不動産売却のコツ2022.12.09
店舗付き住宅(店舗併用住宅)を売却する方法は?税金の特例や注意点も
こんにちは!イエステーション北章宅建 札幌手稲店の星です。
店舗付き住宅(店舗併用住宅)とは、建物の中に住居部分と店舗部分が併設されている物件のこと。
住宅が欲しい人には店舗部分は必要なく、店舗物件を求めている人には住居部分が不要になるため、一般的には売りづらいと言えます。
そこで今回は、売れにくい原因を探りつつ、店舗付き住宅を売却する方法を解説!
活用したい税金控除の特例や売却の注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
店舗付き住宅(店舗併用住宅)でも売却できる?売れにくい原因は?
店舗付き住宅(店舗併用住宅)は、住宅だけ・店舗だけを求めている人には不要となる部分が併設されているため、需要が少ない物件と言えます。
一般の住宅物件と比べると、なかなか買い手がつかず、売却まで時間がかかることが多いでしょう。
店舗付き住宅の売却自体は可能ですが、需要の少なさに加えてもう1つ、売却しにくい特徴も。
それは、住宅ローンが受けられない可能性があることです。
店舗付き住宅を売却する際に問題となるのが、住宅ローンはあくまで居住用物件が対象で、店舗部分には融資が受けられないということ。
購入資金が足りない場合は、買主は店舗部分のために事業用ローンを組む必要があります。
借入の全期間固定金利が適用される住宅ローン「フラット35」では、住宅部分の床面積が店舗部分の面積以上でないと利用できないといった条件も。
住宅ローンの融資を断られると、一括で支払うか、その他の融資を受けるしかなく、買主の条件が限られるため、購入希望者探しに苦労する可能性が高いです。
店舗付き住宅(店舗併用住宅)を売却する方法とコツ
店舗付き住宅(店舗併用住宅)は売りづらい特徴があるものの、購入希望者の需要に上手くはまれば、意外とスムーズに売却できることも。
売却方法にはどのようなものがあるか、紹介していきましょう。
売却方法①:現状のまま居抜きで売る
店舗付き住宅は通常、店舗の設備や道具・什器などを残して、現状のまま居抜きで売る方法が多いです。
売主としては、わざわざ店舗の内装を変えたり、設備を撤去したりする必要がなく、買主は同業種であれば設備投資の費用が抑えられる利点があります。
一般の住宅であれば、リフォームできれいに整えることで需要が高まる可能性がありますが、店舗付き住宅の場合は現状のままの売り出しがおすすめです。
リフォームしないままのほうが、買主が自分好みに改装したり、なるべく安く物件を購入できたりするため、需要が高いです。
価格交渉時に「リフォーム費用も考慮する」と伝えたほうが、買い手はつきやすいでしょう。
売却方法②:古家付き土地として売る
建物の築年数が古い、店舗として需要が少ない場所にあるなど、建物としての魅力が薄い場合は古家付き土地として売ることも可能です。
現状のままの売却と違う点は、購入後に建物を解体すると見込んで、解体費用を差し引いたうえで売却価格を決めること。
土地として売り出せば、中古物件を安く手に入れたい人はもちろん、土地そのものを求める人も購入希望者になる可能性が広がります。
詳しくは「古家付き土地と更地渡し。売却はどちらが良い?メリット・デメリットも」で解説していますので、ぜひご覧くださいね。
売却方法③:不動産会社に直接売る
不動産売却の方法には、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」の他に、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」という方法があります。
買取の大きなメリットは、仲介と比べて現金化までのスピードが早いこと。
そのため、とにかく早く売りたいという方におすすめの方法です。
リフォーム後の再販が前提となるので、市場価格より安くなることが一般的ですが、物件の条件によっては相場と変わらない金額になる場合も。
なるべく高い金額での買取を希望するなら、複数社に無料査定を依頼して、査定額を比較すると良いでしょう。
店舗付き住宅を売却する際のコツ
店舗付き住宅の売却は、仲介・買取のどちらを選んでも、依頼する不動産会社選びが特に重要です。
査定時の説明が丁寧か、売却時の戦略を親身になって考えてくれるかといった対応力はもちろんですが、営業力も選定のポイント。
需要が限られる物件のため、売り時を見極める知識が必要ですし、売りたい物件をどう売り込むか、独自のノウハウも大切です。
物件の周辺情報に詳しいか、似た物件の販売実績があるかなどを踏まえて検討しましょう。
店舗付き住宅(店舗併用住宅)を売却する際の税金の特例
