不動産管理コラム

不動産管理のこと2026.01.14

賃貸のカビクレームで慌てない。オーナー対応の基本を解説

こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の小幡です。

「入居者から部屋にカビが出たと連絡が来たが、どう対応するのが正解なのだろう」
「入居者の生活の仕方が原因ではと思うものの、オーナーとしてどこまで対応すべきなのか判断に迷う」

賃貸物件を所有していると、こうしたカビに関するクレームに直面することがあります。
特に梅雨時や冬場の結露が多い時期は、「自分の責任になるのでは」「放置するとトラブルに発展しないか」と、不安を感じるオーナー様も少なくありません。

今回は、賃貸物件でカビのクレームが寄せられたときの正しい対応方法から、やってはいけないNG行為まで詳しく解説していきます。

壁のカビ

 

賃貸でカビのクレームが来たときの初期対応

賃貸でカビのクレームが寄せられた場合、原因や責任を判断する前に、まず「事実確認」と「状況整理」を行うことが重要です。
初期対応次第で、入居者との関係性や、その後のトラブルの有無が大きく変わります。

入居者からの連絡を受けた際は、感情的に反応したり原因を推測したりするのではなく、冷静に情報を集めることを意識しましょう。

 

まずは迅速に連絡し、対応する姿勢を示す

カビに関するクレームは、入居者にとって「健康や生活に直結する不安要素」です。
連絡を受けたら、できるだけ早く返信し、対応する意思があることを伝えましょう。

例えば、「状況を確認した上で対応を検討します」「ご不安な思いをさせてしまい申し訳ありません」といった言葉を添えることで、入居者は「話をきちんと聞いてもらえている」と感じやすくなります。
この時点では、原因や責任について言及する必要はありません。

 

カビの発生状況を具体的に確認する

次に行うべきなのは、カビの発生状況をできるだけ具体的に把握することです。

後の判断を誤らないためにも、次のような点を確認しておきましょう。

  • カビが発生している場所(浴室、押し入れ、壁の角、窓周辺など)
  • いつ頃から発生しているか
  • 一部のみか、部屋全体に広がっているか
  • 見た目の状態(黒ずみ、斑点状など)

可能であれば、写真を送ってもらうと状況を客観的に把握しやすくなります。
全体がわかる写真と、カビが確認できる部分を写した写真の両方があると、より判断しやすいでしょう。

 

入居者の生活状況をヒアリングする

カビの原因は、建物の問題だけでなく、室内の湿度や換気状況など、生活環境が影響するケースも少なくありません。
そのため、原因を探る目的で、入居者の生活状況についても確認します。

ヒアリングの例としては、次のような項目です。

  • 窓開けや換気扇の使用頻度
  • 結露が発生した際の対処状況
  • 浴室の使用後に換気をしているか
  • 洗濯物を室内に干すことが多いか

この時点で「入居者の使い方が原因だ」と決めつけるのは避けましょう。
あくまで状況整理の一環であることを伝えることが大切です。

 

健康被害の有無を確認する

カビは、場合によっては体調不良につながることがあります。
入居者や同居家族に、咳やアレルギー症状などの体調変化が出ていないかを確認しておきましょう。

特に、小さな子どもや持病のある方がいる場合は、不安が大きくなりやすいため、丁寧な聞き取りが重要です。
この段階では、補償や費用負担の話に踏み込む必要はありません。
カビのクレームのほか、賃貸管理に関するクレームについても知っておきたいという方は、「賃貸管理のクレームの事例と適切な対応について解説」もぜひあわせてご参照ください。

 

賃貸でカビのクレームが来たときの対処法

初期対応で状況を整理した後は、カビの発生状況を踏まえながら、誰がどこまで対応すべきか、どのような負担が生じるのかを整理していくことになります。

 

カビ対応における責任の考え方

賃貸物件のカビ対応では、カビの原因によってオーナーと入居者の対応範囲が異なります。
一般的には、次のような整理ができます。

【オーナー側の対応が必要と考えられるケース】

  • 雨漏りや配管からの漏水が確認されている
  • 換気扇や24時間換気設備が正常に機能していない
  • 建物の構造や断熱性能の問題により、通常の生活をしていても結露が発生しやすい
  • 設備の経年劣化や不具合が原因と考えられる場合

これらは、建物や設備に関わる問題であり、オーナーの管理範囲と判断されることが一般的です。

【入居者側の管理範囲と考えられるケース】

  • 換気をほとんど行わず、結露を放置していた
  • 浴室使用後の換気を行なっていなかった
  • 室内干しや加湿器の使用が多く、湿度管理が不十分だった
  • 日常的な清掃や手入れが行われていなかった

入居者には、借りた物件を適切に使用・管理する「善管注意義務」があります。
生活習慣が主な原因と考えられるカビについては、入居者側の対応範囲となる場合があります。

実際には建物要因と生活要因が重なっているケースも多く、明確に切り分けられない場合も少なくありませんが、基本のケースとして押さえておくと良いでしょう。

 

オーナーに対処の義務があると考えられる場合の対処法

建物や設備に原因がある可能性が高い場合は、オーナーとして速やかに具体的な対処を進める必要があります。

 

