相続や名義のこと2026.01.29
相続した不動産を現金化する方法とは?かかる費用や注意点も解説
こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の枝久保です。
「相続した不動産を現金化したいけど、どうすれば良いか知りたい」
「現金化の手続きには、費用や税金はどのくらいかかるのだろう?」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
相続した不動産は売却して現金化することもできますが、方法や注意点を知らないまま進めると、思わぬトラブルや負担につながることがあります。
一方で、事前に全体像を整理しておけば、自分に合った形で現金化を進めることも可能です。
今回のコラムでは、相続不動産を現金化する方法や、かかる費用・税金を整理しながら、メリット・デメリットや注意点について解説します。

相続した不動産を現金化する方法と分割の考え方
相続した不動産を現金化する主な方法と、あわせて知っておきたい相続不動産の分割の考え方を、順にご紹介しましょう。
相続した不動産を現金化する方法
相続した不動産を現金化する方法は、主に下記の3つがあります。
①仲介による売却
売却までにある程度時間の余裕があり、できるだけ高く売りたい場合に選ばれる方法です。
市場相場に近い価格で売却できる可能性がある一方、買い手が見つかるまでに時間がかかることもあります。
②不動産会社による買取
相続税の納付期限が迫っているなど、早期に現金化したい場合に向いている方法です。
仲介売却と比べて価格は下がりやすいものの、売却活動が不要なため、短期間で売却しやすい点が特徴です。
仲介と買取の違いは「不動産の売却方法、仲介と買取の違いや特徴とは?」で詳しく解説しています。
③共有持分のみの売却
相続人が複数いて不動産をまとめて売却できない場合に、自分の持分のみを売却する方法です。
買い手が限定されやすく、売却価格が相場より低くなる傾向があるため、慎重な判断が必要です。
相続不動産の分割の考え方
相続した不動産を売却し、その売却代金を相続人で分ける場合、この方法は「換価分割」と呼ばれます。
換価分割は、相続における分割方法の一つで、次の3つの分割方法のなかに含まれます。
- 現物分割:不動産をそのまま相続人に分ける
- 代償分割:特定の相続人が不動産を取得し、ほかの相続人に代償金を支払う
- 換価分割:不動産を売却し、売却代金を相続人で分ける
分割方法については「相続した不動産を遺産分割する方法は?それぞれの特徴や注意点も。」で詳しくお伝えしていますので、あわせてご参照ください。
換価分割による現金化の基本的な流れ
不動産を所有したい相続人がいない場合は、「換価分割」によって相続不動産を現金化していきます。
その場合、一般的には次のような流れで進みます。
- 相続登記:不動産の名義を相続人へ変更する手続きを行う
- 不動産の査定:売却価格の目安を把握する
- 売却活動:仲介や買取による売却手続きを行う
- 売却代金の分配:相続人で売却代金を分ける
仲介の流れは「不動産売却の手続き、その流れと押さえたいポイント」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参考にしてください。
なお、相続登記は2024年(令和6年)4月から義務化されており、相続開始および相続人であることを知った日から3年以内に手続きを行う必要があります。
不動産を売却して現金化する場合は、早めに登記手続きを済ませておくことが重要です。
相続した不動産を現金化する際にかかる費用は?
相続した不動産を現金化する際には、売却代金がそのまま全額手元に残るわけではありません。
相続登記や売却手続き、税金など、いくつかの費用が発生するため、事前に「どのような費用がかかるのか」を把握しておくと安心です。
ここでは、主に発生しやすい費用や、税金について整理して紹介します。
①相続登記にかかる費用
相続した不動産を売却するためには、まず相続登記を行い、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する必要があります。
相続登記に際しては、主に下記の費用がかかります。
- 登録免許税:不動産の固定資産税評価額×0.4%
- 各必要書類(戸籍謄本など)の取得費用:2,000円程度
- 司法書士への報酬(依頼する場合):5~10万円程度
②不動産売却時にかかる費用
売却方法には主に仲介と買取がありますが、仲介売却を例に挙げると、主に次のような費用がかかります。
- 仲介手数料:仲介した不動産会社への成功報酬
- 売買契約書にかかる印紙税:契約金額に応じた印紙税が課される
仲介手数料は法律で上限が定められており、売却価格が400万円を超える場合は、「売却価格×3%+6万円+消費税」が上限となります。
なお、不動産会社による買取を利用する場合は、仲介手数料は発生しません。
③売却益が出た場合にかかる譲渡所得税
売却価格が取得費や売却費用を上回った場合、その利益「譲渡所得」に対して譲渡所得税が課されます。
簡単にまとめると、下記のような考え方で税額を求めます。
- 譲渡所得額 = 売却価格 − 取得費(購入した際の代金や取得時の費用など) − 売却費用
- 譲渡所得税額 = 譲渡所得額 × 取得期間(5年超か5年以下)に応じた税率
なお、相続不動産の場合、取得費や取得時期は被相続人がその不動産を取得したときの内容を引き継いで計算します。
譲渡所得税の詳しい計算方法や税率については、「不動産売却時の譲渡所得税とは?仕組みや計算方法など詳しく解説」で解説しています。
譲渡所得税は「特例」の利用で負担軽減できるケースもある
譲渡所得税については、税制特例を利用することで、課税負担を軽減できる可能性があります。
代表的なものとして、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」があります。
売却時期や不動産の状態など、一定の要件を満たすことで、譲渡所得額から最高3,000万円まで控除できるという内容です。
特例の適用を検討する場合は、事前に要件を確認しておくことが重要です。
相続した不動産を現金化するメリット・デメリット
