不動産売却のコツ2024.10.24
自己破産時の不動産売却のタイミングとは?注意点も確認
こんにちは。イエステーション北章宅建 江別店の赤井です。
「自己破産をする場合、不動産売却はどのタイミングで行うべきなのだろう…」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?
結論から言いますと、破産手続開始後にはいくつかの例外を除き、不動産の売却は原則的に、破産管財人が行うのが一般的です。
自分で売却するメリットは多いため、自己破産前に行う検討をおすすめします。
今回のコラムでは、自己破産前に自分で不動産売却をするメリットに焦点を当て、売却のタイミングを解説します。
注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
自己破産とは?管財事件と同時廃止の内容も確認
自己破産とは、破産法に基づく債務整理の一種です。
具体的には、裁判所に「借金を返済できない状況にある」と申し立てて、返済不可能になった借金を法的に免除してもらうための手続きですね。
自己破産の手続きは、債務者の財産状況によって、大きく次の2つに分かれます。
- 管財事件
- 同時廃止
それぞれの特徴を見ていきましょう。
管財事件とは?破産管財人が選任される手続き
管財事件は、「処分可能な財産がある場合」に適用される手続きです。
同時廃止との大きな違いとしては、破産管財人が選任されるという点が挙げられるでしょう。
裁判所が破産管財人(通常は弁護士に依頼)を専任して、返済に充てられる現金や、換価できる財産を競売で処分し、借金の返済に充てるというわけです。
破産管財人を介する理由としては、債務者の財産を調査し、債権者への公平な配当を行うためですね。
不動産は処分可能な財産のなかでも、特に高額な部類に当てはまります。
自己破産をする場合に土地や家といった不動産を所有していれば、基本的には管財事件として手続きが進められるでしょう。
同時廃止とは?ほとんど財産がない場合に適用される簡易な手続き
一方、同時廃止は、ほとんど財産がない場合に適用される簡易な手続きです。
例えば、給与所得者で貯金もなく、財産があっても、家財道具程度しか所有していないケースが該当します。
管財事件とは違い、財産の現金化や債権者への配当が行われないため、裁判所が破産手続きを開始する際、同時に破産手続きが完了する(手続きが簡略化される)というのが大きな特徴です。
判断の目安としては、財産が20万円未満であれば同時廃止、20万円を超えると破産管財人が選任され、財産の現金化と、債権者への配当が行なわれる可能性が高いと言えます。
管財事件は債務者にとって負担が大きい
自己破産の申し立てをしてしまうと、不動産の処分行為は破産管財人の役割となり、原則的には債務者が売却を行うことはできなくなってしまいます。
管財事件は同時廃止と比較して、債務者にとってより負担の大きい手続きです。
債務者は以下のようなデメリットや、負担を抱えることになる点を知っておきましょう。
- 手続期間が長期化しやすい(数カ月から1年程度)
- 高額な予納金(20万円以上)の納付が必要である
- 定期的に裁判所を訪れる必要がある(債権者集会への出席)
- 財産の競売情報が公開されるため、プライバシーが守られにくい など
自己破産前に自分で不動産売却をするメリット
自己破産前に自分で不動産売却をしておくと、大きく分けて、下記の3つのメリットがあります。
- 同時廃止になる可能性が高まる
- より高額での売却が期待でき、誠実性の証明にもなる
- 売却代金を柔軟に分配しやすい
1つずつ確認していきましょう。
同時廃止になる可能性が高まる
あらかじめ土地や建物などを売っておけば、高額な不動産の所有がなくなりますので、同時廃止になる可能性が高まります。
前のブロックでお伝えした、管財事件のデメリットを回避できるということです。
高額な予納金の支払いや長期の手続き期間、定期的な裁判所への出頭などの負担を軽減できます。
個人情報の保護にもつながるでしょう。
より高額での売却が期待でき、誠実性の証明にもなる
自己破産前の売却では、一般的に競売よりも3〜4割ほど高値で売れる傾向があります。
つまり、より高く売れて、より多くの債務返済ができるということです。
自ら不動産を売却し、できる限り債務を返済しようとする姿勢は、「借りたものは返す」という誠実性の証明にもなります。