マイホーム(居住用財産)を売ったとき、所有期間の長さに関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。
譲渡所得とは、不動産を売って得た利益のこと。
売却代金から、不動産の購入費用・リフォーム費用などの取得費、売却にかかった費用を差し引いた金額です。
店舗付き住宅(店舗併用住宅)も居住用財産に該当するため、特例にて控除を受けられます。
ただし、住宅として利用している床面積・土地面積に対する売却代金のみが対象です。
計算方法も確認していきましょう。
店舗付き住宅の居住部分の計算方法
例として、次に挙げる店舗付き住宅を売却したとして計算していきます。
- 売却金額:8,000万円(建物1,400万円/土地6,600万円)
- 床面積:居住用60㎡/店舗用50㎡/併用部分10㎡
- 敷地面積:居住用80㎡/店舗用60㎡/併用部分15㎡
まず計算するのは「建物のうち居住に利用している部分」の面積はいくらか。
計算式に表すと、次のようになります。
居住に利用している建物部分=居住用+併用部分×居住用/(居住用+店舗用)
数字も当てはめてみましょう。
①居住に利用している建物部分=60㎡+10㎡×60㎡/(60㎡+50㎡)=約65.45㎡
続いて、「敷地のうち居住に利用している部分」の面積がいくらかも計算します。
居住に利用している敷地部分=居住用+併用部分×(居住に利用している建物部分/床面積合計)
数字を当てはめると、次の通りです。
②居住に利用している敷地部分=80㎡+15㎡×(65.45㎡/120㎡)=約88.18㎡
建物と土地でそれぞれ、全体の床面積・敷地面積に占める割合を計算すると、特例が適用される売却代金がわかります。
売却代金=(建物の売却額×①/100)+(土地の売却額×②/100)
=(1,400万円×約65.45㎡/100)+(6,600万円×約88.18㎡/100)=約6,736万1,800円
6,736万1,800円から取得費・譲渡費用を引き、特例を受けて3,000万円を差し引いた金額が、譲渡所得として課税対象となります。
売却した年の翌年、3月15日までに確定申告を行い、控除を受けましょう。
店舗付き住宅(店舗併用住宅)を売却する際の注意点
最後に、店舗付き住宅(店舗併用住宅)を売却する際の注意点をご紹介します。
売却方法として、現状のままで売ると、初期費用を抑えたい人や自分好みにリフォームしたい方の需要があるとお伝えしました。
その際、設備や什器をただ残していくのではなく、売却後のトラブルを防ぐために、残すものの一覧を作成し、引継ぎしておきましょう。
中には売主が転居先に持っていきたい備品もあるかもしれません。
所有権が売主・買主のどちらにあるのか、購入はいつか、不具合はないか、買主に詳細を伝えておき、できれば動作確認まで済ませておくと安心です。
備品の中にリース(賃貸)のものがあれば、リース会社に返却するかなど買主と相談しておくと良いでしょう。
まとめ
●店舗付き住宅(店舗併用住宅)は、店舗と住宅部分が併設されているため、住宅だけ・店舗だけを求めている人には需要が少ない物件と言えます。買い手が付きづらい、住宅ローンが受けられない可能性があることが売れにくい原因です。融資を受けられないと、現金一括か、住宅ローン以外の方法で支払いができる買主に限られてしまいます。
●店舗付き住宅の売却には、現状のままで売る、古家付き土地として売る、不動産会社に直接売るといった方法があります。基本的には手を入れずそのままの売却がおすすめ。売却には不動産会社のサポートが必要なので、依頼する会社の選定は対応力・実績を踏まえて検討しましょう。
●店舗付き住宅は、住宅部分に限り、3,000万円の特別控除が受けられます。確定申告を忘れないように注意しましょう。
●また、売却の際には、買主に残す設備や什器について売却後にトラブルが発生しないよう、一覧を作成しておくと安心です。
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著者
札幌手稲店 星 尊之北章宅建株式会社札幌手稲店の星です。担当している手稲区は社会人1年目に担当させていただいたことがあり、第二のふるさとみたいなものです。2年目からは別の区で約10年仲介をさせていただきましたが、また戻ってこられて縁を感じています。人生で何度も経験することない不動産の売却、購入ですので、わかりやすく、楽しくお手伝いさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。また、店舗にもお気軽にお立ちより下さい。心よりお待ちしております。
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