相続不動産の現金化には、メリットもあれば、知らずに進めてしまうと後悔につながるデメリットもありますので、それぞれ確認しておきましょう。
相続不動産を現金化するメリット
相続不動産を現金化するメリットは、下記の通りです。
①現金で公平に分けやすい
不動産は形のある資産のため、相続人が複数いる場合に平等に分けることが難しいです。
売却して現金にすれば、相続割合に応じて分配しやすく、相続人同士の認識のズレやトラブルを防ぎやすくなります。
②固定資産税や管理の負担から解放される
不動産を所有している限り、固定資産税の支払いや建物・敷地の管理が必要になります。
現金化することで、こうした継続的な負担や手間を手放せる点も大きなメリットです。
③相続税の納税資金を確保しやすい
相続税は原則として金銭(現金)で納付する必要があります。
不動産を売却して現金を確保しておけば、納税資金に充てやすく、資金繰りの不安を軽減できます。
④資産の使い道を柔軟に選べる
現金は用途の自由度が高く、生活費や将来の備えなど、状況に応じた活用が可能です。
不動産をそのまま保有する場合と比べて、資産の流動性が高まります。
相続不動産を現金化するデメリット・注意点
一方で、相続不動産の現金化には注意しておきたい点もあります。
①売却までに時間がかかる場合がある
立地条件や物件の状態によっては、買い手が見つかるまでに時間を要することがあります。
特に地方の物件や築年数の古い建物では、想定より売却期間が長引くケースもあります。
②売却に伴う費用や税金が発生する
仲介手数料や譲渡所得税など、売却に伴って一定の費用や税金が差し引かれます。
そのため、手元に残る金額は売却価格よりも少なくなる点を把握しておく必要があります。
③思い出のある不動産を手放すことになる
実家など、思い入れのある不動産を売却することに心理的な負担を感じる相続人もいます。
親族、家族間でよく話し合うことが大切です。
④不動産のまま相続することで使える特例が適用できなくなる場合がある
「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」など、不動産を保有したまま相続することで適用される税制優遇があります。
現金化するとこれらの特例が使えなくなり、結果として相続税負担が増えるケースもあるため注意が必要です。
相続不動産の現金化で失敗しないための注意点と判断ポイント

相続不動産を現金化する際には、失敗しないために最低限押さえておくべき注意点がありますので、一つずつ確認しておきましょう。
①換価分割に際し、相続人間でのトラブル回避策を講じる必要がある
相続不動産を売却して代金を分ける「換価分割」を行う場合は、次の2点を事前にしっかり押さえておくことが重要です。
- 遺産分割協議書に「換価分割のために不動産を売却する」ことを明確に記載する
- 売却手続きの進め方や代表者について、相続人全員の合意を得ておく
遺産分割協議書に換価分割であることを明記せずに売却代金を分配すると、相続ではなく贈与と判断され、贈与税が課される可能性があります。
また、認識の違いを残したまま進めてしまうと、後から不満やトラブルが生じかねません。
売却活動を誰が主導するのか、どのような条件で売却を進めるのかについても、事前に相続人全員で合意しておくことが大切です。
②相続不動産の条件によっては、売却が進みにくいケースもある
相続した不動産の条件によっては、仲介による売却が思うように進まないこともあります。
その場合は、状況に応じた別の選択肢を検討することが重要です。
例えば、不動産会社による買取を利用すれば、売却価格は下がりやすいものの、すぐに現金化できる可能性があります。
また、境界が不明確な土地であれば測量を行う、建物の老朽化が進んでいる場合は解体を含めて検討するなど、条件を整理することで売却しやすくなるケースもあります。
いずれの場合も、不動産会社や専門家に相談しながら進めることで、現実的な選択肢が見えてくるでしょう。
③現金化するか、不動産のまま相続するかは慎重に判断する
相続不動産を現金化するか、それとも不動産のまま相続するかは、状況によって判断が異なります。
一概にどちらが正解とはいえないため、次のポイントを整理しながら検討することが大切です。
- 家族構成や相続人の人数
- 資産状況や相続税の納税資金の必要性
- 将来の利用予定の有無
- 維持管理の負担や距離的な問題
例えば、相続人が複数いる場合や、将来的な利用予定がない場合には、現金化が有利な選択肢となることもあります。
まとめ
●相続した不動産の現金化方法は複数ある
相続不動産を現金化する方法には、仲介による売却、不動産会社による買取、共有持分のみの売却などがあります。
換価分割は、相続人が複数いる場合に分けやすい方法です。
●相続不動産の現金化には費用や税金が発生する
相続登記費用、仲介手数料、売却益が出た場合の譲渡所得税などがかかります。
条件によっては特例を活用できる場合もあるため、事前確認が重要です。
●相続不動産の現金化前にメリットとデメリットを確認し、判断しよう
相続不動産の現金化には分けやすさや管理負担の軽減といったメリットがある一方、費用や税負担が生じる点には注意が必要です。
●相続不動産の現金化は注意点を押さえて慎重に進めよう
相続人間の合意形成が不十分だとトラブルにつながるおそれがあります。
換価分割を行う場合は、遺産分割協議書への明記など、事前の取り決めを行いましょう。
北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
著者
小樽店 枝久保 良太私は生まれも育ちも小樽です。愛着あるこの地域に貢献したいと考え日々仕事に取り組んでいます。 ここ小樽でも人口が年間約2000人ずつ減少している現状がありますが、観光入込客数が2025年には800万人を超えるなど明るい話題もあります。 環境変化は止まりませんが、どの時代でも対応する方法はあると感じます。絶えず変化する中でも不動産取引が活性化していくよう、地域の情報に詳しくなり、学びや経験から得た知識を元に適切なご提案をさせていただければと思います。
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