相続や名義のこと2021.12.16
私道を相続した。問題点や注意点が知りたい
不動産には土地や建物、環境によってさまざまな条件がや制約があります。
不動産を相続するときには、その条件をよく理解して進めなくてはいけませんが、その条件による注意点を見つけることは難しいでしょう。
例えば、相続した不動産に私道が含まれている場合、どのような問題点や注意点があるのか?
今回は、私道を相続した場合のポイントについてご紹介します。
私道とは?
「私道」という言葉は、耳にしたことがある方も多いでしょう。
道路とは誰もが通ることができる通路ですが、通常は国や地方公共団体が所有者です。
しかし、通常の道路のように誰でも通ることできますが、所有者が個人となっているものを「私道」と言います。
ここでは、私道の用途を2パターンご紹介します。
①一般的な道路として公共に使われる道路
②住宅地の袋小路のような道路で特定の人しか出入りしない道路
一般的な道路として公共に使われる道路
多くの方が知らず知らずの内に通っている道路です。
例えば、公共施設や街中に繋がる道路、公道から脇道に入った道路など、よく普通に使っている細道のケースが多いでしょう。
住宅地の袋小路のような道路で特定の人しか出入りしない道路
よく住宅街で見受けられる環境ですが、住宅に囲まれてそこから先に通り抜けできない道路です。
最近は、ひとつのまとまった土地に複数の建売住宅を建築し、販売するケースがあります。
そのような場合、住んでいる特定の人しか出入りしないような私道が含まれます。
私道を相続するときの注意点
私道を相続するときに2つの注意点があります。
①相続した土地に私道が含まれているか確認すること
②相続税、固定資産税はどうなるか考慮すること
相続した土地に私道が含まれているか確認する
まずは、土地に私道が含まれているか確認する必要があります。
故人から私道の有無を伝えられていれば良いのですが、私道について何も知らされていないというケースも珍しくありません。
私道であるか否かは、「登記簿」「課税通知書」「公図」で確認することが可能です。
登記簿は法務局で取得することができ、課税通知書は毎年の固定資産税の納税通知書を意味します。
公図も法務局で確認することができ、費用は少しかかりますが地図上で明確な所有者がわかります。
相続の土地に私道があるかどうかによって、税金が変わる場合もあるので最初にしっかりと調べておくと良いでしょう。
相続税、固定資産税はどうなるか考慮する
課税条件は市区町村で変わるケースもありますが、固定資産税が非課税の場合でも相続税は発生するケースがあります。
不特定多数の人が通る一般的な公共用の私道の場合は、固定資産税が非課税となることが多いです。
しかし、相続税となると特定者しか通らない道に該当し、課税対象に入ってしまうことがあります。
私道の登記漏れに要注意
私道の注意点は税金だけでなく、登記にも漏れがないよう注意する必要があります。
不動産の所有者移転登記は義務ではないのですが、登記漏れがあるとトラブルの要因となりかねません。
例えば、不動産を売却したい時に、移転登記ができていないと売却することができません。
将来的に売却を視野に入れている場合には、忘れずに移転登記をしておきましょう。
また、売却だけでなく再建築に影響が出る可能性もあります。
建築基準法では、建築物の敷地が建築基準法上の道路に接していなければなりません。
私道について所有権の移転登記ができていないと、建築基準法上の道路(公道)に接していない状態になる恐れがあり、再建築できない土地となってしまいます。
売却もしにくく、新しい建物が建てられない土地ではもったいないので、早めに手続きを済ませておきましょう。
不動産の相続は確認や手続きを怠ると後々影響してきます
不動産の相続は、運用や税金など考えることがたくさんありますが、私道についてもよく理解しておくことが大切です。
税金の問題はもちろん、後々の将来的な売却にも影響がでてくる可能性があります。
トラブルにならないためにも、確認や手続きを忘れずに行いましょう。