マンションのこと2022.01.18
目の前にマンションが建ちそう。日照権はどうなる?
日当たりや眺望が良いのを気に入って、マンションを選んだ人も多くいるでしょう。
しかし、数年後にマンションが目の前に建ってしまい、日当たりが悪くなってしまったというトラブルは珍しくありません。
そんな時によく耳にするのが「日照権」ですが、どんな権利があるものなのか。
今回は、目の前にマンションが建ちそうな場合の日照権についてご紹介します。
日照権とはどんな権利?
日照権と聞くと、日当たりが確保される権利というイメージが付く方は多いでしょう。
しかし、実際は日照権の明確な定義はなく、一般的には「建物の日当たりを確保して健康的な暮らしをする権利」とされています。
日本の住宅街は密接した立地環境が多く、すべてを規約通りに守ることが難しいのが、建築基準法上でも明確な定めが設けられていない理由です。
ただし、日照権に関連した法律として、「斜線制限」と「日影規制」の2つがあります。
斜線制限とは、具体的な中身に道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限の3つが含まれており、北側斜線制限が日当たり確保の権限にあたります。
対象物件によってできる日影で見るものであり、冬至の日の8時から16時(北海道のみ9時から15時まで)の間にできる影が5mまたは10mを超える建物は建てられないというものです。
そして、土地には居住用の土地、工場を建てる用の土地など、主たる目的が決められています。
「第一種低層住居専用地域」「工業地域」「商業地域」といった名称がつけられ、住居系地域以外は日照権の主張を通すことは難しいです。
日照権を進める流れとは?
日照権のトラブルは、建設業者を相手にする場合が多いですが、個人間でのトラブルの場合も同様の流れとなります。
日照権を主張する流れを覚えておきましょう。
①当事者同士の話し合い
まずは、当事者同士の話し合いから始まります。
お互いの意見を伝え、話し合いで和解できることが一番です。
建設業者との話し合いの場合は、個人では話を通すことが非常に難しいでしょう。
近隣住民と集団で組合をつくり、主張するなどの方法があります。
②各都道府県の行政へ要望申請
当事者の話し合いでは解決が難しい場合、次の行動は行政に相談に行くことです。
建築紛争調整と言われ、窓口で無料相談を受け付けてもらえるでしょう。
経緯を説明し、行政から建設業者に指導がされるケースもあります。
③建築差し止めの仮処分申請
行政からの指導が進まない場合、建設はどんどん進んでしまいます。
その場合の対処として、建築差し止めの仮処分申請を行うことが可能です。
裁判所に申請するもので、建物の建設により日照権が侵害されてしまう可能性が高いことを説明する必要があります。
④起訴
ここまできても問題が解決できない場合、最終手段が起訴となります。
建設の差し止めはもちろん、日照権侵害による慰謝料の請求が可能です。
日当たりが遮断されることによる総合的な不利益の度合いにより判断され、建物や健康状態に被害が大きいものでないと、建設差し止めまで持って行くことは難しいでしょう。
その際には、日当たりが遮断されてしまう時間や、現状よりどれくらいの日照が減ってしまうかを明確に伝えることが大切です。
あとから目の前に建物がたつ可能性がある立地とは?
あとから目の前に建物が経ってしまう可能性の立地には、いくつかの特徴があります。
一見良さそうに見える立地でも、下記のような場所にはよく注意しましょう。
・隣接地や近隣に空き地がある立地
・隣接地や近隣に広々とした駐車場がある立地
・隣接地や近隣に空き家または築50年以上の古い戸建て住宅が広い敷地を占めている立地
・駅近立地または商業地域
・大通りに近い立地
このようなポイントが当てはまる立地は、いつ高い建物ができても不思議ではありません。
物件を探す際には、近隣の環境にも目を向けて決めましょう。
予測は難しいけれど購入の際も注意をしてみましょう
目の前にマンションができ、日当たりが悪くなると、暗くなるだけでなく室温が下がるなど、様々な点で生活に影響を及ぼす恐れがあります。
将来的には資産価値にも影響がでる可能性があり、日照権を主張できる場合には流れにそって進めてみましょう。