不動産売却のコツ2021.12.16
不動産の親族間売買についての疑問点を解決
不動産を親族間で売買するケースは、例えば親から子へ、または兄弟間、親戚間という場合が当てはまります。
相続対策や遺産相続の関係で、このような親族間売買になることも珍しくありません。
しかし、親族間売買で気を付けなくてはいけないのが、不動産の売買には「贈与」と「売却」があるということ。
「不動産価格で売買しているから贈与ではない」と思っているかもしれませんが、金額が発生していても贈与になってしまうケースもあります。
今回は、不動産の親族間売買についてご紹介します。
不動産を親族で売買する時の注意点とは!?
不動産の売買の相手が、第三者であっても親族であっても売却には変わりありませんが、問題なのは、その価格設定にあります。
第三者との売買の場合には、売り主は1円でも高い価格で売却したい。
買い主は、1円でも安い価格で購入したいというのが通常でしょう。
しかし、親族間売買となると、売り主も高く売りたいという気持ちではないことから、適正価格で売買が行われないケースが出てきてしまいます。
売買価格は、売り主と買い主の合意によって決まりますが、親族間だとその価格設定が低くなってしまう傾向です。
このような場合に、売買としては成立しているのですが、通常の売買価格との差額は「みなし贈与」とされてしまう場合があります。
例えば、通常の売買では5,000万円程度が相場の物件の場合、1,000万円で親族間売買をすると4,000万円得をしたということになってしまいます。
このような場合、贈与税が別でかかってくるので、結果負担は大きなものとなってくるでしょう。
ある程度、相場の範囲内での売買であれば問題ありませんが、著しく低い価格での売買をした場合には注意をしなくてはいけません。
安く購入した分の差額は、購入者が得をしたとみなされてしまい、売買をしたのに贈与税が発生することになってしまいます。
みなし贈与は、相続税法第7条で定められており、不動産価格の設定についてはよく注意する必要があります。
親族間売買で適正価格を決めるポイント
親族間での価格設定を決めることは難しいことですが、第三者との売買と同じ価格設定で売買することが、贈与税が課税されないためのルールとなります。
ただし、親族間の価格設定の基準は明確に決まっているものではなく、4つのポイントが目安とされています。
① 不動産業者による適正価格で売買
② 不動産鑑定価格による売買
③ 路線価の1.25倍で設定する
④ 路線価にそのまま従う
不動産業者や不動産鑑定士に、査定をしてもらうことも有力な方法ですが、査定価格は高くなりがちです。
そのため、親族間売買の売り主の心情にはなかなか合わせにくいでしょう。
また、路線価を基準にした価格設定であれば、実際に公表されているエリアの相場価格に等しいものであり、適正価格から大きくかけ離れたものにはなりにくいです。
親族間売買を相談する場合
親族間の売買だとしても、不動産の場合には所有者の登記や契約書の作成があるため個人間での取引が難しいのが実情です。
そして、贈与税の課税がないよう適正価格の設定についても専門的な知識が必要となります。
基本的には、契約書の作成や登記手続きは司法書士へ依頼します。
適正価格の判断については税理士への相談が良いでしょう。
また、住宅ローンを組む場合には、金融機関から重要事項説明書などの提示を求められるため、不動産仲介業者が間に入る必要が出てきます。
その場合、買い主側と売り主側の両方から、不動産会社に支払う仲介手数料が発生してくるのでよく覚えておきましょう。
親族間でも適正価格での売却を検討しましょう
親族間の売買は、安易に進めてしまうと贈与税の対象となってしまい、余計な費用がかさんでしまうということになりかねません。
売り主としては、親族だから安く譲りたいという気持ちはありますが、税金の発生も視野に入れて適正な価格で売買できるように準備しましょう。
また、不動産は専門知識が必要になることが多くあるので、専門家に相談することも後々失敗しない方法です。