不動産売却の基礎知識2020.10.15

不動産売却で注意すべき瑕疵担保責任とは?責任への対策方法も解説

こんにちは!北章宅建 江別店の坂井です。

不動産を売却したとき、売主は物件を引き渡したあとも一定期間は物件の不具合に対して責任を負っています。
これを「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」といいます。

なかなか聞き慣れない難しい言葉ですね。
今回はこの、売主の瑕疵担保責任について解説します。

瑕疵担保責任とはどんなもので、売主はどんな責任を負っているのか、瑕疵担保責任で困ってしまわないための対策などをご紹介します。

家の積み木と人形と電卓

 

不動産売却で注意すべき「瑕疵担保責任」とは?

不動産の「瑕疵(かし)」とは、不動産の不具合や欠陥のこと。
瑕疵担保責任とは、物件の売却・引き渡した後も一定期間、売主は物件の不具合に対して責任を負うというルールです。

たとえば物件の引き渡し後に、天井に雨漏りがあることに気づいた場合。
瑕疵担保責任に基づいて、買主は修理にかかる費用を損害賠償として売主に請求することができます。

瑕疵に対して、売主の責任の有無は関係ありません。
売主は「物件を引き渡したあとのことは知りません」「そんな不具合があるなんて知らなかった」というわけにはいかないのです。

2020年4月1日の民法改正により、瑕疵担保責任は「契約不適合責任」に変わり、売主が負う責任の範囲がさらに拡大しました。
※本記事内では、便宜上「瑕疵担保責任」「瑕疵」という言葉も使用して説明します。

従来の瑕疵担保責任で、売主が責任を負うのは「隠れた瑕疵」に対してのみでした。
売却時に気づけなかった不具合に、引き渡したあとに気づいた場合が該当します。

しかし、契約不適合責任では「売却時に気づかなかった」「隠れた瑕疵」かどうかは関係ありません。
契約内容と異なるものを引き渡した場合、債務不履行として売主がその損害賠償の責任を負うというものとされます。

たとえば「不具合のない家を売却する」という契約内容なのに、引き渡した物件に雨漏りがあった場合は、契約不適合責任が適用されます。

瑕疵の具体的な内容とは?

不動産における瑕疵(不具合、欠損)には、4つの分類があります。
それぞれ具体的に解説していきます。

物理的瑕疵

建物や土地の物理的な不具合、故障、損壊など。

  • 雨漏り
  • 水漏れ
  • シロアリ被害
  • 老朽化による腐食
  • 地中に不要物が埋まっていた  など

 

法律的瑕疵

建築基準法や消防など、現行の法律に適合していない状態。

  • 再建築不可物件
  • 建築制限がある
  • 建ぺい率オーバー  など

 

心理的瑕疵

買主の心理的な負担になるような事実や状態。

  • 建物内で過去に自殺や事故死が起きている  など

 

環境的瑕疵

不動産の周辺環境における不具合や負担となるような状態。

  • 周辺に暴力団事務所や火葬場、産業廃棄物処理場などがある
  • 周辺の施設や賑わいによる振動や騒音がある  など

 

「契約不適合責任」では売主はどんな責任を負っている?

引き渡された物件が契約内容と異なっていた場合、買主は契約不適合責任に基づいて売主へ以下のような請求ができます。

【1】補修工事や工事費用の請求ができる
【2】補修してくれない、補修できない場合は、物件代金の減額請求ができる
【3】補修してくれない、補修できない場合は、契約の解除ができる
【4】売主に責任がある場合は、損害賠償請求ができる

【1】~【3】については、売主の責任の有無は関係ありません。

【4】については、瑕疵担保責任での損害賠償請求では売主の無過失責任の場合のみでしたが、契約不適合責任では売主に帰責事由がない限りは請求されません。

また、契約不適合責任で損害賠償すべき範囲は広くなっており、瑕疵担保責任の請求範囲は「信頼利益」に限られますが、契約不適合責任では「履行利益」も含みます。

信頼利益は「登記費用などの契約締結のための準備費用」など、契約不成立もしくは無効になった際に、有効であると信じたことによって被った損害のこと。
履行利益は「営業利益・転売利益」など契約が履行されていたら債権者が得られた、と考えられる利益を失った損害のことです。

不具合に対して補修してくれない、補修できない場合は、契約を解除することもできます。
この場合は売主の契約不履行による解除のため、手付金が倍返しされます。

契約解除の種類や手付金の扱いについては「不動産を売却契約する際に注意したいこと」でも詳しくご紹介しています。

 

契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負う期間はいつまで?

