不動産売却のコツ2024.10.04
「老後に家を売ってはいけない」は本当?売却のメリットや注意点を確認
こんにちは。イエステーション北章宅建 小樽店の小林です。
「老後に家を売ってはいけないと聞いたことがある…」
「売却を検討中だけど、本当ならやめた方が良いのだろうか?」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?
結論から言いますと、老後だから売却を控えるべきなのではなく、老後のタイミングに起こりうるデメリットが考えられるため、「売却を慎重に行う必要がある」というだけなのです。
今回のコラムでは、「老後に家を売ってはいけない」といわれる理由について解説します。
家を売るメリットや注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「老後に家を売ってはいけない」というのは本当?
冒頭でもお伝えした通り、「老後に家を売ってはいけない」といわれるのは、老後のタイミングで家を売ると、起こりうるデメリットが想定されるからです。
「老後の売却がダメ」なのではなく、「老後ならではの不都合を見据えて、売却を慎重に検討しよう」という注意喚起と捉えたほうが良いでしょう。
では、老後に家を売却する場合、どんな点に気を付ける必要があるのでしょうか。
老後に家を売るデメリット①賃貸物件を借りにくい傾向がある
まず挙げられる点として、老後は現役時代と比べて、賃貸物件を借りにくい傾向があります。
老後は年金で生活される方も多く、「安定した収入が少ない=家賃の支払い能力が低い」とみなされる可能性があるのです。
また、病気のリスクなど健康面の心配があり、特に1人で入居希望される場合は、孤独死などの懸念から入居審査に通らないケースもあるでしょう。
そのため、「売却後は賃貸に住めば良い」と簡単に考えていると、なかなか希望の住み替え先が見つからない、といった事態に陥る可能性も。
「売却だけでなく、新居探しも早いうちに計画立てておこう」
「高齢者向けの賃貸物件だと、大家の理解が得やすいかもしれない」
上記のように、「賃貸探しが難しい可能性」を踏まえて対策を講じつつ、売却を行うことが大切です。
老後に家を売るデメリット②子どもが相続を考えている可能性がある
老後の売却では、子どもが相続を視野に入れ「将来は実家に戻ろう」などと将来設計を立てている可能性も考慮する必要があります。
相談なしに売却してしまうと、トラブルにつながるおそれがあるからです。
売却したい思いがあることを事前に伝え、相談しておくことをおすすめします。
老後に家を売るデメリット③新しい環境に適応するまで時間がかかるケースがある
新生活をスタートする際、人によっては新しい環境に慣れる時間を要したり、急な変化に対応できず、ストレスに感じたりする可能性も想定しておくことが大切です。
個人差はあるものの、学校や仕事を通じて人間関係を構築しやすい現役世代と老後の生活は異なり、社会的なつながりが築きにくい側面があります。
住み慣れた場所や親しみあるご近所の方から離れることになるので、「寂しくなるだろう」「不便に感じるかもしれない」と心身への影響を考慮しておきましょう。
老後に家を売るメリットもたくさんある
老後に家を売るなら、デメリットを考慮した上で行いましょう。
むしろ老後に家を売るメリットは、下記のようにいくつもあります。
老後に家を売るメリット①まとまった資金が得られる
家を売れば、まとまった現金を手に入れられます。
生活資金の助けにもなりますし、老人ホームなど施設の入居を考えているなら入居費用などにも充てられるので、貯金を切り崩す必要もありません。
老後に家を売るメリット②維持管理の手間や費用がかからない
ご夫婦や1人暮らしをされている方のなかには、「広い家のメンテナンスが大変だから手放したい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
売却で持ち家を手放すことになれば、土地や建物の維持管理の手間はもちろん、所有にかかる固定資産税・都市計画税といった税金、メンテナンス費用の負担から解放されます。
老後に家を売るメリット③より希望にあった住まい探しができる
「古い家だから、老後の身には暮らしにくい」という場合もあるでしょう。
手すりの設置やヒートショック対策など、バリアフリー化を施した家に住みたいと希望される方も多いはず。
現在の住まいをリフォームするよりも、高齢者向けの住宅に住み替えたほうが、低コストで希望の住まい探しがしやすいメリットもあります。
老後に家を売るメリット④相続時に公平に分割しやすい
将来的な居住希望がないならば、複数の相続人で遺産を分配する際、現金化していたほうが公平に分割しやすいという利点もありますよ。
