相続や名義のこと2022.04.18

親の家を兄弟で相続。遺産分割にはどんな方法がある?〜前編

遺産相続でよくあるトラブルが、実家の戸建てをどう分けるかで兄弟が揉めるというパターンです。金銭であれば簡単に分割できますが、不動産の場合は平等に分けるのが難しいためです。

普段は仲の良い兄弟姉妹でも、相続が原因で仲違いするケースは決して珍しくありません。本記事では、2人の息子が実家を相続するケースを想定し、事前に知っておきたい4つの分割方法について解説。「相続」が「争続」にならないよう、知識を身につけておきましょう。

子どもが2人兄弟の場合の法定相続分

民法で定められた相続人を法定相続人(ほうていそうぞくにん)といい、相続人になれるのは、被相続人の配偶者と血族(けつぞく:亡くなった人の血縁者)です。相続には順位があります。配偶者は必ず相続人となり、血族は優先順位が高い人が相続人になります。

血族の優先順位は、第1順位は子、第2順位は親、第3順位は兄弟姉妹となり、第1順位がいなければ第2順位が相続、第1・2順位もいなければ第3順位が相続人になるのがルール。先順位の人がいれば、それ以降の順位の人は相続人になれません。また、同じ順位の人が複数いる場合は全員が相続人となるため、例えば、子が2人兄弟であれば2人とも相続人になります。

 

法定相続分とは?

法定相続分とは、各相続人がどの程度の相続財産を受けとれるか、法律上定められた取り分(割合)のことです。

被相続人に配偶者がいない場合、第1順位の子がすべてを相続します。子が2人兄弟の場合は、長男と次男が1/2ずつ相続するのが基本です。

親の遺産を法定相続分以外で相続するケース

法定相続分であれば、子である兄弟の相続割合は平等です。しかし法定相続分とは異なる分割割合にする方法もあり、その場合は平等にならないことがあります。次の3つのようなケースです。

1)遺言がある

遺言(ゆいごん・いごん)は、故人が生前に自分の意思で自分の財産について誰に何を遺したいのかを決める方法で、法定相続分よりも優先されます。例えば「自宅の土地・建物は長男に、現金は次男に」といった遺言があれば、基本的にその通りに遺産が分けられます。
しかし、中には「全財産を長男に譲る」という遺言もあります。2人兄弟の場合、次男は何ももらえないことになるため、次男が主張すれば遺留分(いりゅうぶん)は保証されます。
【遺留分とは?】
法定相続人が最低限相続できる財産の割合のこと。たとえ「全財産は長男に」のような遺言があっても、長男以外の相続人にも遺産の一定割合の取得が保証されているのです。相続人が子である兄弟2人だけの場合は、長男と次男の遺留分はそれぞれ1/4です。

2)寄与分がある

寄与分(きよぶん)とは、亡くなった方の財産の維持や管理に特別な貢献をした人がいる場合、その貢献(寄与)分を優遇する制度のことです。
例えば、長男が親の事業を手伝って財産形成に貢献したり、介護費用を負担していた場合は、法定相続分のほかに寄与分が認められ、長男の相続財産が増える可能性があります。

3)特別受益がある

特別受益(とくべつじゅえき)とは、亡くなった方から特別に生前贈与や遺贈を受けた相続人がいる場合に、その相続人が受けた利益のことをいいます。
共同相続人のうち長男だけが、被相続人から生前に住宅購入資金の援助を受けているようなケースは、「長男に対して特別受益があった」とみなされる可能性があります。

一部の相続人だけが故人から多額の贈与を受けているのに、それを考慮せずに遺産を分割すると、ほかの相続人にとっては不公平です。そこで、相続人同士の公平を図るため、その利益を「相続分の前渡し」と考えて相続分から控除して相続財産を算定します。

〈計算例〉
被相続人(親)の遺産1,000万円、相続人は長男・次男の2人のみで、長男が500万円の生前贈与を受けていた場合

STEP1/遺産分割の対象となる「みなし財産」を算出
相続時の財産+特別受益とされる生前贈与額=みなし相続財産
1,000万円+500万円=1,500万円

STEP2/各相続人の相続分を計算
長男の相続分(特別受益あり):みなし相続財産 × 法定相続分 − 特別受益の財産額
1,500万円 × 1/2 − 500万円= 250万円

次男の相続分(特別受益なし):みなし相続財産 × 法定相続分
1,500万円 × 1/2 = 750万円

このように特別受益を考慮した計算方法を「特別受益の持ち戻し」といい、相続人同士の公平を図るものです。しかし、もし遺言書に「長男の特別受益を持ち戻すことを免除する」など、特別扱いする意思表示があった場合には、遺言に書かれていることが優先されます。

次回は、兄弟が実家を相続した時にとれる4つの遺産分割方法について解説します。

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著者
親の家を兄弟で相続。遺産分割にはどんな方法がある?〜前編

札幌手稲店 野口 祥子

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