不動産管理コラム
不動産管理のこと2025.11.14
空室対策に宅配ボックスは効果的?種類と設置時の注意点を解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 不動産管理部の小幡です。
「空室対策として宅配ボックスを設置したいけれど、本当に効果があるの?」
「種類や設置の注意点についても知っておきたい」
そんな悩みや疑問をお持ちではありませんか?
近年、宅配ボックスの需要が急速に高まっていますが、「設置しても入居者が増えなかったら…」と不安に感じる方も多いでしょう。
そこで今回は、宅配ボックスが空室対策になる理由から、種類や設置時の注意点まで詳しく解説していきます。

宅配ボックスは空室対策になる?
宅配ボックスは空室対策として非常に効果的な設備といえます。
下記の通り、現代の入居者ニーズに合致しているからです。
①ネットショッピング時代の生活利便性を高める
近年、ネットショッピングの利用は急速に拡大しています。
総務省の「家計消費状況調査」によると、2024年と2025年の9月を比較した際、ネットショッピング利用世帯の割合は1.8ポイント増(54.7%→56.5%)、ネットショッピング利用1世帯当たりの支出額は名目増減率で7.5%増(42,983円→46,227円)。
半分以上の世帯が宅配を利用し、その利用量も増えていることがわかります。
ネットショッピングは便利な一方で、単身者や共働き世帯などが不在で宅配を受け取れなかった場合、再配達の依頼がストレスになってしまうことも。
宅配ボックスがあれば、不在時でも荷物を受け取れ、入居者の満足度アップにつながります。
②非対面で受け取れる安心感がある
宅配ボックスのもう一つのメリットは、防犯面での安心感です。
特に一人暮らしの女性や共働き家庭では、知らない配達員との対面や、玄関前への「置き配」に抵抗を感じる人も多くいます。
宅配ボックスを設置すれば、人と顔を合わせずに荷物を受け取れるため、心理的な安心感を得られます。
玄関前に荷物を置かないことで、盗難や「不在が知られる」リスクも防げます。
こうした安心感は、入居者が「安心して長く住み続けられる」と思える要因となり、長期入居にもつながります。
③他物件との差別化につながる
宅配ボックスは利便性・防犯性の両面から入居者に好まれるため、ほかの物件との差別化にも役立ちます。
実際、全国賃貸住宅新聞が2025年に実施したアンケートでは、「今後需要が高まると考えられる設備」の第1位に宅配ボックスが選ばれました。
人気設備の宅配ボックスは、物件の付加価値を高め、家賃設定にも好影響をもたらす設備。
同条件の物件が並ぶエリアでは、導入の有無が入居率に差を生むこともあります。
なお、宅配ボックスの設置は効果的な空室対策の一つですが、そもそも空室が長引く原因を把握しておくことも大切です。
空室の発生要因や対策の全体像については、下記コラムでも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
アパートの空室が埋まらない原因とは?空室対策と注意点を解説
賃貸の空室期間を解説。平均期間や長引く原因、短くする方法をご紹介
宅配ボックスの種類
近年は、宅配ボックスにも多様な機能を備えた製品が登場しています。
冷蔵品を受け取れる保冷機能付きのものや、印鑑ケース付のもの、自動で押印できる捺印機能付きのものなど、用途に合わせて選べる幅が広がっています。
ただし、基本的な構造は操作方式によって大きく3つに分けられます。
以下では、それぞれのタイプと特徴をご紹介しましょう。
①機械式(アナログ式)宅配ボックス
電気を使わず、ダイヤル錠やボタン操作で施錠・解錠するタイプです。
配達員は荷物を入れて暗証番号を設定し、不在票に番号を記載してポストへ投函します。
入居者は不在票を確認して暗証番号を入力し、荷物を受け取る仕組みです。
電源が不要で設置しやすく、導入コストを抑えたい小規模物件にも向いています。
②電気式(コンピューター式)宅配ボックス
電子制御で施錠・解錠を行うタイプです。
タッチパネルやカードキー、スマートフォンで操作します。
配達員は画面の案内に従って荷物を預け、入居者にはメールやアプリで荷物到着を通知。
入居者はカードキーや暗証番号を入力して受け取り、管理会社が遠隔で利用状況を確認できるものもあります。
高いセキュリティ性と管理効率を備え、大規模物件にも適しています。
③置き型(簡易型)宅配ボックス
各戸の玄関前や共用スペースに置くタイプで、鍵や南京錠で施錠します。
配達員は荷物を入れて施錠し、不在票に開錠方法を記載して投函、入居者はその情報をもとに荷物を取り出します。
手軽に導入できる反面、防犯面には注意が必要です。
まず宅配ボックスを試してみたい物件に向いています。
上記3タイプはいずれも、屋内設置型と屋外設置型に分類できます。
屋内型はエントランスや共用廊下に設置しやすく、防犯性が高いのが特徴です。
屋外型は建物の外や駐輪場近くなどに設置でき、防水・防錆性能が備わっています。
