不動産管理コラム
不動産管理のこと2026.10.23
「満室のまま売却(オーナーチェンジ)」と「退去させて更地売却」得するのはどっち?
北海道で貸家や賃貸アパートを所有されているオーナー様にとって、将来的な資産の整理や買い替えに伴う「売却」のタイミングと方法は非常に悩ましい問題です。特に、入居者がいる状態の物件を売却する場合、「満室のまま収益物件として売る(オーナーチェンジ売却)」か、あるいは「入居者に退去してもらい、建物を解体して更地として売る(更地売却)」かという選択肢で迷われる方が多くいらっしゃいます。
どちらの選択肢がより多くのお金を手元に残せるのか、あるいはスムーズに売却を進められるのかは、物件の築年数や立地、稼働状況によって大きく異なります。安易な判断で進めてしまうと、余計な立ち退き費用がかかったり、売却までに膨大な時間がかかってしまったりするリスクもあります。
本記事では、北海道の不動産市場の特性を踏まえ、「オーナーチェンジ売却」と「更地売却」のメリット・デメリット、それぞれの費用や手残りの違い、そして最適な売却方法を見極めるための判断基準について分かりやすく解説します。
オーナーチェンジ売却と更地売却の根本的な違い
まずは、これら2つの売却手法がどのような仕組みで成り立っているのか、基本構造を整理しておきましょう。買主となるターゲット層や取引の進め方が大きく異なります。
オーナーチェンジ売却(満室のまま売却)とは
オーナーチェンジ売却とは、入居者との賃貸借契約を結んだまま、建物と土地の所有権を新しいオーナーへ引き継ぐ売却方法です。
- 買主のターゲット: 不動産投資家や資産運用を目的とする法人・個人
- 価格の決まり方: 主に物件がいくらの家賃収入を生み出すかという「収益還元法(利回り)」で評価されます。
- 特徴: 入居者の退去手続きが不要で、売却完了まで家賃収入を得続けることができます。
更地売却(退去させて更地化)とは
更地売却とは、現在住んでいる入居者全員に退去してもらい、建物を解体・撤去して、何もない土地の状態にしてから売却する方法です。
- 買主のターゲット: マイホームを建てるための実需層(一般のマイホーム購入者)や、住宅メーカー、開発事業者
- 価格の決まり方: 周辺の土地相場(坪単価)を基準に評価されます。
- 特徴: 建物を取り壊す手間と費用がかかりますが、購入希望者の幅が広がる傾向があります。
満室のまま売却(オーナーチェンジ)するメリット・デメリット

満室状態のまま収益物件として売り出す方法は、投資需要が存在するエリアや高利回りが期待できる物件において強い威力を発揮します。
メリット:手持ち資金を減らさず、即座に売却活動ができる
オーナーチェンジ売却の最大のメリットは、初期コストを抑えながら確実に家賃収入を受け取り続けられる点にあります。
- 立ち退き料や解体費用が一切かからない: 入居者に退去してもらう必要がないため、立ち退き料(交渉費用)、建物の解体工事費といった高額な事前費用が発生しません。
- 売却中も家賃収入(インカムゲイン)が入る: 売り出し期間中も毎月の家賃が口座に入ってくるため、売り急ぐ必要がなく、じっくりと希望価格で買主を探すことができます。
- 投資家層へダイレクトに訴求できる: 北海道内で不動産投資を行っている買主にとって、「すでに満室で稼働している物件」はすぐに運用を開始できるため、非常に魅力的な商品となります。
デメリット:建物の老朽化や利回り相場に価格が左右される
一方で、物件の状態によっては思うような価格がつかないケースもあります。
- 収益性が低いと売却価格が伸び悩む: 賃料設定が周辺相場より低い場合や、大規模修繕が必要な状態の場合、投資家の求める利回りを確保するために売却価格を下げざるを得ないことがあります。
- 買主が投資家に限定される: 居住目的の個人は購入できないため、買い手のターゲット層が投資家のみに絞られます。
退去させて更地で売却するメリット・デメリット

建物を解体して更地にする手法は、土地としての価値が高いエリアや、建物が限界まで老朽化している場合に適しています。
メリット:買主の幅が広がり、土地の本来の価値で売れる
土地単体としての魅力を前面に出すことで、住宅地としての需要を取り込むことができます。
- 一般のマイホーム検討層がターゲットになる: 家を建てたい個人やハウスメーカーなどが検討対象になるため、購入希望者の母数が非常に多くなります。
- 築年数の古さがデメリットにならない: 建物の老朽化や耐震性の問題が理由で敬遠されるリスクがなくなり、土地そのものの相場価格で取引ができます。