①カビの発生状況に応じた清掃・除去対応

まず実施すべきなのは、カビの発生状況に応じた清掃・除去対応です。
発生範囲が限られている軽度の場合には、カビ取り剤を使用した清掃で改善することもあります。

一方で、広範囲にカビが広がっている場合や、再発を繰り返している場合は、カビ除去の専門業者への依頼を検討したほうが安心です。

 

②設備の修繕や換気設備の追加

あわせて、カビの原因そのものへの対応が欠かせません。
雨漏りや配管の不具合、換気設備の故障などが確認された場合は、清掃だけで済ませるのではなく、修繕工事を行わなければ根本的な解決にはなりません。

表面的な対応にとどめてしまうと、同様のクレームが繰り返される可能性が高くなるからです。

 

③ほかの部屋の調査

必要に応じて、同じ建物内のほかの部屋でも似た症状が出ていないかを確認することも大切です。

住環境アンケートなどの形で状況を把握すれば、入居者に過度な不安を与えずに、建物全体の問題かどうかを見極めやすくなります。

 

費用負担や賠償の考え方には注意が必要

カビの原因が設備不良と判断される場合、修繕や清掃費用はオーナー負担となるのが一般的です。
状況によっては、清掃期間中の宿泊費や、健康被害が生じた場合の医療費、慰謝料といった損害賠償が発生することもあります。

ただし、費用負担の範囲は状況や影響の程度によって異なり、これらの費用まで必ず含まれるとは限りません。

判断にあたっては、次の点を総合的に見て検討するのが一般的です。

  • 建物の不具合が原因で、通常の居住が著しく妨げられていたか
  • 実際に健康被害が発生しているか
  • 診断書や写真など、客観的に確認できる資料があるか

入居者からの感情的な要求にその場で応じるのではなく、事実関係を整理した上で、必要に応じて管理会社や建物・設備の専門業者、状況によっては弁護士などに相談しながら、慎重に対応しましょう。

 

賃貸でカビのクレームが来たときにやってはいけないこと

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カビに関するクレームは、対応を誤ると本来起こらなかったトラブルに発展するおそれがあります。
オーナーとして避けるべき対応を整理しておきましょう。

 

原因がわからない段階で責任の所在を決めつける

十分な確認を行わないまま、「換気不足が原因でしょう」「入居者の使い方の問題だと思います」といった発言をしてしまうのは避けるべきです。
根拠のない決めつけは、入居者の不信感を招き、感情的な対立を生みやすくなります。

カビの発生原因は、建物の構造や設備、生活環境など、複数の要因が重なっているケースも少なくありません。
まずは事実関係を整理し、原因を確認した上で判断する姿勢が重要です。

 

入居者の話を十分に聞かず、対応を先延ばしにする

「様子を見てください」「今は忙しいので後で確認します」といった対応も注意が必要です。
カビは見た目の問題だけでなく、健康面の不安につながるため、入居者は強い不満や不安を抱えやすい傾向があります。

対応を先延ばしにすると、「きちんと向き合ってもらえていない」と受け取られ、クレームが深刻化する原因になります。

 

口頭でのやり取りだけで済ませ、記録を残さない

カビのクレーム対応で特に避けたいのが、口頭対応のみで記録を残さないことです。
後になって「言った・言わない」という認識の食い違いが生じると、解決が難しくなります。

対応時には、下記のように記録を残しておきましょう。

  • カビの状態がわかる写真
  • 確認した日時や内容のメモ
  • メールなど書面でのやり取り

記録を残しておくことで、対応の経緯を客観的に説明しやすくなり、不要なトラブルを防ぐことにつながります。

 

専門家や第三者への相談を避ける

「費用をかけたくない」「大ごとにしたくない」という理由で、全てを自己判断で進めるのも注意が必要です。

原因の特定や対応に迷う場合は、管理会社や建物・設備の専門業者など、第三者の意見を取り入れることで、冷静な判断がしやすくなります。
費用負担や責任を巡ってトラブルに発展しそうな場合には、弁護士などの専門家への相談を検討することも有効です。

 

まとめ

●賃貸でカビのクレームが来たときの初期対応は迅速かつ丁寧に
入居者から連絡があった場合は、まず迅速に対応姿勢を示し、発生状況や生活環境、体調面などを丁寧に確認することが重要です。

●建物設備や構造に問題がある場合のカビのクレームはオーナー側で対処が必要
カビの原因として建物設備や構造に問題がある場合は、オーナー側での対処が必要となるため、状況に応じて清掃や専門業者への依頼、修繕などを検討しましょう。

●賃貸でカビのクレームが来たときはトラブル回避の対応を
カビの原因がわからない段階で責任を決めつけたり、対応を先延ばしにしたりするのは避けましょう。
口頭対応のみで記録を残さないことや、善管注意義務を一方的に押し付ける姿勢も、後のトラブルにつながりやすくなります。

北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

 

家を売るなら不動産売却相談 家を売るなら不動産売却相談
著者
賃貸のカビクレームで慌てない。オーナー対応の基本を解説

小樽駅前店 小幡 将大賃貸物件に関するお悩みや不安、ご相談ごとは、どんなに小さなことでも私たちにお任せください。入居者様にとっては毎日の暮らしを支える住まいであり、オーナー様にとっては大切な資産です。だからこそ、お一人おひとりに寄り添い、誠実で丁寧な対応を心がけています。「ここに相談して良かった」と思っていただけるサービスを、これからも提供してまいります。

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