民法では、売主が負う瑕疵担保責任・契約不適合責任は、買主が不具合を知ってから1年間と定められています。
この期間は、売主・買主双方の合意の元で変更することも可能です。

とくに中古物件の場合は、不動産の不具合や損壊が売却前からあったものなのか、売却後にできたものなのかを判断するのは難しく、もっと短い期間に変更されることが一般的です。

個人間の不動産売買では売買契約書に明記をしたうえで、売主が責任を負う期間を引き渡しから2~3ヵ月程度と定めることが多いようです。

 

不動産売却時の契約不適合責任(瑕疵担保責任)への対策方法

ルーペで覗かれた積み木の家と工具

民法改正により、瑕疵担保責任が契約不適合責任に変更となり、売主の責任の範囲も大きくなりました。

引き渡し後に見つかった不具合に対する補修工事で予想外の出費が発生したり、万が一契約が解除になったりしては、大きな負担となってしまいます。

契約不適合責任の負担で困ってしまわないよう、このような対策を知っておきましょう。

物件の状態を調査し、契約書へしっかり記載する

不具合がある不動産を売る場合は、その状態を契約書へしっかり記載しましょう。
買主がその状態を理解し、納得したうえで購入するのであれば、契約不適合責任には該当しません。

建物設備の有無や状態を記載する「付帯設備表」、設備以外の不具合について申告する「告知書」なども細かく作成しましょう。
契約書や付帯設備表などの書類は不動産会社が作成するのが一般的ですが、書類の内容と実際の物件状況に相違がないか売主自身もしっかり確認してください。

住宅診断士によるホームインスペクション(住宅診断)を受けることもおすすめします。

 

既存住宅売買瑕疵保険に加入する

物件状況をどれだけ細かく契約書へ記載したとしても、不具合を見落とすことを完全に防ぐことはできません。
契約不適合責任にもとづいて、請求された補修工事にかかる費用をカバーする保険へ加入するのもひとつの方法です。

補修費用や補修工事に付随してかかる調査費用、引っ越し、仮住まい費用などを補償してくれます。

 

不動産会社独自の保証サービスがある会社を選ぶ

不動産会社が独自に、契約不適合責任に対する保証サービスを提供している場合もあります。

補償内容や期間は不動産会社によって異なりますが、限度額上限は200~500万円、期間は2年程度が一般的です。
契約書により契約不適合責任の期間が3ヵ月と定められている場合、最初の3ヵ月は売主に対する保証、残りの期間は買主に対する保証ということになります。

買主にとっても長い期間で不具合に対する保証を受けられるのは、有益ではないでしょうか。

 

まとめ

  • 不動産売却の瑕疵担保責任とは?
    瑕疵担保責任とは、物件を売却したあとも一定期間、物件の不具合に対して売主が負っている責任のことです。物件の引き渡し後に、売却時には気づかなかった不具合に気づいた場合、債務不履行として損害賠償責任を負うものです。2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任は「契約不適合責任」に変更となり、売主の負う責任の範囲が拡大。契約内容と異なるものを引き渡した場合、その補修や損害賠償の責任を負うことになります。
  • 不動産売却時の瑕疵担保責任(瑕疵担保責任)への対策方法
    調査をして不動産の状態を契約書へ細かく記載しましょう。物件に不具合があったとしても、契約書に記載をし、買主が納得の上で購入するのであれば問題はありません。瑕疵担保責任による費用をカバーしてくれる保険への加入や、不動産会社独自の保証サービスなどの利用も検討してみましょう。

 

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