不動産売却のコツ2023.03.23

築50年超えの古い家は売れる?少しでも高く売るためのコツを解説〜その3

古い一戸建ては、築浅に比べるとどうしても売却しにくいものです。売却したい物件が築50年以上であれば、「果たして売れるのだろうか…」と不安に思うのも無理はないでしょう。しかし家の状態はメンテナンス次第で大きく異なり、同じ築50年超でも価値には差が出るものです。

前回までの記事では、まだ住める「家として価値がある物件」の場合と、劣化がひどく「家としての価値がない物件」の場合について、それぞれの売却方法を紹介しました。今回は、マイホームではなく、相続した古い家を売却する場合の税金対策について解説します。

古い家を相続して売却する場合の優遇税制

築50年以上の家を相続した場合、売却を考える方は多いでしょう。この場合、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の適用を受けることができます。

この特例は、相続または遺贈により取得した「被相続人居住用家屋」または「被相続人居住用家屋の敷地等」を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまる時は、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除を受けられる制度です。利用するにはどのような要件があるのか、詳しく見てみましょう。

〈対象となる居住用財産〉

対象となる「被相続人居住用家屋」は、相続開始の直前まで被相続人(亡くなった人)が居住用にしていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるものをいいます。
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・区分所有建物(マンション等)以外の家屋であること
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

なお、「被相続人居住用家屋の敷地等」は、相続開始の直前において、上記の被相続人居住用家屋の敷地や借地権のことです。築50年を超えている一戸建てで、かつ被相続人以外が住んだことがないなら、条件を満たしていると考えられます。

〈特例を受けるための適用要件〉

相続した不動産が特例の対象となる場合でも、実際に適用を受けるためには売却に際しても要件を満たしている必要があります。
・相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ特例適用期間である令和5年12月31日までに譲渡すること
・売却代金が1億円以下であること

さらに、建物付きでの売却か、更地にして土地だけを売却するのかにより、以下のように条件が異なります。

【建物付きで売却する場合】
・相続してから譲渡するまでの間、誰も住んでいないこと
・建物は譲渡の時に建築基準法の耐震基準に適合していること

【更地にしてから売却する場合】
・相続から取り壊し、譲渡するまでの間、誰も住んでいないこと
・取り壊しから譲渡までの間、建物や構造物の敷地として利用されていなかったこと

現在の耐震基準が定められたのは1981(昭和56)年なので、それ以前に建てられた家の多くは、耐震基準を満たしていないと考えられます。要件を満たすために耐震補強工事を行うと多額の費用がかかりますので、特例を利用した場合の節税効果と、特例を利用せずそのまま売却した場合の利益を比較検討することも必要でしょう。
相続した空き家の売却については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。

このように、築50年を超える家の売却方法にはいくつかの選択肢があります。どの方法で売却するのが良いか分からない方は、不動産会社に相談しながら進めていきましょう。

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著者
築50年超えの古い家は売れる?少しでも高く売るためのコツを解説〜その3

札幌手稲店 野口 祥子

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