マンションのこと2021.05.13

西向きマンションは売却しづらい?方角ごとの特徴と金額の関係〜その2

西向きのマンションは、「夏は暑い」「西日が強くて家具が日焼けする」といった理由からあまり人気がなく、売却には不利だと言われています。

しかしどの方角にもメリットとデメリットはあり、敬遠されがちな方角の特徴も、住む人のライフスタイルによっては大きなメリットになるものです。

本記事では西向きマンションの魅力を整理して、スムーズに売却するための情報をお届けします。

西向きマンションのおすすめポイント

西向きのマンションは敬遠されがちな反面、むしろ西向きを歓迎する人も少なくありません。あえて西向きを選ぶ人は、どのような点にメリットを感じているのか見ていきましょう。

冬場の暖かさ

夏場は室温を上げて暑さの原因となる西日ですが、冬はこれが長所になります。午後からは部屋の奥まで直接日の光が届き、部屋を暖めてくれるからです。

一般的なエアコンは、冷房に比べると暖房はあまり効かないという傾向があります。そのため、補助的にオイルヒーターやガスヒーターを使っている家庭も多いもの。西向きのマンションでは、午後から天然の日差しによる暖房効果のおかげで暖房器具を使う頻度が少なくて済み、光熱費の節約につながります。

洗濯物がよく乾く

強い西日が差す分、ベランダや窓際では洗濯物がよく乾きます。

共働きの家庭なら、朝干した洗濯物が帰宅時には乾いているのはうれしいポイントでしょう。午後から干しても乾きやすいので、家事のスタートが遅めの人もメリットを感じられるはずです。

午後は日照時間が長い

西向きのマンションは朝は日光が入らず暗いのですが、午後は日没ギリギリまで日が差し、一日を通して日照時間が長いのが魅力です。

日当たりの良さは南向きのマンションが一番と言われますが、日の出から日の入りまで、すべての時間で日が当たっている訳ではありません。特に夏季は太陽の軌道が北寄りになるため、南向きのマンションであっても、日の出からかなり時間が経ってから日没前の相当早い時間までしか、室内に日が差し込みません。

なお、7月上旬の東京の日の入りは午後7時ごろ。西向きマンションだと午後7時前まで日が差し込む一方、南向きマンションに日が差し込むのは午後4時ごろまで。午後からは、西向きの方が長時間明るい環境で過ごすことができます。

自然の明るさが大切

西向きのマンションは、強い日差しによる暑さが不人気の理由とされていますが、これには昔のエアコンの性能と建物の断熱性能の低さが大きく影響していました。

近年のエアコンは年々性能が向上して、消費電力も大幅に削減されていますし、建物自体も外断熱が強化され、外壁に溜まった熱が室内に伝わらないよう工夫されています。最新のマンションでは、夏の暑さは克服できる領域になりつつあるのです。

しかし、自然光ならではの明るさは、照明で代替えをすることはできません。冬場で午後5時ごろ、夏場だと午後7時ごろまで日が差し込むため、子どもが学校から帰ってくる午後も、照明をつけずに長時間過ごせるのは魅力です。

明るいのはリビングだけではない

マンションの販売主は、日当たりの良さで人気の南向きの戸数をできるだけ増やしたいと考えます。その結果、南向きの住戸は間口が狭くて奥行きが長くなりがちです。

奥の部屋はリビングとふすまで間仕切る「2部屋1室扱い」という手法で、理論的には採光が確保できる造りにしていますが、ふすまを閉めていれば光は入りません。リビングは明るいものの、その奥にある寝室や子供部屋は北に位置しているため暗い。それが南向きの住戸です。

マンションの西向きの部屋は南向きに比べて人気が低いため、バランス良く売れるように間口を広くとる傾向があります。このため、リビング以外の部屋も、意外と日が入る位置に配置されていることがあります。

美しい夕暮れが見られる

夕日や夕焼けが楽しめるのは、西向きマンションならではの魅力。自分のマンションの部屋からゆっくりと夕焼けを鑑賞できるなんて、とても贅沢な時間です。休日に、夕焼けを眺めながら家族で食事するのも素敵ですね。

また関東地域では、富士山が見えるのは西向きのマンションです。

西向きのマンションをスムーズに売却する工夫

ここまで解説してきたように、西向きのマンションは、南向き・東向きと比べると不人気なため、売却する場合はそれなりの工夫が必要です。

売却活動を進めるにあたり、配慮すべきポイントを3つ紹介します。

売却時期は冬場がベスト

西向きマンション最大のメリットは、冬場の暖かさです。この長所をしっかりアピールするためにも、売却活動を行う時期は冬場を選ぶのが一番。言葉で説明するよりも、買主が体感することで長所を理解してもらえるからです。

逆に暑さの厳しい夏場の売却は避けるべきでしょう。

内覧は午後に設定する

冬場の温かさを体感してもらうためには、内覧を午後に設定する必要があります。

午後は、室内に日が差し込んで明るく、夕焼けもきれいに見られるなど、西向きマンションの長所が最大限に伝わる時間帯です。午後の内覧で売却を有利に進めましょう。

「買取」も選択肢に入れる

長所をアピールしても、西向きマンションがなかなか売れないというケースもあるかもしれません。その場合は、買取専門の不動産会社が、直接物件を買い取ってくれる「買取」も選択肢に入れて考えてみましょう。

買取専門の不動産会社は、買取後にマンションをリフォームし、新たな価値をつけて販売することで利益を得ます。「夏は暑い」という欠点を、住みやすい魅力的な物件へと生まれ変わらせることができるのも、リフォームで上手に解消できる知識を持っているからこそ。立地条件や築年数次第では、思った以上に高値で買い取ってもらえる可能性があります。

まとめ

西向きマンションをスムーズに売却するためには、「夏場の暑さ」という欠点だけがフォーカスされないよう工夫することが大切です。

断熱性の高いマンションであれば、むしろ西向きならでは利点があるなど、メリットをしっかり購入希望者にアピールしましょう。また、冬場の暖かさや室内の明るさを体感してもらうためにも、内覧を冬の午後に設定することも忘れないでください。

西向きは不人気、売れない、といった声に惑わされず、魅力を最大限にアピールして積極的に売却活動を展開していきましょう。

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著者
西向きマンションは売却しづらい?方角ごとの特徴と金額の関係〜その2

札幌手稲店 野口 祥子

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