相続時のトラブルの芽を、生前になるべく摘んでおきたい場合はぜひ検討してみましょう。
相続を踏まえた不動産の取り扱いは「終活は不動産をどうするかも考えよう!考えるべき理由も解説」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
老後に家を売るならこんなポイントに注意
老後に家を売る場合は、次の3点にご注意ください。
- 売却したい旨を家族に相談する
- 住み替え先の計画もしっかり立てておく
- なるべく住宅ローンは避ける
まず大切なポイントとして、ご家族がいる場合は、具体的な売却手続きに入る前に、家を売りたい希望があることを相談しておきましょう。
将来的に子どもが居住を希望するなら、売却ではなく所有を続け、賃貸に出すという選択肢も取れます。
加えて、売却の意思を伝えていれば、万が一認知症になってしまった場合に、親の財産管理の透明性が高まり、相続に関するリスクを軽減しやすい利点もあります。
家の所有を継続する場合の方法や、親が認知症になった場合の対処法は、それぞれ下記のコラムで解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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そして、新居の確保が難しい可能性があるため、売却と平行して住み替え先の計画も進めておくことも大切です。
病院やスーパーなど必要な施設があるかどうか周辺環境を調べたり、賃貸であれば家賃相場を不動産会社に確認したりしておくと、満足のいく住み替えにつながりやすいでしょう。
購入に際しては、月々の住宅ローン返済があると年金生活の負担になる可能性があるため、なるべく売却代金の金額内で買える物件を選ぶことをおすすめします。
老後の住まいにはどんな選択肢がある?
最後に、老後に家を売却したとして、住み替え先にはどんな選択肢があるのか確認しておきましょう。
選択肢としては、主に次の4つがあります。
- 新しく住まいを購入する
- 賃貸住宅を借りる
- 子どもと同居する
- 老人ホームなど施設に入居する
一般的な選択肢としては、一戸建てやマンションなど、購入あるいは賃貸した新居に住み替える方法を選ぶ方が多いでしょう。
近年では、バリアフリー化や便利な施設が併設された高齢者専用の住宅もあります。
老後の生活をより快適にしたい、同世代の人達と交流しつつ楽しく過ごしたい、賃貸物件探しに苦労したくないなどと希望される方は特に、検討してみてはいかがでしょうか。
子ども世帯と同居できる場合は、現在の住まいの売却金額で二世帯住宅を購入して住み替える方法もあります。
生活面に不安があり、サポートが必要だと考える場合は、老人ホームなど介護設備が整った施設へ入居する選択肢もあるでしょう。
選択にあたっては、個人の健康状態、経済状況、家族関係、生活スタイルなどを総合的に考慮することが重要ですね。
なお、今の住まいの売却を希望する理由が資金調達目的だけである場合は、「リースバック」や「リバースモーゲージ」という、売却した後も家に住み続けられる手段もあります。
リースバックとは、不動産会社に買い取ってもらった後に家を借りる方法で、リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関から資金調達できる方法です。
住み替え先の選択肢については、「定年後の住み替えはどうする?選択肢ごとのメリットや選ぶポイントを確認!」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参考にしてください。
まとめ
●「老後に家を売ってはいけない」わけではない
老後に家を売る場合は、賃貸物件を借りにくい傾向があったり、子どもが相続を考えている場合があったりといった、起こりうるデメリットを考慮する必要があります。
老後に家を売ってはいけないわけではなく、家族と相談するなどして「慎重に検討して行おう」という注意喚起であるとお考えください。
●老後に家を売るメリットはたくさんある
老後に家を売ることで、まとまった資金を得られ、老後の生活に適したより良い住まい探しをしやすくなるといったメリットがあります。
●老後に家を売るなら住み替え先の計画もしっかり立てておこう
老後に家を売却するなら、住み替え先の計画も並行して進めることが大事。
新居を買うか、賃貸を借りるか、施設に入居するかといった、現状の健康状態・経済状況などを総合的に考慮し、新居を買う、賃貸する、施設に入居するといった選択肢を検討してみてくださいね。
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