相続や名義のこと2024.05.16

親の家はどうする?相続前・相続後に分けて解説

こんにちは。イエステーション北章宅建 江別店の寺杣です。

高齢の親がいる場合、「将来的に親の家をどうするか」と心配されている方も多いのではないでしょうか。

親が老人ホームに入居するなどの事情で空き家になれば、すでに独立してほかに自宅を構えている場合は特に、「実家まで管理できない」と困ってしまうケースもあるでしょう。

今回のコラムでは、親の家の取り扱いについてどんな選択肢があるのか、相続前・相続後に分けて解説します。

売却の流れやポイントもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

親の家

 

高齢の親の家はどうする?

高齢の親が所有している持ち家がある場合、将来的に家を相続することが想定されます。

しかし、「相続したとしても自分たちは住まない」というケースも多く、空き家になった場合の管理について不安に感じる場合もあるでしょう。

そのため、「親が使わなくなったあと誰かが住む」ということでない限り、基本的には売却を念頭に置かれる方が多いです。

ただし、生前贈与や相続といった方法で名義を変更しない限り、家の名義人は親ですから、売却は親本人が行うか、親の意思のもとで行われる必要がある点にご注意ください。

 

親に判断能力がある場合は「代理人」として売却できる

名義人である親が売却するのが最もスムーズですが、名義人以外にも手続きはできます。

親に「売却したい」という気持ちがあり、なおかつ「子どもに代理で売却してもらいたい」と委任状を作成して代理権を証明すれば、売却が可能です。

委任状を用いて親名義のまま売却する方法については、下記のコラムにて解説していますので、ぜひあわせて参考にしてくださいね。
老人ホーム入居で自宅は売却すべき?親名義のまま売る方法も確認!

 

親の意思決定が難しい場合は「成年後見人」を立てて売却してもらう

親が認知症などで意思決定が難しい場合は、委任状での売却はできません。

委任状での売却は、最終的に名義人本人が、買い主や不動産会社と立ち会って、売却の意思をきちんと示す必要があるからです。

では、どうすれば売却できるかというと、「成年後見制度」を利用して、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらう方法があります。

成年後見人が家庭裁判所に売却を申請し、許可が下りたあと、売却手続きを開始する流れです。

成年後見人には、家庭裁判所が「本人に代わって法律行為をするのに最もふさわしい」と判断する人が選ばれます。
弁護士や司法書士などの専門家が選任される場合もあり、必ずしも家族や親族が選ばれるわけではないことに注意が必要です。

 

将来的に売却するなら「任意後見人」の手続きを取っておこう

今はまだ親が元気でも意思決定ができなくなったりする可能性がありますし、将来的に老人ホームに入居したり、子世帯と同居したりする場合もあるでしょう。

相続する予定のあなたに親の家を使う当てがないなら、上記の状況になる可能性を踏まえて、あらかじめ親に売却したい旨を伝え、将来に向けて協力してもらえるよう話し合っておくことをおすすめします。

特に、意思決定が難しくなる可能性については、不動産売買に限らず備えておくことが大切です。

先にお伝えした成年後見制度と異なり、親の判断能力があるうちに「任意後見制度」を利用すれば、任意で「〇〇に任せたい」と後見人を設定しておけます。

子どもが任意後見人になっておけば、監督人のもと、本人に代わって法律行為が行えます。

 

相続した親の家はどうする?

相続した親の家は、どうすれば良いのでしょうか。

一般的に、相続後に親の家をどう扱うかは、「売却する」「自分や家族、親族が住む」「収益物件として活用する」といった方法があります。

相続した親の家の活用方法や注意点を紹介します。

 

相続した親の家に住む予定がないなら売却しよう

すでに自宅があるなど、親の家に住む予定がない、使う当てがないなら売却をおすすめします。

家は所有しているだけで固定資産税や都市計画税といった税金がかかりますし、修理やメンテナンスなど管理費用がかかるからです。

家が必要ないなら相続放棄するという方法もありますが、被相続人の財産全てを引き継げなくなりますので、相続を完了してから売却したほうが良いでしょう。

誰も相続したくない場合の対処法は、「不動産の相続、いらないときはどうするの?手続きのポイントとは」で詳しく解説しています。

ただし、親の家で一緒に暮らしていたり、事実上管理しているような人は「現に占有している者」となり、相続放棄した場合も保存義務(管理義務)が残りますので、手続きが必要になる点にご注意ください。

 

親の家を残しておくなら誰かが住んでいる状態をキープしよう

親の家の所有を続ける場合は、なるべく誰かが住んでいる状態をキープしておくと、家の劣化が早まるのを防ぎやすいでしょう。

自分や家族が住んだり、賃貸物件として利用したりするのも良いですね。

駅から遠い、見た目が悪いなど、居住用や賃貸物件としての条件が良くない場合は、建物を解体して、駐車場などとして土地のみを利用する手立てもあります。

 