デメリット:立ち退き交渉の難航と高額な解体コストのリスク
更地化を選択する場合、事前に越えなければならないハードルがいくつか存在します。
- 立ち退き交渉の難易度と費用の発生: 入居者に対して正当な理由と猶予期間をもって退去を依頼する必要があり、立ち退き料の支払いや引っ越し費用の負担が必要になるケースが大半です。交渉が難航すると売却までに数か月から数年の期間がかかることもあります。
- 解体費用の自己負担: 建物の規模や構造(木造・鉄骨・コンクリート)によっては数百万円単位の解体費用が前もって必要になります。
- 固定資産税の負担増: 建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例(固定資産税の軽減措置)が適用されなくなるため、売却が長引いた場合に税負担が大幅に跳ね上がります。
どちらが得かを見極める「3つの判断基準」
それでは、所有されている物件はどちらの方法を選ぶべきなのでしょうか。手元に残る金額(手残り額)と売却のしやすさを比較するための基準を整理しました。
1.収益性と稼働状況(満室維持ができているか)
現在、満室または高い稼働率を維持できており、周辺相場に見合った家賃収入が得られているのであれば、「オーナーチェンジ売却」を優先するのが賢明です。北海道内でも投資ニーズがあるエリアであれば、満室状態の収益物件は高く評価されます。
反対に、空室が目立ち、周辺相場の値下げ競争についていけないような状態であれば、更地化を視野に入れたほうが結果として高く売れる場合があります。
2.土地相場と建物構造(解体費用のバランス)
土地の評価額が高く、マイホーム用地としての人気が高いエリアであれば、更地売却が得になりやすい傾向があります。
しかし、ここで注意が必要なのが「解体費用」と「立ち退き料」の合計額です。仮に更地として売却した金額がオーナーチェンジでの売却額より高く見えても、解体費用や立ち退き料に数百万円を費やしてしまえば、最終的な手残り額はオーナーチェンジの方が多くなるケースが少なくありません。
3.売却までの希望期間と資金の余裕
「できるだけ早く確実に現金化したい」「事前にまとまった解体費用を用意できない」という場合は、オーナーチェンジ売却が適しています。
一方で、「時間をかけてでも少しでも高く売りたい」「立ち退き交渉や解体工事の資金を準備できる」という場合は、更地売却を検討する余地があります。
収支シミュレーションと税務面での留意点
売却手法を選択する際は、売却価格だけでなく、仲介手数料、解体費用、立ち退き料、そして売却によって生じる「譲渡所得税」などの税金を差し引いた「最終的な手残り額」でシミュレーションを行うことが極めて重要です。
たとえば、更地売却によって土地が高値で売れたとしても、立ち退き料や解体費用の経費計上の扱い、あるいは長期譲渡所得・短期譲渡所得の税率の違いによって、税負担が大きく変わることがあります。
これらの税金に関する計算や確定申告の具体的な手続き、ならびに権利関係の調整につきましては、個別具体的な事情によって異なるため、税理士や司法書士などの専門家へご相談されることをおすすめいたします。
まとめ
・ 物件の稼働状況と収益力に応じた売却手法の選択
満室状態で安定した家賃収入が得られている物件はオーナーチェンジ売却が有利であり、空室が多く収益性が低下している場合は更地売却を検討するのが効果的です。
・ 解体費用や立ち退き料を含めた最終手残り額での比較
更地売却のほうが高値で売れる場合であっても、高額な解体費用や立ち退き料が発生することで、最終的な手元に残る資金はオーナーチェンジ売却のほうが多くなるケースがあります。
・ 将来の資金計画や売却スピードに合わせた柔軟な判断
初期費用をかけず速やかに売却を進めたい場合はオーナーチェンジ、時間をかけてでも土地としての需要にアプローチしたい場合は更地化といったように、事情に合わせた判断が必要です。
北海道での貸家やアパートの売却にお悩みの方は、ぜひ北章宅建へご相談ください。
著者
小樽駅前店 小幡 将大賃貸物件に関するお悩みや不安、ご相談ごとは、どんなに小さなことでも私たちにお任せください。入居者様にとっては毎日の暮らしを支える住まいであり、オーナー様にとっては大切な資産です。だからこそ、お一人おひとりに寄り添い、誠実で丁寧な対応を心がけています。「ここに相談して良かった」と思っていただけるサービスを、これからも提供してまいります。
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