど)
いずれの場合も、契約書に責任分担を明記しておくことが重要です。
特に借主側に負担させる特約を設ける場合には、消費者契約法との整合性も踏まえた上で、法的に有効と認められる内容でなければなりません。
トラブルを未然に防ぐためには、契約書への記載だけでなく、入居者への事前説明も丁寧に行うことが大切です。
まとめ
●近年の賃貸経営ではエアコンが必須
賃貸市場ではエアコンは「あって当然」の設備となっており、未設置物件は入居率低下のリスクが高まります。
内閣府の調査でもエアコンの普及率は9割を超えており、未設置の物件は検索時点で除外されることも多く、集客面で不利になってしまいます。
●エアコン設置によるメリット
エアコン設置は入居率向上だけでなく、賃料アップも検討できます。
●故障時の対応と費用負担のルールを理解しよう
基本的に備え付けエアコンの修理費用は貸主負担です。
2020年の民法改正により、故障対応が遅れると賃料減額の対象となるため、計画的なメンテナンスや契約内容の整備が重要になります。
北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
著者

小樽駅前店 小幡 将大大学時代は建築学科で住宅について学び、不動産業界に入ってからは住宅の売買はもちろんリフォーム工事に関しても多数携わり、自分自身も数年前中古住宅を購入しました。北海道ならではの住宅の傷みや、気を付けなくてはいけない点など自分の経験を活かしてお客様と一緒に住宅探しを出来れば幸いです。至らない点もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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