親の家を空き家として放置するのは避けよう

親の家を空き家にして所有する方法もありますが、定期的に管理したり、空き家管理業者に依頼したりして、放置することがないように気を付けてください。

放置した建物が劣化して損壊し、事故の原因になったり、庭が荒れて虫が湧いたりすると、周辺環境に悪影響を及ぼします。

見た目が荒廃すれば、犯罪の温床になりやすいという問題にも要注意です。

自治体に、放置するのは危険であると判断され、「特定空き家」に指定されれば、固定資産税の増税が科される可能性もあります。

空き家を放置するリスクは「空き家を放置するのはリスクが高い。リスク回避の解決方法とは?」で詳しく解説していますのであわせてご参考にしてください。

 

親の家を売却する流れと税金

親の家を売却する場合、不動産会社に仲介を依頼する際の一般的な流れは、次のとおりです。

1.売却を進めるための手続きを行う
2.不動産会社に査定を依頼する
3.不動産会社と媒介(仲介)契約を締結する
4.広告の掲載、内覧など販売活動を行う
5.買い主と不動産売買契約を結ぶ
6.売却代金の決済、物件の引き渡しを行う
7.確定申告を行う(売却益が出た場合)

基本的には一般的な売買取引の流れと同じですが、親名義のまま売却するなら、事前準備として、委任状の作成や、成年後見人の選任を家庭裁判所に申請する必要があります。

相続した家を売るなら、名義を親から自分へと変更する「相続登記※」を行わないと、売却が進められません。

※2024年(令和6年)4月1日、相続登記の申請が義務化されました。
詳しくは、法務省の「相続登記の申請義務化について」をご確認ください。

また、売却に関わり、次のような税金がかかります。

  • 相続した際 → 相続税
  • 売買契約書の作成時 → 印紙税
  • 住宅ローンを完済して「抵当権抹消登記」を行うとき → 登録免許税
  • 売却益「譲渡所得」が発生したとき → 譲渡所得税

譲渡所得税には、税負担を減らす特例措置がありますが、住まなくなってから3年経つと利用できないものもあるため、不要な家は早めに売却したほうがお得です。

売却に関わる税金、特例については下記のコラムで詳しく解説しています。
家を売却する時にかかる税金は?節税はできるの?

 

親の家をどうするか迷ったときのポイント

ポイント

「親の家を処分するのか、残しておくのか迷う」という場合は、次の3つのポイントを基準に判断するのがおすすめです。

  • 将来的に使う可能性があるか → 可能性があるなら残しておく
  • 親が売却についてどう思っているか → 賛成なら売却を進める
  • 物件の状態はどうか → 条件が良ければ賃貸に活用しやすい

誰も使う予定がなく、親が「売っても良い」と賛成しているなら売却が良いでしょう。

しかし、「老人ホームが合うかわからないから家を残しておきたい」「思い入れがあるから売りたくない」と親が希望しているなら、その意思を尊重すべきです。

住まない場合でも、空き家としてしっかり管理するか、良い立地条件であれば賃貸物件にするのも手段の一つですね。

売却する、賃貸に出すという場合は、より買い手が付きやすくするためリフォームする方法もありますが、「する・しない」のどちらが適切かは物件によります。

活用方法に迷う場合は、不動産のプロである不動産会社に気軽に相談してみましょう。

 

まとめ

●相続前に親の家を売るなら親の売却意思が必要
親の家をどうするか、一般的には、「売却する」「自分や家族が住む」「賃貸物件にする」といった選択肢があります。
親名義の家を売るには、親の売却意思が前提となり、委任状の用意が必要です。
意思決定が難しい場合は、成年後見制度を利用する方法があります。
いずれにしても、親が売っても良いと合意した場合に限り、有効です。無理に売却を進めることはできませんので、注意しましょう。

●相続後に親の家を使う予定がいないなら売却がおすすめ
税金や費用の負担がなくなるメリットがあるので、相続した親の家を使う予定がないなら売却しましょう。
残しておく場合は、空き家として放置するとリスクがあるため、定期的な管理や管理会社に任せるなどの手段を取ることが大切です。

北章宅建は、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。

 

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著者
親の家はどうする?相続前・相続後に分けて解説

江別店 寺杣 友紀出身は和歌山県ですが、生まれは札幌です。前職は自動車の営業をしておりました。不動産業界は全くの未経験で不慣れなことだらけですが、早く仕事を覚えてお客様のお役に立てれるよう努めます。精一杯頑張りますので宜しくお願い致します。

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