結果として、裁判所や債権者からの評価が高まり、破産手続きがよりスムーズに進む可能性が期待できるでしょう。
売却代金を柔軟に分配しやすい
管財事件になると、不動産売却益から管財費用や債権者への返済が優先されるため、実際に手元に残る金額が少なくなる可能性があります。
自己破産前に自ら不動産を売却することで、この問題を回避し、売却代金の使途をより柔軟に決めやすくなります。
例えば、以下のような分配が可能です。
- 住宅ローン返済や諸費用の支払い
- 売却費用の支払い
- 弁護士費用、自己破産の手続き費用
- 99万円の自由財産としての確保
- 残額を債権者への返済に充当
自由財産というのは、自己破産しても99万円までの現金は、生活再建のために手元に残せるというものです。
自己破産前の売却では、必要な費用を支払った後でも、自由財産を確実に確保しやすくなります。
新生活のための資金を確保しつつ、債務の返済も行うことができ、より円滑な生活再建が可能になるメリットがあるのです。
自己破産時の不動産売却の違いはローンの有無も関係する
自己破産をする際は、住宅ローンの有無によって不動産売却の方法が異なります。
ローンをすでに完済していたり、売却金額で完済できたりする場合は、通常の不動産売却と同じ流れのため心配する必要はないでしょう。
しかし、売却金額では住宅ローン残債を完済できない状況である「オーバーローン」の場合は、通常の方法での売却は困難です。
抵当権が設定されているため、売却することができません。
ではどうすれば良いかというと、選択肢としては「任意売却」が挙げられます。
任意売却とは、金融機関の承諾を得て、抵当権を解除してもらい不動産を売却する方法です。
ローンが残っていても不動産を売却することが可能になります。
任意売却の具体的な内容や、注意点については、下記のコラムで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
任意売却はどんな売却方法?通常の売却との違いが知りたい
任意売却するなら誰に相談すべき?相談先別のメリット・デメリットも
自己破産前に自分で不動産売却をする際の注意点
自己破産前の不動産売却は、メリットがある一方でリスクも伴うため、慎重に進めなければならない側面もあります。
まず、自己破産直前の売却は「財産隠し」と疑われる可能性があり、債権者からの信頼を失うおそれがある点です。
また、売却益を不適切に使用したり、意図的に安値で売却したりすると、意図的に債権者の利益を損なったとして、詐欺破産罪に問われる可能性も。
上記の行為に該当すると判断されてしまうと、自己破産後も債務が免除されない「免責不許可」になるリスクがあるため、疑われないように安全策を講じることが大切です。
例えば、不動産鑑定書などを用意し、適正価格での売却を証明したり、売却益は債務返済や生活再建資金にのみ使用し、その意図や経緯を明確に説明できるようにしておいたり、といったことが挙げられます。
売却を進めるにあたっては、弁護士や不動産会社など、法律や不動産売却の専門家に相談しながら、慎重に進めることをおすすめします。
まとめ
●自己破産は「管財事件」と「同時廃止」の2つに分かれる
自己破産は債務整理の一種で、管財事件と同時廃止に分かれます。
管財事件は財産がある場合、同時廃止は財産がほとんどない場合に適用されます。
●自己破産前の不動産売却のメリット
自己破産前に不動産を売却すると、同時廃止の可能性が高まり、高額売却や柔軟な資金分配が期待できます。
●自己破産時はローンの有無によって売却方法に違いがある
ローン完済済みの場合の流れは、自己破産時であっても通常の売却と同じです。
オーバーローンの場合は、選択肢として任意売却を検討してみましょう。
●自己破産前に自分で不動産売却をする際は慎重に検討を
自分で不動産売却を行う場合は、財産隠しの疑いを避け、適正価格での売却を証明することが重要です。
リスクの低減には、専門家に相談しながら慎重に進めることをおすすめします。
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著者
江別店 赤井 圭一出会うお客様は一人一人違う想いを持っていらっしゃると思います。それぞれのお客様に共感し、最後には「任せて良かった」とご納得していただける様日々取り組んで参ります。 空知エリアの不動産に関する事は私にお任せください。
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