設置環境に合わせて、防犯性と利便性の両立を図りましょう。
空室対策として宅配ボックスを設置する際の注意点

宅配ボックスは便利で人気の高い設備ですが、設置計画や管理方法を誤ると十分な効果が得られないこともあります。
空室対策として効果的に活用するためには、次のポイントに注意して導入を進めましょう。
①適切な設置個数を検討する
宅配ボックスの個数は、入居者の利便性に直結する重要な要素です。
個数が少なすぎると「宅配ボックスが空いていない」という不満につながり、かえって入居者満足度を下げる可能性があります。
荷物の取り忘れや長期不在も想定し、余裕を持った設置数を確保しましょう。
一般的な目安は総戸数の30〜40%程度とされています。
10戸なら3〜4個、20戸なら6〜8個ほどが目安です。
②設置場所とスペースを慎重に選ぶ
設置場所の選定は、利便性と防犯性の両方を考慮して行う必要があります。
次の点を基準に検討しましょう。
- 入居者がアクセスしやすい場所にあるか
- 配達員が荷物を預け入れしやすい導線か
- 設置スペースに十分な余裕があるか
- 屋外設置の場合、防水・防錆性能が確保されているか
共用エントランスなど入居者と配達員の双方が使いやすい位置が理想です。
また、屋外設置では直射日光や雨風の影響を受けやすいため、防水仕様やアンカー固定型を選ぶなどの対策も必要です。
③設置スペースとボックスサイズを確認する
宅配ボックスを設置する際は、設置スペースに適したサイズを選ぶことも大切です。
小型ボックスは手軽に導入できますが、大きな荷物が入らず再配達になる場合もあります。
一方、大型ボックスは荷物を幅広く受け取れますが、共用部の動線を妨げるおそれも。
建物の構造や入居者の利用傾向を踏まえて、適切なサイズと個数を検討しましょう。
④管理方法を事前に決めておく
宅配ボックスは設置して終わりではなく、運用管理をどう行うかを明確にしておく必要があります。
管理方法の主な選択肢は以下の3つです。
- オーナー自身が管理する
- 管理会社に委託する
- 宅配ボックス専門会社に委託する
特に電気式ボックスでは、メンテナンスやシステム更新が必要になることがあります。
カギの紛失、暗証番号リセット、長期放置荷物への対応など、トラブル時の対応ルールを明確にしておくことで、入居者満足度を維持できます。
⑤導入コストとランニングコストを把握する
宅配ボックスには、導入費用だけでなく継続的なコストも発生します。
【主な費用項目】
- 本体機器購入費:種類・個数によって数千円〜100万円
- 設置工事費:約10万円
- 電気代(電気式の場合)
- インターネット接続工事費用/保守管理費用(遠隔管理対応モデルの場合)
- 定期メンテナンス費
- 管理委託費
費用対効果を高めるには、物件の規模・入居率・家賃設定とのバランスを考慮することが重要です。
高価なタイプを導入しても、入居率や家賃アップに見合わなければ費用負担が重くなります。
また、電気式モデルはリース契約で導入する方法もあります。
初期費用を抑えられる上、保守サポート付きプランも多いため、予算に応じて検討すると良いでしょう。
⑥入居者への周知と使い方の説明を徹底する
宅配ボックスを導入しても、入居者が使い方を理解していなければ導入効果を発揮しきれません。
設置後は説明書を各戸に配布し、入居時のオリエンテーションなどで操作方法を共有しましょう。
また、トラブル防止のために「荷物は◯日以内に取り出す」などの利用ルールを明示することも大切です。
利用者が正しく使える環境を整えることで、設備の価値を最大限に生かせます。
まとめ
●宅配ボックスは空室対策に効果的な設備
宅配ボックスは現代の入居者ニーズに合致した設備で、高い空室対策効果が期待できます。
●宅配ボックスの種類は主に3つ
宅配ボックスの種類は、機械式、電気式、置き型の3つの基本タイプがあります。
それぞれ屋内・屋外設置のモデルもあり、物件の規模や予算に応じて選択できます。
●空室対策として宅配ボックスを設置するには設置数や場所の選定が重要
適切な設置個数の検討、設置場所の選定、管理方法の決定、コスト把握が成功の鍵となります。
入居者の利便性を最大化し、長期的な運用を見据えた計画が必要です。
北章宅建では、都市部以外の賃貸アパート・戸建てを中心に不動産管理を行なっております。
不動産管理のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
著者
小樽駅前店 小幡 将大賃貸物件に関するお悩みや不安、ご相談ごとは、どんなに小さなことでも私たちにお任せください。入居者様にとっては毎日の暮らしを支える住まいであり、オーナー様にとっては大切な資産です。だからこそ、お一人おひとりに寄り添い、誠実で丁寧な対応を心がけています。「ここに相談して良かった」と思っていただけるサービスを、これからも提供してまいります。
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